21日(水)のドル円相場は上値の重い展開。
〇ドル円、米労働省による雇用統計の年次ベンチマーク改定値発表の遅れ等に一時146.82まで急伸
〇その後発表された改定値が、予想上限付近の81.8万人の下方修正となると反落
〇7月FOMC議事要旨で、7月の利下げ議論があったことが判明すると一時144.46まで急落
〇ユーロドル米長期金利の低下に1.1174まで上昇、年初来高値を更新
〇市場での次回9月FOMCでの50bp利下げの織り込み度合が35.5%まで急上昇、ドル売り再開
〇本日はドル円相場の続落リスクに警戒が必要
〇本日の予想レンジ:143.50ー146.50
海外時間のレビュー
21日(水)のドル円相場は上値の重い展開。(1)心理的節目145.00を背にした値頃感のドル買い・円売りや、(2)本邦輸入企業と思しき実需のドル買い・円売り、(3)日経平均株価の後場にかけての下げ幅縮小、(4)米労働省による雇用統計の年次ベンチマーク改定値が予定時刻の23時になっても発表されなかったことに対する仕掛け的なドル買い・円売り、(5)上記4を引き金とした短期筋のストップBUYが支援材料となり、米国時間朝方にかけて、高値146.82まで急伸しました。
しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(6)米労働省による雇用統計の年次ベンチマーク改定値が事前予想の上限付近となる81.8万人の下方修正となったことや、(7)上記6を背景とした米FRBによる大幅利下げ観測再燃(パウエルFRB議長が今週末に予定されているジャクソンホール会議でハト派色を強めるのではないかとの思惑再浮上→米金利急低下→米ドル売り)、(8)米FOMC議事要旨のハト派的な内容(大多数の当局者が次回9月会合での利下げ実施を支持していることが明らかとなった他、一部の参加者については7月会合での利下げ実施についても前向きだったことが判明)が重石となり、米国時間午後にかけて、安値144.46まで急落しました。引けにかけて持ち直すも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間8/22午前6時20分現在)では、145.20前後で推移しております。
21日(水)のユーロドル相場は堅調な値動き。(1)パネッタECB専務理事による「ECBは9月の理事会で利下げを決定することを望む」とのハト派的な発言や、(2)欧州債利回り低下に伴うユーロ売り圧力、(3)米労働省による雇用統計の年次ベンチマーク改定値が予定時刻の23時になっても発表されなかったことに対する仕掛け的なドル買い圧力が重石となり、米国時間朝方にかけて、安値1.1099まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(4)注目された米労働省による雇用統計の年次ベンチマーク改定値が81.8万人の大幅下方修正を記録したことや、(5)上記4を背景とした米FRBによる大幅利下げ観測再燃(米金利急低下→米ドル売り)、(6)前日高値突破に伴う仕掛的なユーロ買い・ドル売り、(7)米FOMC議事要旨のハト派的な内容が支援材料となり、米国時間午後にかけて、年初来高値1.1174まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間8/22午前6時20分現在)では、1.1150前後で推移しております。
本日の見通し
ドル円は一時144.46まで急落するなど冴えない動きが続いています。市場参加者に注目されていた米労働省による年次ベンチマーク改定値が2009年以来で最大の下方修正幅となる81.8万人の大幅下方修正を記録したことで、今週末に予定されているジャクソンホール会議でパウエルFRB議長がハト派色を強めるのではないかとの思惑が広がり、ドル円を投げる動きに繋がったものと推察されます。事実、市場では次回9月FOMCでの50bp利下げの織り込み度合が35.5%まで急上昇するなど、「米金利低下→米ドル売り」の流れが再開されつつあります。
こうした中、本日は、米経済の実態を見極める目的で、米7月シカゴ連銀全米活動指数や、米新規失業保険申請件数、米8月製造業PMI速報値、米8月非製造業PMI速報値、米7月中古住宅販売件数、米8月カンザスシティ連銀製造業活動指数などに注目が集まります。米経済のハードランディング懸念を強まる内容となれば、ジャクソンホール会議でのハト派化懸念が更に強まり、ドル円がもう一段下げ足を速める恐れもあるため、本日はドル円相場の続落リスクに警戒が必要でしょう。
本日の予想レンジ:143.50ー146.50
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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