ドル円、イニシャルクレームの改善を受けて急上昇。米経済に対する過度な悲観論が後退
〇ドル円、米国時間朝方に147.53まで急伸、147円台前半での推移
〇株価の堅調、米新規失業保険申請件数の減少、米金利上昇等が背景
〇日向灘を震源とするマグニチュード7.1の地震の為替市場への影響は限定的
〇ユーロドル、米金利上昇等に一時1.09割れ
〇株安・円高の流れに一服感、下位足では売りシグナル解消、148円台半ばの転換線上抜け可否に注目
〇ファンダメンタルズも、米経済を巡る過度な悲観論の後退や円キャリートレードの再開期待がサート
〇ドル円相場見通しを、「ベア」から「ブル」へと変更
〇本日の予想レンジ:146.00ー149.00
海外時間のレビュー
8日(木)のドル円相場は堅調な値動き。アジア時間朝方にかけて、安値145.43まで軟化するも、一巡後に下げ渋ると、(1)円キャリートレードの再開期待(内田日銀副総裁は8/7に「金融市場が不安定な状況で利上げをすることはない」「一定のペースで金利上げていかないとビハインド・ザ・カーブになるわけではない」「中立金利などの特定の金利水準を意識しているわけではない」と発言→日銀による利上げ観測が後退)や、(2)日経平均株価の堅調推移(日経平均先物の急上昇→リスク回避ムード後退)、(3)米新規失業保険申請件数(結果23.3万件、予想24.0万件)の良好な結果(先週末金曜日に発表された失業率の上昇がレイオフによるものではなく、労働市場への新規参入によるものであるとの見方が浮上→米経済に対する過度な悲観論が後退)、
(4)米主要株価指数の堅調推移、(5)米金利上昇に伴うドル買い圧力が支援材料となり、米国時間朝方にかけて、高値147.53まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間8/9午前6時00分現在)では、147.28前後で推移しております。尚、昨日は日向灘を震源とするマグニチュード7.1の地震が発生すると共に、南海トラフ地震への注意を呼びかける「南海トラフ地震臨時情報」が発表されましたが、ドル円相場への影響は限られました。
8日(木)のユーロドル相場は上値の重い展開。欧州時間早朝にかけて、高値1.0945まで上値を伸ばすも、一巡後に伸び悩むと、(1)米新規失業保険申請件数(結果23.3万件、予想24.0万件)の良好な結果や、(2)上記1を背景とした米長期金利の急上昇(米経済に対する過度な悲観論の後退)、(3)心理的節目1.0900を下抜けたことに伴う仕掛け的なユーロ売り・ドル買いが重石となり、米国時間朝方にかけて、安値1.0882まで反落しました。引けにかけて反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間8/9午前6時00分現在)では、1.0918前後で推移しております。
本日の見通し
ドル円は再び147円台を回復するなど、先週来始まった「株安・円高」の流れに一服感が見えつつあります。日足ベースでは依然として売りシグナルが継続点灯しているものの、下位足(1時間足や4時間足)では既に売りシグナルが解消されつつあるため、ここから先の動向に市場参加者の注目が集まっています(目先は一目均衡表転換線が位置する148円台半ばを上抜けられるか否かに注目。同水準を突破できれば、心理的節目150.00や、200日線が位置する151円台半ばを試す動きに繋がる可能性あり)。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)日銀による追加利上げ観測の後退(内田日銀副総裁は8/7に市場で高まる過度な利上げ織り込みを牽制)や、(2)米経済を巡る過度な悲観論の後退(米7月ISM非製造業景況指数や、米新規失業保険申請件数が良好な数字を示したことで、米経済に対する悲観的な見方が後退→米FRBによる大幅利下げ観測後退→米金利上昇)、(3)上記1、2を背景とした円キャリートレードの再開期待(日米金利差は当面縮まらないとの見方から日米金利差に着目したドル買い・円売りが再開するシナリオ)など、ドル円相場の持ち直しを連想させる材料が揃っています。
本日は日米共に経済イベントに乏しく、本邦の3連休前のタイミングでもあることから、先週来始まったドル売り・円買いの巻き戻し(俄かショートの巻き戻し)がもう一段進む可能性もあるため、当方ではドル円相場見通しを、「ベア」から「ブル」へと変更いたします(株式市場や米金利を睨みながらの神経質な値動きが継続しつつも、上記要因からドル買い・円売りと、株高・米金利高の流れが短期的に続く見通し)。
本日の予想レンジ:146.00ー149.00
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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