ドル円見通し 157円を挟んで揉み合い、米日の金融政策会合控え慎重な動き(24/6/11)

日本10年債利回り上昇とユーロ円の下落に圧迫されて欧州市場時間で156.73円まで下げたところを買われて確りし、11日早朝にかけては157円を挟んだ揉み合いで確りした。

ドル円見通し 157円を挟んで揉み合い、米日の金融政策会合控え慎重な動き(24/6/11)

ドル円見通し 157円を挟んで揉み合い、米日の金融政策会合控え慎重な動き

〇ドル円、6/7の米雇用統計後157.07へ急伸、週明けもこの流れを継続し6/10昼157.19まで高値を伸ばす
〇欧州市場時間156.73まで下げるも買われて確り、6/11早朝にかけては157円挟みの揉み合いで確り
〇日本10年債利回りは1%台を回復したが、ドル円を急落させる程の勢いは見られず
〇市場は6/11-6/12のFOMC、6/14の日銀会合結果待ちに入っており、大きく動きづらいか
〇米10年債・30年債利回りは連騰、ナスダックとS&P500は終値ベースの史上最高値更新
〇157.19超えからは6/3午後高値157.47、5/30未明高値157.70を順次試す上昇を想定する
〇156.73割れからは156.50試しとし、156.50割れから続落する場合は156円台序盤への下落を想定する

【概況】

ドル円は6月7日の米雇用統計で非農業部門就業者数が前月比27万2000人増となり4月の16万5000人及び市場予想の18万5000人を大幅に上回り、インフレ指標の平均時給伸び率が前月比と前年同月比がともに4月と市場予想を上回ったことをきっかけとして155.50円近辺から深夜高値157.07円へ急伸したが、週明けもこの流れを継続して昼過ぎに157.19円まで高値を伸ばした。日本10年債利回り上昇とユーロ円の下落に圧迫されて欧州市場時間で156.73円まで下げたところを買われて確りし、11日早朝にかけては157円を挟んだ揉み合いで確りした。
ニューヨーク連銀が6月10日に発表した5月消費者調査における期待インフレ率は1年先で3.17%となり4月の3.26%から低下したが、FOMCを控えているために市場の反応は鈍かった。

日本10年債(374回債)利回りは先週末比0.045%上昇の1.015%と1%台を回復した。今週末の日銀金融政策決定会合で国債買い入れが減額されるとの観測が上昇要因となっているが、ドル円を急落させる程の勢いは見られなかった。
欧州議会選挙に極右・右派勢力が拡大したことによる政情不安を背景にユーロドルが下落してユーロ円が下げたことも円高要因としてドル円の上値を抑えた印象もある。
本日は米国の主要指標発表はないが10年債入札がある。6月11-12日のFOMC、14日の日銀会合結果待ちに入っており、FOMC直前となる12日夜の米CPI発表までは大きく動きづらいと思われるが、6月10日午後高値157.19円を超えてくればテクニカルな買い主導で5月30日未明高値157.70円へ迫る可能性もあると注意したい。

【米10年債利回りは連騰、ナスダックとS&P500は史上最高値更新】

6月10日の米長期債利回りはまちまちの動き。
長期金利指標の10年債利回りは先週末比0.03%上昇の4.47%となった。5月30日から6月5日まで5営業日連続低下で5日に4.28%をつけて4月25日に付けた昨年末以降のピークである4.74%以降の最低を更新したが、6日を下げ渋りとして7日は米雇用統計をきっかけに前日比0.15%上昇と急伸して週明けも続伸した。
30年債利回りも先週末比0.04%上昇の4.60%となり7日の0.12%上昇から続伸したが、2年債利回りは先週末比0.01%低下の4.88%に終わり、7日の前日比0.16%上昇から一時4.90%まで続伸したものの伸び悩んだ。
米財務省は10日に3年債580億ドルの入札を実施したが応札倍率は2.43倍で平均を下回りやや低調だった。今週は11日に10年債(390億ドル)、13日に30年債(220億ドル)の入札を控えているが、入札低調なら利回りは上昇しやすい。

一方でNYダウは先週末比69.05ドル高と上昇、ナスダック総合指数は59.40ポイント高と上昇して終値ベースでの史上最高値を更新し、S&P500指数も13.80ポイント高と上昇して終値ベースの史上最高値を更新した。米国の利下げ先延ばし感が増していることと最近の製造業景況感が悪化していることは株式市場にとって圧迫要因だが、利下げ開始も時間の問題としてこれまでの金融引き締めによる景気減速をソフトランディングで乗り切りながら株高基調が続くとの楽観が優勢のようだ。

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

ドル円は6月7日夜の米雇用統計をきっかけとして急伸したため、6月7日夕安値を6月4日夜安値に対する押し目底として上昇期に入っている。他kね形成期は6月10日午後から13日夜にかけての間と想定されるのでまだ上昇余地ありとするが、10日夜の反落時安値156.73円割れを弱気転換注意とし、156.50円割れからはいったん仕切り直しの下落期に入るとみて12日夕から14日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では6月7日夜からの急伸で遅行スパンが好転して先行スパンを上抜いたが、その後も概ね両スパン揃っての好転を維持しているので遅行スパン好転中は高値試し優先とする。先行スパンを上回るうちは遅行スパンが一時的に悪化してもその後に好転するところから上昇再開とするが、先行スパンへ潜り込み始める場合はいったん下げに入る可能性ありとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先として先行スパン下限を試す下落を想定する。

60分足の相対力指数は6月7日深夜高値から10日午後高値への上昇に際して指数のピークが切り下がる弱気逆行がみられるものの50ポイント以上を維持しているのでまだ上昇余地ありとし、65ポイント超えからは70ポイント台前半への上昇を想定する。ただし50ポイント割れからはいったん下げに入るとみて30ポイント台への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、6月10日夜安値156.73円を下値支持線、6月10日午後高値157.19円を上値抵抗線とする。
(2)157.19円超えからは6月3日午後高値157.47円、5月30日未明高値157.70円を順次試す上昇を想定する。157.50円以上は反落警戒とするが156.73円を上回っての推移なら12日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)156.73円割れからは156.50円試しとし、その後に157円台へ戻す場合は上昇継続とするが、156.50円割れから続落する場合は156円台序盤(156.25円から156.00円)への下落を想定する。156.25円以下は反騰注意とするが、156.50円を割り込んでの推移が続く場合は12日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の予定】

6/11(火)
米FOMC(連邦公開市場委員会)初日、OPEC月報
10:30 (豪) 5月 NAB企業景況感指数 (4月 7)
15:00 (英) 4月 失業率・ILO方式 (3月 4.3%、予想 4.3%)
20:05 (欧) レーンECB理事、講演
25:45 (欧) エルダーソンECB理事、講演
26:00 (米) 財務省10年債入札

6/12(水)
休場 フィリピン、ロシア、イスラエル
08:50 (日) 5月 国内企業物価指数 前月比 (4月 0.3%、予想 0.5%)
08:50 (日) 5月 国内企業物価指数 前年同月比 (4月 0.9%、予想 2.0%)
10:30 (中) 5月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (4月 0.3%)
10:30 (中) 5月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (4月 -2.5%)

15:00 (独) 5月 CPI(消費者物価指数)・改定値 前月比 (速報 0.1%、予想 0.1%)
15:00 (独) 5月 CPI(消費者物価指数)・改定値 前年同月比 (速報 2.4%、予想 2.4%)
15:00 (英) 4月 月次GDP 前月比 (3月 0.4%、予想 0.0%)
15:00 (英) 4月 鉱工業生産 前月比 (3月 0.2%、予想 -0.1%)
15:00 (英) 4月 鉱工業生産 前年同月比 (3月 0.5%、予想 0.3%)
15:00 (英) 4月 貿易収支・物品 (3月 -139.67億ポンド、-142.00億ポンド)
15:00 (英) 4月 貿易収支 (3月 -10.98億ポンド、-15.00億ポンド)

21:30 (米) 5月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (4月 0.3%、予想 0.1%)
21:30 (米) 5月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (4月 3.4%、予想 3.4%)
21:30 (米) 5月 コアCPI(食品・エネルギー除く) 前月比 (4月 0.3%、予想 0.3%)
21:30 (米) 5月 コアCPI(食品・エネルギー除く) 前年同月比 (4月 3.6%、予想 3.5%)
22:00 (欧) デギンドスECB副総裁、講演
23:30 (米) EIA週間石油在庫統計
27:00 (米) 米FOMC(連邦公開市場委員会)政策金利 (現行 5.25-5.50%、予想 5.25-5.50%)
27:00 (米) 5月 月次財政収支 (4月 2095億ドル)
27:30 (米) パウエル米FRB議長、記者会見



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