ドル円、政府・日銀による為替介入警戒感と大型連休前のポジション調整の影響で急落(5/3朝)

2日(木)のドル円相場は上昇後に急反落。

ドル円、政府・日銀による為替介入警戒感と大型連休前のポジション調整の影響で急落(5/3朝)

政府・日銀による為替介入警戒感と大型連休前のポジション調整の影響で急落

〇ドル円、介入警戒感、本邦休前のポジション調整、米金利低下等に米国時間に153円台前半まで急落
〇ユーロドル、欧州株の不冴え等で一時1.07を割れるも持ち直し1.07台前半の動き
〇ドル円、テクニカルの地合い崩れず、ファンダメンタルズも日米金利差、介入余力の乏しさがサポート
〇引き続き、一巡後の反発をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:152.50ー155.50

海外時間のレビュー

2日(木)のドル円相場は上昇後に急反落。アジア時間朝方にかけて、高値156.29まで上値を伸ばすも、一巡後に伸び悩むと、(1)政府・日銀による介入警戒感(4/29の5.5兆円規模の為替介入に加えて、5/1にも3兆円規模の為替介入を実施したとの観測。※正式な為替介入実施有無および介入額は5/31に公表される4/26ー5/29介入額で明らかとなる予定)や、(2)本邦大型連休前のポジション調整、(3)米金利低下に伴うドル売り圧力(米FOMC後のドル売りの流れの継続)が重石となり、米国時間午後にかけて、安値153.49まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間5/3午前2時30分現在)では、153.70前後で推移しております。

2日(木)のユーロドル相場は上値の重い展開。アジア時間午後にかけて、高値1.0728まで上値を伸ばすも、前日高値1.0733をバックに伸び悩むと、(1)ユーロ円相場の急反落(政府・日銀による為替介入警戒感→ユーロ円下落→ユーロドル連れ安)や、(2)欧米金利差に着目したユーロ売り・ドル買い圧力)、(3)欧州株の冴えない動きが重石となり、米国時間朝方にかけて、安値1.0674まで反落しました。もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、引けにかけて持ち直し、本稿執筆時点(日本時間5/3午前2時30分現在)では、1.0715前後で推移しております。

本日の見通し

ドル円は4/29に記録した約34年ぶり高値160.24をトップに反落に転じると、今週半ばにかけて、一時153.03まで急落しました。政府・日銀による連続為替介入観測(特に米FOMC後に実施したと予測される為替介入が市場参加者のサプライズとなった為、為替介入に対する恐怖感が再燃)や、パウエルFRB議長によるややハト派寄りの発言(米FOMC後の記者会見)が、ドル円相場急落の背景と考えられます。但し、ダウンサイドに複数のサポートポイントが並んでいることや、強い買いシグナルを示唆する「強気のパーフェクトオーダー」「一目均衡表三役好転」「ダウ理論の上昇トレンド」が成立していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは崩れていない(足元の急落は上昇トレンドの過程で見られる一時的なポジション調整)と判断できます。

また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)米FRBによる利下げ開始時期の後ずれ観測(現在は年1回の利下げを織り込んでいるが、インフレ鈍化が見られない場合は、利下げ開始時期が来年以降にズレ込む可能性あり)や、(2)日銀による追加利上げの難しさ(円安に伴う輸入インフレ→物価高に賃金上昇が追い付かない実質賃金低下→追加利上げ観測後退)、(3)上記1、2を背景とした日米金融政策の方向性の違い(日米金利差に着目したドル買い・円売り)、(4)政府・日銀による介入余力の乏しさ(日銀当座預金見通しから推測すると、4/29の介入規模は約5.5兆円、5/1の介入規模は3兆円。3月末時点の外貨準備高が約24兆円規模のため、政府・日銀による介入余力は15.5兆円程度との見方が市場コンセンサス)など、ドル円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。

本日予定されている米4月雇用統計や、米4月ISM非製造業景況指数が市場予想を上回る場合には、米金利上昇→米ドル買いの経路で、ドル円に再び上昇圧力が加わるシナリオも想定されるため、当方では引き続き、一巡後の反発をメインシナリオとして予想いたします。

本日の予想レンジ:152.50ー155.50

注:ポイント要約は編集部

政府・日銀による為替介入警戒感と大型連休前のポジション調整の影響で急落

ドル円日足

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