心理的節目155.00を前に神経質な展開。政府・日銀による実弾介入に要警戒
〇ドル円、FRBパウエル議長の利下げ後ずれ発言等FRB関係者のタカ派発言に154円台後半での推移
〇日本時間22時30分過ぎには、一時安値153.93まで急落する荒々しい場面も
〇ユーロドル、米欧の金融政策の方向性の違い等に1.06台前半中心の方向感に欠ける動き
〇ドル円、一時154.79まで続伸し約34年ぶり高値を更新、テクニカルの地合い「極めて強い」
〇ファンダメンタルズも日米金利差拡大とそれに伴う円キャリートレードの再開期待がドル円をサポート
〇155.00突破後も実弾介入困難か、ドル高・円安トレンドの継続をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:154.00ー155.50
海外時間のレビュー
16日(火)のドル円相場は堅調な値動き。(1)サンフランシスコ連銀デイリー総裁による「利下げを急ぐ必要はない」「急いで行動することは最悪の行為」とのタカ派的な発言や、(2)ジェファーソンFRB副議長による「インフレが予想通り減速しない場合は現行の金融引き締め姿勢をより長期間維持することが適切」とのタカ派的な発言、(3)米金利上昇に伴うドル買い圧力(日米金利差に着目した円キャリートレードの本格再開)、(4)直近高値突破に伴う仕掛け的なドル買い・円売りが支援材料となり、米国時間朝方にかけて、高値154.79(1990年6月以来、約34年ぶり高値圏)まで上昇しました。
しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(5)心理的節目155.00を背にした戻り売り圧力(リバースノックアウトオプションのトリガー操作に絡む防戦売り)や、(6)政府・当局による為替介入警戒感、(7)短期筋のストップSELLが重石となり、日本時間22時30分過ぎには、安値153.93まで急落する荒々しい場面も見られました。もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、(8)パウエルFRB議長による「インフレが根強くインフレ2%回帰を確信するにはこれまで予想していたよりも長い時間が必要になる可能性が高い」とのタカ派的な発言や、(9)米金利上昇に伴うドル買い圧力(米10年債利回りが昨年11/2以来の高水準となる4.69%へ急上昇)が支えとなり、本稿執筆時点(日本時間4/17午前5時55分現在)では、154.71前後まで持ち直す動きとなっております。
16日(火)のユーロドル相場は上下しつつも方向感を見出せず。(1)米FRBよる利下げ開始時期の後ずれ観測や、(2)上記1を背景とした米長期金利の急上昇が重石となり、欧州時間朝方にかけて、安値1.0602まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(3)心理的節目1.0600を背にした押し目買い圧力や、(4)ドイツ4月ZEW景況感指数(結果+42.9、予想+35.5)の市場予想を上回る結果、(5)米3月住宅着工件数(結果132.1万件、予想148.5万件)の市場予想を下回る結果、(6)米3月建設許可件数(結果145.8万件、予想151.0万件)の市場予想を下回る結果が支援材料となり、米国時間朝方にかけて、高値1.0654まで反発しました。もっとも、買い一巡後に伸び悩むと、
(7)ラガルドECB総裁による「大きなサプライズがない限りECBは近く利下げするだろう」「ディスインフレプロセスはECBの想定通り推移している」とのハト派的な発言や、(8)パウエルFRB議長による「インフレが根強くインフレ2%回帰を確信するにはこれまで予想していたよりも長い時間が必要になる可能性が高い」とのタカ派的な発言が重石となり、本稿執筆時点(日本時間4/17午前5時55分現在)では、1.0618前後まで反落する動きとなっております。
本日の見通し
ドル円は一時154.79まで続伸するなど、約34年ぶり高値を更新しました(僅か1週間で3円超の上昇幅)。強い買いシグナルを示唆する「強気のパーフェクトオーダー」「一目均衡表三役好転」「強気のバンドウォーク」「ダウ理論の上昇トレンド」も成立するなど、テクニカル的に見て、地合いは「極めて強い」と判断できます。また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)米FRBによる金融引き締め長期化観測(昨日は、サンフランシスコ連銀デイリー総裁、ジェファーソンFRB副議長、パウエルFRB議長が「利下げを急がない姿勢」を明確化→米長期金利急上昇)や、(2)日銀による追加利上げ観測後退(円安に端を発した輸入インフレの影響で物価高に賃金が追い付かないリスクが再浮上→日銀による追加利上観測後退)、(3)上記1、2を背景とした日米金利差拡大とそれに伴う円キャリートレードの再開期待など、ドル円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。
政府・日銀による実弾介入(市場では155.00突破後に政府・日銀がドル売り介入に踏み切るとの見方が根強い)が警戒されているものの、足元の環境下では米国の理解を得づらいことから(※インフレリスク再燃中の米国ではインフレ抑制に寄与するドル高政策が容認され易く、政府・日銀は米国への配慮からこのタイミングで実弾介入に踏み切ることは難しいため)、当方では引き続き、ドル高・円安トレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします(155.00突破後も実弾介入が入らず、失望感からもう一段円が売り込まれるシナリオを想定)。
本日の予想レンジ:154.00ー155.50
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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