東京市場のドルは147円台半ばまで戻す、米CPIは予想上振れに警戒か
【本日の東京市場】
東京時間(日本時間8時から15時)のドル・円は、植田日銀総裁の発言が材料視されて買戻し優勢の展開となり、147円台半ばまで値を戻した。
昨晩の海外時間では、米2月消費者物価指数(CPI)の発表を控えた警戒感や今週予定されている入札を織り込み、長期金利やや上昇に伴うドル買い戻しが優勢となった。ただ、その後、3年債入札の順調な結果を受けて、米10年債利回りが4.1%水準で伸び悩んだことで、147円台維持はできなかった。
東京時間では、日本株の弱さもあり146円台半ばで推移していたが、11時過ぎ、参議院財政金融委員会に出席していた植田和男日銀総裁が「個人消費は価格上昇幅が大きかった食料品など非耐久財への消費に弱めの動きがうかがわれる」と発言したことで、3月の日本銀行による金融政策決定会合での「金融政策の正常化」に踏み出すといった思惑がやや後退。
ドル買戻しが優勢となり、147円台63銭と本日の東京時間安値より1円ほどドル高円安に振れる展開となった。
ドル・円(日本時間8時―15時)
始値:146円94銭
高値:147円63銭
安値:146円62銭
終値:147円54銭
ユーロ・円(日本時間8時―15時)
始値:160円53銭
高値:161円44銭
安値:160円28銭
終値:161円37銭
豪ドル・円(日本時間8時―15時)
始値:97円16銭
高値:97円58銭
安値:97円01銭
終値:97円54銭
ポンド・円(日本時間8時―15時)
始値:188円28銭
高値:189円20銭
安値:187円99銭
終値:189円13銭
日経平均(日本時間9時―15時)
始値:38470円39銭
高値:38841円80銭
安値:38271円38銭
終値:38797円51銭(前日比−22円98銭)
【本日の海外市場の重要指標】日本時間
20時00分、英、マン英中銀委員が討論会に参加
21時30分、米、2月CPI(前月比)、前回:0.3%、市場予想:0.5%
21時30分、米、2月CPI(前年比)、前回:3.1%、市場予想:3.1%
21時30分、米、2月CPI(コア)(前月比)、前回:0.4%、市場予想:0.3%
21時30分、米、2月CPI(コア)(前年比)、前回:3.9%、市場予想:3.7%
25時15分、英、ベイリー英中銀総裁が討論会に出席
9日からFRBブラックアウト期間入り(21日まで金融政策に関する発言自粛)
※予定は変更することがございます。
【テクニカル分析など】
日足ベースのドル・円は、一目均衡表の転換線、基準線を相次いで下抜けており、100日移動平均線水準も一気に下回った。雲上限や200日移動平均線が位置する146円10銭-20銭の水準より上で下げ止まっている。短期的には、これらの水準まで下落する余地はありそうだが、6日頃から続いたドル売り・円買いはそろそろ一巡か。ドル・インデックスは8日に102.3台と1月中旬の水準まで下落した後は下げ渋っている。
今晩発表される2月CPIの結果次第では、ドルは上下に振れる地合いとなりそうだが、今一度、足元の為替市場を整理したい。
米国では、金利引き下げ時期を探っているなか、11月大統領選挙において、トランプ前大統領が共和党候補者となる公算が大きくなっており「ドル安警戒」のムードが強まっている。一方、日本では、18−19日の金融政策決定会合にて「金融政策の正常化」に踏み出す、つまりマイナス金利の撤廃に踏み出すとの思惑が強まっている。
ただ、株式市場では日経平均が急落していることから、3月期末にかけて、市場にインパクトを与える可能性がある「金融政策の正常化」に踏み出すのは見送られるとの見方も浮上。また、本日の植田日銀総裁のコメントにもある通り、個人消費の伸びを今後確認するといった可能性もある。
もっとも、日銀会合への思惑は、明日13日に伝わる予定の春闘の集中回答の結果次第で、大きく変わることから一喜一憂といったところだ。
どちらにせよ、様々な思惑が交錯していることから、ドルを筆頭に為替市場はボラタイルな展開が続きそうだ。来週19日の日銀会合の結果及び植田和男日銀総裁の記者会見を確認するまでは、神経質な展開は続くと考える。
今晩の海外時間は、100日移動平均線が位置する147円50銭水準で、2月の米CPI発表を迎えそうだ。コアCPIが前回を下回る市場予想だが、予想に反してインフレ沈静化が確認できなかった場合は当然ながらドルは上に動くだろう。1月CPIと同じような展開を警戒しておきたい。上値メドは148円30銭、下値メドは146円80銭とする。
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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