11月13日夜からの大幅下落一服、150円手前で三角持ち合い
〇先週のドル円、11/21夕147.15まで下落後、米感謝祭前に買い戻され11/23未明に一時149.74まで戻す
〇米国の利上げ打ち止め感からの米長期債利回り低下とドル安、株価の上昇が、継続するか要注視
〇12月FOMCで利上げを見送れば、利上げ終了と来年の利下げ開始時期にテーマはシフトするか
〇今週は米10月PCEデフレーター、12/4に開催予定とされる日銀金融緩和政策の検証会議報道等に注目
〇148.87を割り込まないうちは上昇余地あり、149.74超えからは150円台序盤への上昇を想定
〇148.87割れからは148円台序盤試し、その後の反騰で高値切り上げヘ進めない場合は147.15に向かう
【概況】
ドル円は11月13日夜に151.90円を付けて年初来高値として昨年10月21日高値151.94円に迫ったところから下落に転じて11月21日夕に147.15円まで下げ、この間の下げ幅は4.75円となったが、米感謝祭を前に買い戻されて11月23日未明には149.74円を付けて半値戻しの149.52円を若干超えた。
11月23日の感謝祭当日と、翌24日は手掛かり難で戻り一巡となり、11月23日午後安値148.87円と24日午後安値149.16円を買われつつ、23日未明高値超えへ進めずに上値が重くなり、60分足レベルではレンジ縮小型の三角持ち合いの様相となった。
【米国の利上げ打ち止め感で米長期債利回り低下とドル安は継続するか】
11月24日の米長期債利回りは総じて上昇した。長期金利指標の10年債利回りは前日比0.06%上昇の4.47%で週を終えた。10月23日に5.02%でピークを付けて11月22日には4.36%まで低下したが、23日の時間外取引から上昇して24日は一時4.49%をつけた。11月14日の米10月CPIと15日の米10月PPIがともにインフレ鈍化傾向を顕著とし、その後の米週間新規失業保険申請件数の悪化や鉱工業生産の低調さ、輸出入物価指数がマイナス圏へ鈍化したこと等が日々の低下材料だったが、米国の利上げ終了感と来年の利下げへの思惑が背景となっている。24日への反発は米国株高による株買い・債券売りによる利回り上昇が若干反映された印象であり、修正高の範囲と思われる。
30年債利回りは前日比0.06%上昇の4.60%で終了した。10月23日に5.18%でピークを付けて11月22日には4.52%まで低下したが、24日はややリバウンドした。利上げ問題に敏感な2年債利回りは0.05%上昇の4.95%で終了した。10月19日に5.26%でピークを付けて低下に転じて11月17日には4.79%をつけたが、その後はリバウンドに入っている。10年債や30年債と比較すれば大幅上昇が一服したもののまだ高止まりの範囲にいる印象だ。
米長期債利回りが低下傾向にある中で米国株高基調は続いている。11月24日のNYダウは前日比117.125ドル高と上昇、休場前の11月22日に前日比184.74ドル高としたところから連騰となり、10月27日安値32327.20ドル以降の高値を更新して年初来高値である8月1日の35679.13ドルへ迫っている。
ナスダック総合指数は15.00ポイント安と小幅低下したが、11月22日には高値で14359.61ポイントを付けて年初来高値である7月19日高値14446.55ポイントに迫っている。深刻なリセッションへ陥らずに利上げサイクルの終了が見えてきたことで株式市場は楽観的な強気で推移している。
【利下げ期待を自重させたいFRB、金融緩和を止めにくい日銀】
インフレ鈍化と株高・債券安により米長期債利回りが上昇するか高水準を維持するならば、米FRBはあえて利上げする必要はなく、インフレの鈍化を眺めればよい。インフレが一層顕著に鈍化して米長期債利回りも低下するならば市場は利下げ期待を膨らませて楽観し過ぎとなるためFRBは楽観に釘を刺すように引き締め長期化や追加利上げの可能性に言及するかもしれないが、12月のFOMCで利上げを見送れば利上げ終了と来年の利下げ開始時期がテーマとなり、市場はリスクオン優勢で展開してゆくと思われる。
その際に日銀が大規模金融緩和政策からの転換姿勢を強く示せば全般的なドル安と円の買い戻しによりドル円は一段安へ進む可能性があるが、支持率の歴史的低迷で政策的にも混迷している岸田政権の動向を踏まえると日銀も大胆な政策転換へ舵を切り難くなり、YCC等の修正をしつつ金融緩和政策そのものはまだしばらく継続するとなればドル円は円安を再開してゆくことも考えられる。
今週は11月30日の米10月PCE(個人消費支出)デフレーターに注目が集まるが、12月4日に開催予定とされる日銀金融緩和政策の検証会議(ワークショップ)へ向けてのリーク報道等にも注意したい。
【日足 移動平均分析 52日線割れから26日線超えへ切り返せるか注目】
ドル円は11月13日夜からの大幅下落が一巡して11月23日未明にかけての上昇で半値戻しラインを若干超えたが、その後は149円割れを買われつつ高値更新及び150円台回復へ進めていない。
11月13日からの下落規模は6月30日高値145.06円から7月14日安値137.24円への下落時(下げ幅7.82円)や3月8日高値137.91円から3月24日安値129.63円への下落時(下げ幅8.28円)に近い角度で開始しているため、150円台を回復できないうちは大幅下落一服による戻り一巡からもう一段安へ進みかねないところと思われる。
3月24日からの上昇再開時は、52日移動平均を大きく割り込んだところから26日移動平均を上抜き返して新たな上昇トレンドを形成して6月30日高値へと大上昇している。7月14日の底打ちでも52日移動平均を大きく割り込み、当初の反発では26日移動平均が壁となったものの新たな安値更新を回避して26日移動平均を上抜き返してから上昇が勢い付き、その後の小波乱でも26日移動平均が下値支持線として機能していた。
現状も11月21日への下落で52日移動平均を割り込んでおり、その後の戻りでは26日移動平均(現在150.16円)を上抜き返せていない。7月14日や3月24日の底打ちと同様に26日移動平均超えから続伸に入り新たな上昇トレンドを構築できるか、26日移動平均が壁となって失速し、11月月21日安値を割り込んで3月24日や7月14日への下落時並みに11月13日高値から8円前後規模の下落幅となるのか、明暗が分かれそうだ。
日足レベルにおけるドル円の反騰開始目安としてはRCI(順位相関指数)の26日線が反転上昇するところと考えるが、現時点ではまだマイナス圏に低下したばかりであり、反転の兆しを見せていない。中間的に反発しても指数の戻りが鈍く早々に再低下する場合は下落期間が長引くことも考えられるが、3月24日や7月14日からの反騰に近いU字型の上昇が見られれば新たな上昇トレンド形成への期待が強まると思われる。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、11月23日午後安値148.87円を下値支持線、11月23日未明高値149.74円を上値抵抗線とする。
(2)148.87円を割り込まないうちは上昇余地ありとし、149.74円超えからは150円台序盤への上昇を想定する。150円到達で売られる場合はその後に11月24日午後安値149.16円を割り込むところから下落期入りと考えるが、150円台に乗せて維持し始める場合は11月21日安値を当面の底とした上昇トレンドと仮定して151円台回復を目指す上昇を想定する。
(3)148.87円割れからは下落期入りとするが、その際は11月13日高値を起点として11月15日夜安値までを一段目とし、11月21日夕安値までを二段目とし、三段下げの三段目に入る可能性があると注意する。148.87円割れからは148円台序盤試しとし、その後の反騰で11月21日以降の高値切り上げヘ進めない場合は、短期的な戻り一巡から下げ再開に入って11月21日安値147.15円を試しに向かう下落を想定する。
【当面の予定】
11/27(月)
休場 フィリピン、インド
08:50 (日) 10月 企業向けサービス価格指数 前年同月比 (9月 2.1%)
23:00 (欧) ラガルドECB総裁、EU議会発言
24:00 (米) 10月 新築住宅販売件数・年率換算 (9月 75.9万件、予想 72.5万件)
24:00 (米) 10月 新築住宅販売件数 前月比 (9月 12.3%、予想 -4.5%)
25:30 (米) 財務省2年入札
27:00 (米) 財務省5年債入札
11/28(火)
09:30 (豪) 10月 小売売上高 前月比 (9月 0.9%)
10:18 (豪) ブロック豪中銀総裁、パネル討論会
14:00 (日) 日銀、基調的なインフレ率を捕捉するための指標
16:00 (独) 12月 GFK消費者信頼感 (11月 -28.1)
23:00 (米) 9月 連邦住宅金融局住宅価格指数 前月比 (8月 0.6%、予想 0.4%)
23:00 (米) 9月 ケース・シラー米住宅価格指数 前年同月比 (8月 2.2%)
24:00 (米) 11月 コンファレンス・ボード消費者信頼感指数 (10月 102.6、予想 100.8)
24:00 (米) 11月 リッチモンド連銀製造業指数 (10月 3)
24:00 (米) グールズビー・シカゴ連銀総裁、会合挨拶
24:05 (米) ウォラーFRB理事、講演
27:00 (米) 財務省7年債入札
11/29(水)
09:30 (豪) 10月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (9月 5.6%)
10:00 (NZ) ニュージーランド中銀 政策金利 (現行 5.50%)
14:00 (日) 安達日銀審議委員、記者会見
19:00 (欧) 11月 消費者信頼感・確定値 (速報 -16.9)
19:00 (欧) 11月 経済信頼感 (10月 93.3)
22:00 (独) 11月 CPI(消費者物価指数)・速報値 前月比 (10月 0.0%)
22:00 (独) 11月 CPI(消費者物価指数)・速報値 前年同月比 (10月 3.8%)
22:30 (米) 10月 卸売在庫 前月比 (9月 0.2%)
22:30 (米) 7-9月期 GDP・改定値 前期比年率 (速報 4.9%、予想 5.0%)
22:30 (米) 7-9月期 GDP個人消費・改定値 前期比年率 (速報 4.0%)
22:30 (米) 7-9月期 コアPCE・改定値 前期比年率 (速報 2.4%)
24:05 (英) ベイリー英中銀総裁、講演
24:30 (米) EIA週間石油在庫統計
27:45 (米) メスター・クリーブランド連銀総裁、講演
28:00 (米) 米地区連銀経済報告(ベージュブック)
11/30(木)
OPECプラス閣僚級会合
06:45 (NZ) 10月 住宅建設許可件数 前月比 (9月 -4.7%)
08:50 (日) 10月 小売業販売額 前年同月比 (9月 5.8%)
08:50 (日) 10月 鉱工業生産・速報値 前月比 (9月 0.5%)
08:50 (日) 10月 鉱工業生産・速報値 前年同月比 (9月 -4.4%)
09:00 (NZ) 11月 ANZ企業信頼感 (10月 23.4)
09:30 (豪) 7-9月期 民間設備投資 前期比 (4-6月 2.8%)
09:30 (豪) 10月 住宅建設許可件数 前月比 (9月 -4.6%)
10:30 (中) 11月 国家統計局製造業PMI (10月 49.5)
14:00 (日) 11月 消費者態度指数・一般世帯 (10月 35.7)
14:00 (日) 10月 新設住宅着工戸数 前年同月比 (9月 -6.8%)
14:30 (日) 中村日銀審議委員、記者会見
17:55 (独) 11月 失業者数 前月比 (10月 3.00万人)
17:55 (独) 11月 失業率 (10月 5.8%)
19:00 (欧) 11月 HICP(消費者物価指数)・速報値 前年同月比 (10月 2.9%)
19:00 (欧) 11月 コアHICP・速報値 前年同月比 (10月 4.2%)
19:00 (欧) 10月 失業率 (9月 6.5%)
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 20.9万件)
22:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 184.0万人)
22:30 (米) 10月 個人所得 前月比 (9月 0.3%、予想 0.2%)
22:30 (米) 10月 PCE(個人消費支出) 前月比 (9月 0.7%、予想 0.2%)
22:30 (米) 10月 PCEデフレーター 前年同月比 (9月 3.4%)
22:30 (米) 10月 コアPCEデフレーター 前月比 (9月 0.3%)
22:30 (米) 10月 コアPCEデフレーター 前年同月比 (9月 3.7%)
23:05 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、講演
23:45 (米) 11月 シカゴ購買部景況指数 (10月 44.0)
24:00 (米) 10月 住宅販売保留指数 前月比 (9月 1.1%)
24:00 (米) 10月 住宅販売保留指数 前年同月比 (9月 -13.1%)
12/1(金)
08:30 (日) 10月 失業率 (9月 2.6%)
08:50 (日) 7-9月期 全産業設備投資額 前年同期比 (4-6月 4.5%)
10:45 (中) 11月 財新製造業PMI (10月 49.5)
17:55 (独) 11月 製造業PMI・改定値 (速報 42.3)
18:00 (欧) 11月 製造業PMI・改定値 (速報 43.8)
18:30 (英) 11月 製造業PMI・改定値 (速報 46.7)
24:00 (米) 11月 ISM製造業景況指数 (10月 46.7、予想 47.7)
24:00 (米) 10月 建設支出 前月比 (9月 0.4%、予想 0.4%)
24:00 (米) グールズビー・シカゴ連銀総裁、討論会
25:00 (米) パウエルFRB議長、トークイベント
28:00 (米) パウエルFRB議長、クックFRB理事、討論会
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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