『米感謝祭明けとなる来週はドル買い・円売りトレンドの本格再開を想定』
○ドル円、週明け早々に週150.00まで上昇後、米金利低下などにより11/21にかけて147.15まで急落
○その後下げ渋ると、米経済指標の好結果などを支援材料に、週後半にかけて149.76まで急伸
○ユーロドル、週央にかけ1.0852まで反落後、欧州株堅調推移などを支援材料に1.0947前後まで持ち直す
○ドル円日足ローソク足が確りとサポート、買いシグナルも継続点灯しており、地合いは強いと判断
○ファンダメンタルズも日米金利差拡大や株式市場の堅調推移など、ドル円相場上昇を連想させる材料揃う
○ドル高・円安トレンドの継続をメインシナリオとして予想
○来週の予想レンジ(USDJPY):148.50ー151.50、(EURUSD):1.0750−1.1050
今週のレビュー(11/20−11/24)
<ドル円相場>
今週のドル円相場は、週初149.65で寄り付いた後、週明け早々に、週間高値150.00まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(1)米感謝祭(Thanksgiving Day)を控えたポジション調整(円売りポジションの解消)や、(2)米金利低下に伴うドル売り圧力(日米金利差縮小に伴う円キャリートレード解消の思惑)、(3)テクニカル的な地合いの悪化(日足ローソク足が市場参加者に意識されていた一目均衡表雲上限を下方ブレイク)、(4)上記3を背景とした短期筋の大規模ロスカット誘発が重石となり、翌11/21にかけて、週間安値147.15(9/14以来、約2カ月ぶり安値圏)まで急落しました。
もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、(5)90日線を背にした押し目買い圧力や、(6)急ピッチな下落に対する自律反発、(7)米10年物インフレ連動債の低調な入札結果、(8)米FOMC議事要旨のタカ派的な結果(2会合連続で利上げを見送ったものの、インフレ高止まりへの警戒姿勢を強調→利下げ条件や利下げ開始時期に関する具体的な言及なし)、(9)中東情勢を巡る地政学的リスクの後退(イスラエルがパレスチナ自治区ガザでの戦闘を一時休止すると発表→株式市場の堅調推移→リスク選好の円売り再開)、
(10)米新規失業保険申請件数(結果20.9万件、予想22.8万件)の良好な結果、(11)米11月ミシガン大学消費者信頼感指数(結果61.3、予想61.0)の市場予想を上回る結果、(12)米11月ミシガン大期待インフレ率・1年先(結果4.5%、予想4.4%)および、5年先(結果3.2%、予想3.1%)の市場予想を上回る結果、(13)米金利上昇に伴うドル買い圧力、(14)テクニカル的な地合いの好転(一目均衡表雲上限を上方ブレイク)が支援材料となり、週後半にかけて、週間高値149.76まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間11/25午前6時00分現在)では、149.47前後で推移しております。
<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場は、週初1.0913で寄り付いた後、(1)米金利低下に伴うドル売り圧力や、(2)欧州株の堅調推移、(3)ベルギー中銀ウンシュ総裁による「市場は追加利上げの可能性を軽視している」「市場による利下げ催促が逆に利上げの可能性を高めている」とのタカ派的な発言、(4)スペイン中銀デコス総裁による「利下げについて話し始めるのは完全に時期尚早だ」とのタカ派的な発言、(5)米感謝祭を控えたポジション調整(ユーロショートのアンワインド)が支援材料となり、翌11/21にかけて、週間高値1.0965(8/11以来、約3カ月半ぶり高値圏)まで上昇しました。
しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(6)心理的節目1.1000を背にした戻り売り圧力や、(7)ポルトガル中銀センテノ総裁による「インフレ率は上昇するよりも早く低下している」「ピーク金利に達した可能性が高い」とのハト派的な発言、(8)米新規失業保険申請件数の良好な結果、(9)米11月ミシガン大消費者期待インフレ率の市場予想を上回る結果、(10)米金利上昇に伴うドル買い圧力が重石となり、週央にかけて、週間安値1.0852まで反落しました。
もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、(11)ユーロ圏11月消費者信頼感指数速報値(結果▲16.9、予想▲17.8)の市場予想を上回る結果や、(12)ドイツ11月製造業PMI速報値(結果42.3、予想41.2)および、同非製造業PMI速報値(結果48.7、予想48.5)の市場予想を上回る結果、(13)ユーロ圏11月製造業PMI速報値(結果43.8、予想43.5)および、同非製造業PMI速報値(結果48.2、予想48.1)の市場予想を上回る結果、(14)欧州株の堅調推移、(15)欧州債利回り上昇に伴うドル買い圧力、(16)ラガルドECB総裁による「インフレ率は鈍化しているが勝利宣言はできない」とのタカ派的な発言が支援材料となり、本稿執筆時点(日本時間11/24午前6時00分現在)では、1.0947前後まで持ち直す動きとなっております。尚、今週発表されたドイツ10月生産者物価指数(結果▲0.1%、予想±0.0%、※前月比)や、ドイツ11月IFO企業景況感指数(結果87.3、予想87.5)は共に市場予想を下回る結果となりましたが、ユーロ売りでの反応は限定的となりました。また、オランダ下院総選挙では、反移民の極右自由党が第1党になる見通しであることが報じられましたが、こちらも市場の反応は限られました。
来週の見通し(11/27−12/1)
<ドル円相場>
ドル円は週前半にかけて、一時147.15(9/14以来、約2カ月ぶり安値圏)まで急落するも、週央以降は一転149円台半ばへと持ち直す力強い動きとなりました。日足ローソク足が一目均衡表雲上限や90日移動平均線に確りとサポートされて反発に転じていることや、強い買いシグナルを示唆する「強気のパーフェクトオーダー」「ダウ理論の上昇トレンド」が継続点灯していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは強いと判断できます(今週前半の急落劇は上昇トレンドの過程で見られる一時的なポジション調整。米感謝祭前に円ショートのアンワインドが入ったことが背景。米感謝祭明けとなる来週は再びドル買い・円売り圧力が強まる公算大)。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)米FRBによる金融引き締め長期化観測(今週発表された米FOMC議事要旨はタカ派的な結果→米11月ミシガン大消費者期待インフレ率も市場予想を上回る内容→米長期金利に上昇圧力)や、(2)日銀による金融緩和の長期化観測(直近で発表された本邦第3四半期GDP速報値は不冴な結果→植田日銀総裁によるハト派的な運営継続→金融緩和脱却の後ズレ観測→円金利に低下圧力)、(3)上記1、2を背景とした日米金利差拡大とそれに伴う円キャリートレードの活発化期待(ドル円、クロス円に上昇圧力)、(4)株式市場の堅調推移(リスク選好の円売り再開→ドル円・クロス円に上昇圧力)など、ドル円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。
以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル高・円安トレンドの継続を来週のメインシナリオとして予想いたします(米感謝祭明けのドル買い・円売りトレンド再開を想定)。尚、来週は米10月新築住宅販売件数や、米11月消費者信頼感指数、米7ー9月期 GDP改定値、米10月PCE コアデフレータ、米11月ISM製造業景気指数に加えて、ブラックフライデーやサイバーマンデーの売れ行き速報に注目が集まります。
来週の予想レンジ(USDJPY):148.50ー151.50
<ユーロドル相場>
ユーロドル相場(EURUSD)は、10/3に記録した年初来安値1.0448をボトムに反発に転じると、今週前半にかけて、約3カ月半ぶり高値1.0965(8/11以来の高値圏)まで急伸しました。日足ローソク足が主要テクニカルポイント(21日線、90日線、200日線、一目均衡表転換線、基準線、雲上限、ボリンジャーミッドバンド)の上側に位置していることや、強い買いシグナルを示唆する「一目均衡表三役好転」「21日線と90日線のゴールデンクロス」「ダウ理論の上昇トレンド」が成立していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは「強い」と判断できます。
但し、ファンダメンタルズ的に見ると、(1)欧州経済を巡る先行き不透明感(先週発表されたユーロ圏第3四半期GDP成長率、今週発表されたドイツ11月IFO企業景況感指数は共に冴えない結果)や、(2)ECBによる金融引き締め休止観測(利下げ議論は時期尚早とのスタンスを維持しつつも次の一手は利下げ開始)、(3)欧米金利差に着目した潜在的なユーロ売り・ドル買い圧力など、ユーロドル相場の上値を抑制する材料が揃っています。こうした中、来週は上記2を見極める目的で11/29に予定されているドイツ 11 月消費者物価指数速報値や、11/30に予定されているユーロ圏11 月HICP速報値に注目が集まります。基調インフレの低下が確認されれば、ECBによる利下げ開始時期の前倒しが意識されるため、欧州債利回り低下→ユーロ売りの経路で、ユーロドルに強い下押し圧力が加わるシナリオが想定されます。
以上を踏まえ、当方では引き続き、ユーロドル相場の一巡後の反落を来週のメインシナリオとして予想いたします(米感謝祭明けとなる来週は米ドル買い機運が再開する恐れがあるため、ユーロドルは早晩頭打ちとなる公算大)。
来週の予想レンジ(EURUSD):1.0750−1.1050
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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