ドル円、日米金融政策の方向性の違いを背景に年初来高値を更新。約11カ月ぶり高値圏へ(9/26朝)

週明け25日(月)のドル円相場は堅調な値動き。

ドル円、日米金融政策の方向性の違いを背景に年初来高値を更新。約11カ月ぶり高値圏へ(9/26朝)

ドル円、日米金融政策の方向性の違いを背景に年初来高値を更新。約11カ月ぶり高値圏へ

〇ドル円、植田日銀総裁、内田日銀副総裁のハト派発言、米金利上昇等に148.96まで上昇
〇ユーロドル、ECB関係者のハト派発言相次ぎ、約6ヵ月半ぶり安値となる1.0575まで急落
〇ドル円は初来高値を更新、昨年10/25以来、約11カ月ぶり高値圏へ上昇
〇主要テクニカルポイントの上側で推移、強い買いシグナルも成立、テクニカルの地合い強い
〇ファンダメンタルズもFRBによる金融引き締め長期化観測と日米金融政策格差がサポート
〇引き続き、ドル買い・円売りトレンドの継続をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:148.25ー149.75

海外時間のレビュー

週明け25日(月)のドル円相場は堅調な値動き。アジア時間朝方にかけて、安値148.25まで軟化するも、一巡後に下げ渋ると、(1)本邦5・10日に絡むドル不足(公表相場決定にかけてのドル買い・円売り)や、(2)植田日銀総裁による「現在の枠組みで粘り強く金融緩和を続ける必要」とのハト派的な発言、(3)内田日銀副総裁による「粘り強く金融緩和を続ける必要がある」「YCC柔軟化は金融緩和の持続性を高めることが狙い」とのハト派的な発言、(4)日経平均株価の5営業日ぶり反発(リスク選好の円売り圧力)、(5)シカゴ連銀グールズビー総裁による「インフレが高止まりするリスクのほうが大きい」「経済の雇用面は非常に好調」とのタカ派的な発言、(6)米金利上昇に伴うドル買い圧力(米10年債利回りが2007年10月以来の高水準となる4.54%へ急上昇)が支援材料となり、米国時間朝方にかけて、年初来高値148.96(昨年10/25以来の高値圏)まで上昇しました。

もっとも、買い一巡後に伸び悩むと、(7)急ピッチな上昇に対する反動売り(利食い売り)や、(8)日本政府・当局による介入警戒感(岸田首相は足元の円安について「引き続き高い緊張感を持って注視していきたい」「為替相場はファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが重要だ」「過度な変動は望ましくない」と発言)、(9)米8月シカゴ連銀全米活動指数(結果▲0.16、予想+0.10)の市場予想を下回る結果が重石となり、本稿執筆時点(日本時間9/26午前4時50分現在)では、148.81前後で推移しております。尚、昨日は米格付け会社ムーディーズより「政府機関閉鎖になれば米格付けにネガティブ」との見解が示されましたが、市場の反応は限定的となりました。

週明け25日(月)のユーロドル相場は冴えない動き。アジア時間朝方にかけて、高値1.0655まで上値を伸ばすも、一巡後に伸び悩むと、(1)米金利上昇に伴うドル買い圧力(米FRBによる金融引き締め長期化観測→米10年債利回りが2007年10月以来の高水準となる4.54%へ急上昇)や、(2)ラトビア中銀カザークス総裁による「9月の利上げは10月の休止を可能にする可能性」とのハト派的な発言、(3)フランス中銀ビルロワドガロー総裁による「ECBは金利引き上げではなく、持続性に焦点を当てるべき」とのハト派的な発言、(4)スペイン中銀デコス総裁による「不十分な引き締めも過剰な引き締めも避けるべき」とのハト派的な発言、(5)シュナーベルECB専務理事による「ユーロ圏の活動は明らかに減速しつつある」とのハト派的な発言、(6)ラガルドECB総裁による「サービス部門における雇用は減速しており全体的な勢いは鈍化」「インフレは低下し続けている」とのハト派的な発言、(7)欧州株の冴えない動きが重石となり、米国時間朝方にかけて、約6ヵ月半ぶり安値となる1.0575(3/13以来の安値圏)まで急落しました。

引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間9/26午前4時50分現在)では、1.0592前後で推移しております。尚、昨日発表されたドイツ9月IFO景況指数(結果85.7、予想85.2)は市場予想を上回りましたが、市場の反応は限定的となりました。

本日の見通し

ドル円は年初来高値を更新し、昨年10/25以来、約11カ月ぶり高値圏(148.96)へと上昇しました。日足ローソク足が全ての主要テクニカルポイント(21日線、50日線、90日線、200日線、ボリンジャーミッドバンド、一目均衡表転換線、基準線、雲上下限)の上側で推移していることや、上位足から下位足に至る全てのローソク足で強い買いシグナル(一目均衡表三役好転、強気のパーフェクトオーダー、ダウ理論の上昇トレンド)が成立していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは極めて強いと判断できます(値頃感に基づく逆張りショート勢をじりじり苦しめる相場展開)。

また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)米FRBによる金融引き締め長期化観測(先週開催された米FOMCおよびパウエルFRB議長記者会見は総じてタカ派→米10年債利回りが2007年10月以来の高水準となる4.52%へ急上昇→米ドル買い再開)や、(2)日銀による金融緩和の継続観測(先週開催された日銀金融政策決定会合および植田日銀総裁記者会見は総じてハト派→円金利伸び悩み→円売り再開)、(3)上記1、2を背景とした日米金融政策格差とそれに伴う円キャリートレードの再開期待(日米金利差拡大に伴うドル買い・円売り)など、ドル円相場の更なる上昇を連想させる材料が揃っています。

政府・日銀による介入警戒感が囁かれているものの、昨年高値151.95を抜けてくるまでは実弾介入に踏み切ることが難しいと推察されるため、当方では引き続き、ドル買い・円売りトレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします(今週中に心理的節目150.00を突破するシナリオを想定)。尚、本日は米7月FHFA住宅価格指数や、米7月S&Pケースシラー住宅価格指数、米8月新築住宅販売件数、米9月コンファレンスボード消費者信頼感指数、米9月リッチモンド連銀製造業指数、ボウマンFRB理事発言等が予定されております。

本日の予想レンジ:148.25ー149.75

注:ポイント要約は編集部

ドル円、日米金融政策の方向性の違いを背景に年初来高値を更新。約11カ月ぶり高値圏へ

ドル円日足

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