ドルは148円台でのもみ合い、日銀会合控え膠着感が強まるのでポンドやリラなど他通貨に注目(23/9/21)

東京時間(日本時間8時から15時)のドル・円は、年初来高値を更新し148円台半ばまで買われた。

ドルは148円台でのもみ合い、日銀会合控え膠着感が強まるのでポンドやリラなど他通貨に注目(23/9/21)

ドルは148円台でのもみ合い、日銀会合控え膠着感、ポンドやリラなど他通貨に注目

【本日の東京市場】

東京時間(日本時間8時から15時)のドル・円は、米連邦開会市場委員会(FOMC)後の記者会見で、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が想定通りのややタカ派なスタンスだったことから市場の安心感が先行。年初来高値を更新し148円台半ばまで買われた。

昨晩の海外時間で発表されたFOMCの結果は、想定通りの政策金利据え置きとなった。その後のパウエルFRB議長の記者会見でも、「適切であれば追加利上げに動く用意があり、インフレが我々の目標に向かって継続的に低下していると確信が持てるようになるまで、政策を景気抑制的な水準に維持する考え」と、こちらも想定通りのややタカ派な姿勢が見られた。ともに市場予想通りの内容だったことから、市場では安心感が先行しドル買いが活発化。記者会見発表前は軟調だったドルは、148円台を回復した。

東京時間もこの流れは継続し、148円46銭まで買われた。日銀金融政策決定会合(日銀会合)が明日22日まで開催されることから、一気に149円台突入という強いドル買いは手控えられたが、148円台でのしっかりとした推移に。10年債利回りが0.74%台まで乗せたが、米10年債利回りも拡大したことで、為替市場への影響は限定的となった。

ドル・円(日本時間8時―15時)
始値:148円26銭
高値:148円46銭
安値:148円19銭
終値:148円34銭 

ユーロ・円(日本時間8時―15時)
始値:157円97銭
高値:158円02銭
安値:157円37銭
終値:157円76銭

豪ドル・円(日本時間8時―15時)
始値:95円63銭
高値:95円63銭
安値:94円94銭
終値:94円98銭

ポンド・円(日本時間8時―15時)
始値:182円90銭
高値:182円95銭
安値:182円39銭
終値:182円75銭

日経平均(日本時間9時―15時)
始値:32865円56銭
高値:32939円89銭
安値:32550円65銭
終値:32571円03銭(前日比−452円75銭)

【本日の海外市場の重要指標】日本時間

16時30分、ス、スイス中銀政策金利、前回:1.75%、市場予想:2.0%
16時30分、ス、スウェーデン中銀政策金利、前回:3.75%、市場予想:4.0%
17時00分、ノ、ノルウェー中銀政策金利、前回:4.0%、市場予想:4.25%
20時00分、英、英中銀政策金利、前回:5.25%、市場予想:5.5%
20時00分、ト、トルコ中銀政策金利、前回:25.0%、市場予想:30.0%
21時30分、米、経常収支、前回:−2193.0億ドル、市場予想:−2200億ドル
21時30分、米、新規失業保険申請件数、前回:22.0万件、市場予想:22.4万件
21時30分、米、フィラデルフィア連銀景況指数、前回:12.0、市場予想:−0.4
23時00分、米、中古住宅販売件数、前回:407.0万件、市場予想:412.0万件

※予定は変更することがございます。

【テクニカル分析】

日足ベースのドル・円は、一目均衡表の雲上限を上放れているほか、遅行スパンも実線を上回っていることから目先のトレンドは強い。9月1日の144円44銭と、11日の145円90銭を結んだ下値支持線に対して、7日と8日の147円88銭と、15日の147円99銭(年初来高値)を結んだ上値抵抗線を上放れていることから、短期的なターゲットとして、昨年10月以来となる150円台到達が意識されよう。

FOMCを無事に通過したことから、市場の関心は明日まで開催される日銀会合に移っている。前回7月の日銀会合にて、イールドカーブコントロール(長短金利操作)の運用柔軟化を決めたことから、金融政策は現状維持が見込まれている。市場の注目は「マイナス金利解除(廃止)」を含むタカ派的なコメントの有無だろう。9月上旬の一部メディアのインタビュー以降、市場では「年内にもマイナス金利を解除するのではないか?」との疑念が生じている。

仮に植田日銀総裁が、長期的な視点で、市場関係者に対して「マイナス金利解除の前倒し」を意識付けたかったのであれば、目的は十分達成できたと言えよう。また、「総裁が観測気球をあげて市場の反応を見た」可能性も考えられる。ある意味、市場との高度な対話を行っているという見方もできる。様々な思惑が浮上していることから、明日15時30分の植田日銀総裁による記者会見での表現には注目だ。

早期のマイナス金利解除の話に言及した場合、為替市場では円が主要通貨に対して買われる地合いとなり、債券市場では10年国債利回りが上昇、週明けの株式市場では、「銀行株買い、不動産株、電気機器株の売り」という構図が想定される。そして、「最後のマイナス金利導入の中央銀行による金融政策の大転換」を迎えることから、2021年1月から続く円全面安のトレンドは終了するだろう。この数か月話題だった政府・日銀による為替介入(円買い・ドル売り)の話も当然ながら自然消滅するはずだ。

今晩の海外時間では、それなりに重要な米経済指標の発表を控えているが、明日の日銀会合を控え膠着感が強まり、ドル・円は年初来高値圏でのもみ合いとなろう。むしろ、政策金利発表を控えて動意付く可能性があるポンドや、トルコ・リラを見ていた方が面白そうだ。今晩の上値メドは年初来高値を少し上回る148円60銭、下値メドは東京時間の安値を少し下回る147円90銭とする。

ドルは148円台でのもみ合い、日銀会合控え膠着感、ポンドやリラなど他通貨に注目

ドル円日足

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