ドル円見通し 米長期債利回り上昇で9月6日未明に147.79円をつけ年初来高値更新(23/9/6)

ドル円は米長期債利回りの上昇を見て9月6日未明に147.79円へ上昇、8月29日夜高値147.36円を超えて1月16日安値127.22円以降の高値を更新した。

ドル円見通し 米長期債利回り上昇で9月6日未明に147.79円をつけ年初来高値更新(23/9/6)

米長期債利回り上昇で9月6日未明に147.79円をつけ年初来高値更新

〇ドル円、米10年債利回り等が大幅上昇でドル高優勢、9/6未明147.79へ上昇し年初来高値を更新
〇9/6朝、神田財務官「あらゆる選択肢を排除せずに対応していく」従来より厳しいトーンで口先けん制
〇ウォラーFRB理事、9/5CNBCインタビューで次回FOMCは利上げ見送りが適切との姿勢を示す
〇米長期債利回りは総じて大幅上昇、ダウは長期債利回り上昇と原油高によるインフレ高止まり懸念で反落
〇147.20以上での推移中は147.79超えから148円を目指す上昇を想定する
〇147.20割れからは下落期入りとみて146.70円台への下落を想定する

【概況】

ドル円は米長期債利回りの上昇を見て9月6日未明に147.79円へ上昇、8月29日夜高値147.36円を超えて1月16日安値127.22円以降の高値を更新、昨年11月以来の高水準に達した。
9月5日は休場明けの米長期債利回りが大幅上昇した。9月1日の米雇用統計を通過して9月FOMC(9/19-20開催)での利上げ見送りと11月と12月の会合でも追加利上げされる確率についての市場予想は5割を切っており、利上げの打ち止め感は変わらないものの、米国のレーバーデー連休明けには例年大量の社債発行があるために債券需給のゆるみが意識されて米10年債利回り等が大幅上昇した事で為替市場はドル高優勢となった。
FRBのウォラー理事が9月5日に9月会合での利上げ見送りを想定しつつ利上げサイクルを終えたと考えるべきではないと釘を刺したことや、サウジの自主減産とロシアの輸出削減計画が市場予想の10月末までではなく12月末まで継続すると表明されたことで原油相場が年初来高値を更新したこともインフレ高止まり感を意識させてドル高要因となったようだ。

9月6日朝、神田財務官は「為替市場はファンダメンタル反映して安定的に推移が望ましい」、「投機的な行動の動きが見られ、高い緊張感を持って注視する」、「昨年に続き、今年も急激な変動が起こっている。あらゆる選択肢を排除せずに適切に対応していく」と述べており、8月29日高値を超えて148円に迫ったことに対して従来よりもやや厳しいトーンで口先のけん制を行った。

【ウォラーFRB理事:今すぐ何かやる必要ない】

9月5日、米FRB(連邦準備制度理事会)のウォラー理事はCNBCインタビューにおいて「今すぐに何かやる必要があると示していることは何もない」と述べて9月19-20日の次回FOMCにおいては利上げ見送りとするのが適切との姿勢を示した。
同理事は「最大の関心事はインフレ」とし、「2か月連続で良かったがインフレ低下がトレンドなのか例外もしくは偶然だったのかについては次の物価統計を見守ることができる」とした。また「年内あと1回利上げしたとしても米経済は必ずしもリセッションに陥るわけではない」とも述べ、利上げサイクルが終了したとするのは時期尚早とも述べている。
9月13日に8月の米CPI(消費者物価指数)の発表があるため、内容次第では追加利上げの可能性が高まるか利上げ終了ヘ進む可能性が高まるのか注目される。

【米10年債利回りは続伸、ダウは反落】

9月5日の米長期債利回りは総じて大幅上昇した。米国連休明けの社債大量発行見通しによる債券需給緩和感から先週末の米8月雇用統計発表後も追加利上げ確率はやや低下したものの米長期債利回りは連休明けを意識して総じて上昇していたが、週明けは原油相場の一段高もあって続騰した。
長期金利指標の10年債利回りは先週末比0.08%高の4.26%となった。9月1日に一時4.06%まで低下したところから4.18%へ上昇したが、5日も続伸して一時4.28%を付けている。
30年債利回りは先週末比0.07%高の4.37%となった。8月31日に4.18%まで低下したところから9月1日は一時4.31%へ急伸したが、5日も大幅続伸で一時は4.39%を付けた。

利上げに敏感な2年債利回りは先週末比0.08%高の4.96%となった。9月1日の米雇用統計から乱高下して一時4.76%まで低下してから4.88%へ上昇したが、5日も続騰で一時は4.97%を付けた。
一方でNYダウは先週末比195.74ドル安、ナスダック総合指数は10.86ポイント安と下落した。長期債利回り上昇と原油高によるインフレ高止まり懸念や中国財新の8月サービス業PMIが7月の54.1から51.8へ悪化したことも影響したようだ。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

8月17日以降、高値を切り上げながら安値も更新してレンジを拡大する騰落を繰り返しており、9月6日未明高値は8月17日高値と8月29日夜高値を結ぶ高値切り上がりラインにほぼ到達した。そこで神田財務官のけん制発言もあったためにやや下げているところだが、目先は年初来高値更新後の修正安へ進みやすいところと思われる。147円台を維持するうちは6日の日中から夜にかけての上昇余地ありとするが、147.20円割れからは下落期入りと仮定して8日夜にかけての下落を想定する。

60分足の一目均衡表では9月1日夜安値からの急反騰により遅行スパンが好転し、先行スパンも上抜いた。その後も両スパンそろっての好転を維持しているので遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、6日午前へ失速気味のため26本基準線割れからは下向きとし、遅行スパン悪化からは先行スパン上限を試す下落を想定する。下げ足が速まる場合は先行スパンへ潜り込む可能性もあると注意する。

60分足の相対力指数は9月5日夜から6日未明にかけての高値更新に際して指数のピークが低下する小規模の弱気逆行がみられるので、50ポイント以上を維持するうちは70ポイント超えから上昇再開となる可能性があるとみるが、50ポイント割れからは下落期入りとして30ポイント割れを目指す下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、147.20円を下値支持線、9月6日未明高値147.79円を上値抵抗線とする。
(2)147.20円以上での推移中は147.79円超えから148円を目指す上昇を想定する。148円手前は売りも出やすいとみるが、147.20円以上での推移なら7日午前も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)147.20円割れからは下落期入りとみて146.70円台への下落を想定する。146.70円台は買いも入りやすいとみるが、下げ足が速まる場合は146.50円前後へ下値目途を引き下げ、147.20円以下での推移が続く場合は7日午前も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の予定】

9/6(水)
10:30 (豪) 4-6月期 GDP 前期比 (1-3月 0.2%、予想 0.3%)
10:30 (豪) 4-6月期 GDP 前年同期比 (1-3月 2.3%、予想 1.8%)
14:00 高田日銀審議委員、記者会見
15:00 (独) 7月 製造業新規受注 前月比 (6月 7.0%、予想 -4.0%)
15:00 (独) 7月 製造業新規受注 前年同月比 (6月 3.0%、予想 -4.5%)
18:00 (欧) 7月 小売売上高 前月比 (6月 -0.3%、予想 -0.1%
18:00 (欧) 7月 小売売上高 前年同月比 (6月 -1.4%、予想 -1.2%)

21:30 (米) コリンズ・ボストン連銀総裁、講演
21:30 (米) 7月 貿易収支 (6月 -655億ドル、予想 -680億ドル)
22:15 (英) ベイリー英中銀総裁、議会証言
22:45 (米) 8月 サービス業PMI・改定値 (速報 51.0、予想 51.0)
22:45 (米) 8月 総合PMI・改定値 (速報 50.4、予想 50.4)
23:00 (加) BOC(カナダ中銀) 政策金利 (現行 5.00%、予想 5.00%)
23:00 (米) 8月 ISM非製造業景況指数 (7月 52.7、予想 52.5)
27:00 (米) 米地区連銀経済報告(ベージュブック)
28:00 ローガン・ダラス連銀総裁、コミュニティリスニングセッションに参加

9/7(木)
休場 ブラジル
未 定 (中) 8月 貿易収支・米ドル建て (7月 806.0億ドル、予想 676.8億ドル)
未 定 (中) 8月 貿易収支・人民元建て (7月 5757.0億元)
07:45 (NZ) 4-6月期 製造業売上高 前期比 (1-3月 -2.8%)
10:30 (豪) 7月 貿易収支 (6月 113.21億豪ドル、予想 100.00億豪ドル)
14:00 (日) 7月 景気先行指数CI・速報値 (6月 108.9、予想 107.8)
14:00 (日) 7月 景気一致指数CI・速報値 (6月 115.1、予想 114.2)

15:00 (独) 7月 鉱工業生産 前月比 (6月 -1.5%、予想 -0.4%)
15:00 (独) 7月 鉱工業生産 前年同月比 (6月 -1.7%、予想 -2.1%)
17:30 (欧) エルダーソンECB理事、講演
18:00 (欧) 4-6月期 GDP・確定値 前期比 (改定値 0.3%、予想 0.3%)
18:00 (欧) 4-6月期 GDP・確定値 前年同期比 (改定値 0.6%、予想 0.6%)
21:30 (米) 4-6月期 非農業部門労働生産性・改定値 前期比 (速報 3.7%、予想 3.6%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 22.8万件、予想 23.4万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 172.5万人)
23:00 (米) ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、講演
24:00 (米) EIA週間石油在庫統計
28:30 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、イベント参加
28:45 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、講演



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