ドル円、日米金利差拡大を背景に心理的節目140円の大台突破に成功(5/26朝)

25日(木)のドル円相場は堅調な値動き。

ドル円、日米金利差拡大を背景に心理的節目140円の大台突破に成功(5/26朝)

ドル円、日米金利差拡大を背景に心理的節目140円の大台突破に成功

〇ドル円、米国時間午後にかけ約半年ぶりに140.23まで急伸
〇米1QGDPや新規失業保険申請件数の好調、FRB関係者のタカ派発言が背景
〇ユーロドル、欧州経済指標の不冴えとECB関係者のハト派発言に一時1.0707まで下落
〇ドル円、昨年高値151.95と本年1/16安値127.22を結んだフィボナッチ半値戻しに成功
〇ファンダメンタルズもFRBによる6月追加利上げ観測の高まりがドル円をサポート
〇米債務問題はどちらの結果でもドル円上昇につながりやすいか
〇引き続き、ドル円相場の続伸をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:139.25ー141.25

海外時間のレビュー

25日(木)のドル円相場は堅調な値動き。(1)大手格付け会社フィッチ・レーティングスによる「米国の信用格付け見通しをネガティブに指定する」との発表や、(2)上記1を背景とした短期筋のロスカットが重石となり、アジア時間朝方にかけて、安値138.84まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(3)5・10日要因のドル買い・円売り(仲値にかけてのドル不足)や、(4)植田日銀総裁による「金融緩和を粘り強く継続し、賃金上昇伴う物価2%達成を目指す」「政策変更は賃金より持続・安定的な2%見込めるかで判断」とのハト派的な発言、(5)日経平均株価の堅調推移(3日ぶり反発→リスク選好の円売り再開)、

(6)米1ー3月期実質GDP改定値(結果+1.3%、予想+1.1%、※前期比年率)の市場予想を上回る結果、(7)米新規失業保険申請件数(結果22.9万件、予想24.5万件)の良好な結果、(8)米4月シカゴ連銀全米活動指数(結果+0.07、予想▲0.20)の力強い結果、(9)米長期金利の急上昇とそれに伴うドル買い圧力、(10)米5月カンザスシティ連銀製造業活動指数(結果▲1、予想▲9)の市場予想を上回る結果、(11)リッチモンド連銀バーキン総裁による「労働市場は非常に強い」とのタカ派的な発言、

(12)心理的節目140円の大台突破に伴う仕掛け的なドル買い・円売りが支援材料となり、米国時間午後にかけて、約半年ぶり高値140.23(昨年11/23以来の高値圏)まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間5/26午前5時30分現在)では、140.10前後で推移しております。尚、昨日はボストン連銀コリンズ総裁より「FRBは利上げを一時停止できる時期、もしくはそれに近い段階にある」とのハト派的な発言が見られましたが、ドル売りでの反応は限定的となりました。

25日(木)のユーロドル相場は続落。アジア時間朝方にかけて、高値1.0757まで上値を伸ばすも、一巡後に伸び悩むと、(1)ドイツ1ー3月期GDP速報値(結果▲0.3%、予想±0.0%、※前期比)の市場予想を下回る結果や、(2)上記1を背景としたドイツ経済の先行き不透明感(2四半期連続のマイナス成長→ドイツ経済のリセッション入り)、(3)ドイツ6月GFK消費者信頼感(結果▲24.2、予想▲24.0)の冴えない結果、(4)フランス5月生産アウトルック指数(結果▲10、予想▲5)の市場予想を下回る結果、

(5)フランス5月INSEE企業景況感(結果99、予想101)の不冴な結果、(6)欧州株の軟調推移、(7)米経済指標の力強い結果、(8)米金利上昇に伴うドル買い圧力、(9)フランス中銀ビルロワドガロー総裁による「ECBは既に利上げサイクルの大半を完了した」とのハト派的な発言が重石となり、米国時間朝方にかけて、安値1.0707(3/24以来、約2ヵ月ぶり安値圏)まで下落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間5/26午前5時30分現在)では、1.0723前後で推移しております。尚、昨日はデギンドスECB副総裁より「賃金動向がインフレ見通しの上方リスクを高めている」とのタカ派的な発言や、ドイツ連銀ナーゲル総裁による「ECBは高インフレを克服するため金融引き締めを継続する」とのタカ派的な発言が見られましたが、ユーロ買いでの反応は限定的となりました。

本日の見通し

ドル円は心理的節目140.00の上抜けに成功すると、一時140.23(昨年11/23以来、約半年ぶり高値圏)まで急伸しました。日足ローソク足が昨年10/21高値151.95と本年1/16安値127.22を結んだフィボナッチ半値戻し(139.58)の上方ブレイクに成功したことや、昨年11/30高値139.91を上抜けしたこと、強い買いシグナルを示唆する「一目均衡表三役好転」「ダウ理論の上昇トレンド」「強気のバンドウォーク」が成立していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは「極めて強い」と判断できます。目先は昨年11/21高値142.27を試す動きが想定されます。

また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)米FRBによる追加利上げ観測の高まり(次回6月FOMCでの25bpの追加利上げの織り込み度合が49.3%へ急上昇)や、(2)日銀による金融緩和の長期化観測(植田日銀総裁は昨日も金融緩和の修正に慎重なスタンスであることを強調)、(3)上記1、2を背景とした日米金融政策の方向性の違い(日米金利差拡大とそれに伴う円キャリートレード再開)など、ドル円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。米債務上限問題に絡む不確実性が燻っていますが、これまで同様、ぎりぎりで合意に至る可能性が高いと見られ、同問題解決後は悪材料出尽くしに伴うあく抜け感から米株上昇→ドル円上昇の流れがもう一段強まることが想定されます。

また、万が一デフォルトに陥った場合であっても、米国の短期債の償還の滞り→世界的なドル不足拡大→ドル買い殺到の波及経路で、ドル円には上昇圧力が加わるものと推察されます(合意でも決裂でもドル買いに繋がり易い)。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の続伸をメインシナリオとして予想いたします。尚、本日は本邦の東京区部5月消費者物価指数や、米4月耐久財受注速報値、米4月PCEデフレータ、米4月卸売在庫速報値、米5月ミシガン大学消費者信頼感指数確報値に注目が集まります。

本日の予想レンジ:139.25ー141.25

注:ポイント要約は編集部

ドル円、日米金利差拡大を背景に心理的節目140円の大台突破に成功

ドル円日足

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