ドル円、パウエル議長の議会証言を受けて急上昇。本日は米雇用関連指標に注目(3/8朝)

7日(火)のドル円相場はパウエルFRB議長発言を経て急上昇。

ドル円、パウエル議長の議会証言を受けて急上昇。本日は米雇用関連指標に注目(3/8朝)

ドル円、パウエル議長の議会証言を受けて急上昇。本日は米雇用関連指標に注目

〇ドル円、欧州朝方に135.55まで下落後、パウエル議長議会証言を受け137.15まで急伸
〇パウエル議長、経済データの強さからターミネート金利上昇や利上げペース加速の可能性を示唆
〇ユーロドル、欧州時間朝方1.0695まで上昇するも、議長証言で1.0546まで急落
〇ドル円約2ヵ月ぶり高値圏へと上昇、テクニカルの地合い強い、200日線を上抜けられるか注目
〇ファンダメンタルズもパウエル議長の議会証言で日米金利差拡大観測強まり、ドル円をサポート
〇引き続き、ドル高・円安トレンド継続をメインシナリオとして予想
〇リスクシナリオは米雇用の減速、週末日銀会合でのサプライズ政策修正
〇本日の予想レンジ:136.00ー138.00

海外時間のレビュー

7日(火)のドル円相場はパウエルFRB議長発言を経て急上昇。(1)本邦輸出企業の実需のドル売りや、(2)米金利低下に伴うドル売り圧力、(3)日銀金融政策決定会合を控えたポジション調整、(4)通貨オプション市場のダウンサイドを織り込む動きが重石となり、欧州時間朝方にかけて、安値135.55まで下落しました。しかし、売り一巡後に持ち直すと、(5)パウエルFRB議長(半期に一度の上院銀行委員会での議会証言)による「最新の経済データは予想以上に強く、最終的な金利水準が従来の予想よりも高くなる可能性が高いことを示唆している」「データ全体が引き締めペースの加速を正当化すれば、利上げペースを加速させる用意がある」とのタカ派的な発言や、(6)上記5を背景とした米長期金利の急上昇(次回3月FOMCでの50bp利上げ観測浮上→米2年債利回りが2007年7月以来となる5.00%を突破)、(7)短期筋の大規模ロスカットが支援材料となり、米国時間午後にかけて、高値137.15(12/20以来の高値圏)まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間3/8午前5時00分時点)では、137.13前後で推移しております。

7日(火)のユーロドル相場は大幅下落。(1)米金利低下に伴うドル売り圧力や、(2)ドイツ1月製造業新規受注(結果▲10.9%、予想▲12.5%)の市場予想を上回る結果が支援材料となり、欧州時間朝方にかけて、高値1.0695まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(3)ドイツ金利の低下幅拡大や、(4)パウエルFRB議長によるタカ派的な発言、(5)米金利上昇に伴うドル買い圧力が重石となり、米国時間午後にかけて、安値1.0546まで急落しました。引けにかけて持ち直すも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間3/8午前5時00分時点)では、1.0551前後で推移しております。

本日の見通し

ドル円は一時137.15まで急伸するなど、昨年12/20以来、約2ヵ月ぶり高値圏へと上昇しました。ダウンサイドに複数のサポートポイント(一目均衡表転換線や基準線、90日移動平均線や21日移動平均線、一目均衡表雲上限など)が並んでいること(押し目買いポイントが複数存在すること)や、強い買いシグナルを示唆する「一目均衡表三役好転」が継続していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは強いと判断できます(目先は200日移動平均線が位置する137.30を抜けられるか否かに注目)。また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)米FRBによる金融引き締め長期化観測(3月FOMCでの50bp利上げを織り込む動き)や、(2)日銀による金融緩和の長期間観測(緩和修正は当面無いとの見方)、(3)上記1、2を背景とした日米金融政策の方向性の違い(日米名目金利差拡大→円キャリートレード再開)など、ドル円相場の続伸を連想させる材料が揃っています。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル高・円安トレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします。

一方、メインシナリオに対するリスクシナリオ(ドル円下落シナリオ)としては、(A)本日以降に発表される米雇用関連指標(米2月ADP雇用統計、米1月JOLT雇用動態調査、米1月雇用統計など)が市場予想を下回る場合や、(B)今週末金曜日に開催される黒田総裁最後の日銀金融政策決定会合でイールドカーブコントロールの変動幅再拡大などサプライズが見られる場合が想定されます。前者(本日発表される米2月ADP雇用統計や米1月JOLT雇用動態調査が市場予想を下回る場合)については、米ウォールストリートジャーナル紙が3/6に掲載した「Long-Robust U.S. Labor Market Shows Signs of Cooling(米労働市場に減速の兆し。求人サイトが示唆)」で指摘した通り、米労働市場の減速が確認されれば、米FRBによる金融引き締め再加速観測後退→米長期金利急低下→米ドル売りの経路で、ドル円に強い下押し圧力が加わる恐れがあるため、注意が必要でしょう。

また、後者(日銀によるサプライズ修正)については、一部で黒田総裁が植田次期総裁に対して政策柔軟化の余地を残すべく、イールドカーブコントロールの許容変動幅拡大(±0.50%→±1.00%)を今タイミングで決定するのではないかとの思惑が広がっています。この場合も、円金利急騰→日米金利差縮小→円キャリートレード逆流の経路でドル円には下押し圧力が加わるものと推察されます。事実、通貨オプション市場では、これらのイベント(米雇用関連指標と日銀金融政策決定会合)を含むショートデートオプションが高騰すると共に、リスクリバーサルも円コールオーバーが拡大するなど、ダウンサイドリスクをヘッジする動きが続いています。いずれのケースも、実現する可能性は乏しいものの、万が一発生した際に大きな値幅をもたらす恐れがあることから、リスクシナリオとして頭の片隅に置いておく必要があるでしょう。

尚、本日は上記で示した米2月ADP雇用統計や、米1月JOLT雇用動態調査に加えて、米MBA住宅ローン申請指数や、米1月貿易収支、パウエルFRB議長による下院金融委員会での議会証言、米10年債入札、米地区連銀経済報告などにも注目が集まります。

本日の予想レンジ:136.00ー138.00

注:ポイント要約は編集部

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