来週の為替相場見通し:『パウエル氏議会証言・黒田氏最後の日銀会合・米雇用統計に注目』(3/4朝)

ドル円は1/16に記録した約7カ月半ぶり安値127.22をボトムに反発に転じると、今週後半にかけて、昨年12/20以来、約2ヵ月ぶり高値となる137.11まで急伸しました。

来週の為替相場見通し:『パウエル氏議会証言・黒田氏最後の日銀会合・米雇用統計に注目』(3/4朝)

『パウエル氏議会証言・黒田氏最後の日銀会合・米雇用統計に注目』

〇今週のドル円、週央にかけ135.26まで下落後週後半にかけ137.11まで急伸
〇米経済指標の良悪による米長期金利の上下につれて方向感に欠ける動き続く
〇ユーロドル週央にかけ一時1.0692の高値をつけるも反落、1.06中心のレンジからは離脱できず
〇ドル円、テクニカルの地合い強く、ファンダメンタルズも日米金利差拡大期待強まり、ドル円をサポート
〇ドル買い・円売りトレンドの継続を来週のメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(USDJPY):134.50ー138.50、(EURUSD):1.0475−1.0825

今週のレビュー(2/27−3/3)

<ドル円相場>
今週のドル円相場は、週初136.51で寄り付いた後、(1)米1月耐久財受注(結果▲4.5%、予想▲4.0%)の不冴な結果や、(2)米2月シカゴ購買部協会景気指数(結果43.6、予想45.3)の市場予想を下回る結果、(3)米2月コンファレンスボード消費者信頼感指数(結果102.9、予想108.5)の冴えない結果、(4)米2月リッチモンド連銀製造業景気指数(結果▲16、予想▲5)の急低下、(5)上記1、2、3、4を背景とした米長期金利の急低下が重石となり、週央にかけて、週間安値135.26まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(6)中国経済の回復期待(中国2月製造業PMIおよび中国2月非製造業PMIの力強い結果)や、(7)ミネアポリス連銀カシュカリ総裁による「次回FOMCで25bpもしくは50bpの利上げがオープン」とのタカ派的な発言、(8)米2月ISM製造業景況指数の内訳の仕入れ価格上昇(結果51.3、前回44.5)、(9)高田日銀審議委員による「現行の大規模な金融緩和を続ける必要がある」とのハト派的な発言、

(10)米ブルームバーグ社による「黒田総裁最後の3/9ー3/10会合でサプライズは的な政策修正は実施されない可能性が高い」との観測報道、(11)米10ー12月期単位労働コスト(結果+3.2%、予想+1.6%、※前期比年率)の市場予想を上回る結果、(12)米新規失業保険申請件数(結果19.0万件、予想19.5万件)の良好な結果、(13)米長期金利の急上昇(米10年物利回りは昨年11/10以来の高水準となる4.08%へ急上昇)が支援材料となり、週後半にかけて、週間高値137.11まで急伸しました。もっとも、200日移動平均線をバックに伸び悩むと、週末にかけて反落し、本稿執筆時点(日本時間3/4午前2時45分時点)では、136.05前後で推移しております。

<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場は、週初1.0541で寄り付いた後、早々に週間安値1.0532まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(1)フランス2月消費者物価指数(結果+7.2%、前回+7.0%)の伸び率高進(過去最高水準記録)や、(2)スペイン2月消費者物価コア指数(結果+7.7%、前回+7.5%)の伸び率高進(過去最高水準記録)、(3)ドイツ2月消費者物価指数(結果+9.3%、予想+9.0%、※前年比)の市場予想を上回る結果、(4)上記1、2、3を背景としたECBによる金融引き締め長期化観測(ターミナルレート引き上げを織り込む動き→欧州債利回り上昇→ユーロ買い)、(5)ドイツ連銀ナーゲル総裁による「ECBは3月の後も大幅な利上げが必要」とのタカ派的な発言、(6)米経済指標の不冴な結果、(7)上記6を背景とした米長期金利の上昇幅縮小が支援材料となり、週央にかけて、週間高値1.0692(2/21以来の高値圏)まで急伸しました。

もっとも、買い一巡後に伸び悩むと、(8)フィッチ・レーティングスによる「ドイツとイタリアが年内にリセッションに陥る」との見通し発表や、(9)米2月ISM製造業景況指数の内訳の仕入れ価格上昇、(10)米10ー12月期単位労働コストの市場予想を上回る結果、(11)米2月ISM非製造業景況指数の良好な結果が重石となり、本稿執筆時点(日本時間3/4午前2時45分現在)では、1.0619前後で推移しております。尚、今週発表されたECB議事要旨では「景気は想定されていたものよりも底堅いことが判明」「エネルギーショックは想定以上に早く消える可能性がある」との見解が示されましたが、市場の反応は限定的となりました。

来週の見通し(3/6−3/10)

<ドル円相場>
ドル円は1/16に記録した約7カ月半ぶり安値127.22をボトムに反発に転じると、今週後半にかけて、昨年12/20以来、約2ヵ月ぶり高値となる137.11まで急伸しました。この間、日足・ローソク足が主要テクニカルポイントを上抜けした他、強い買いシグナルを示唆する一目均衡表三役好転も成立するなど、テクニカル的に見て、地合いは強いと判断できます。また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)米FRBによる金融引き締め再加速観測(次回3/21ー3/22のFOMCでの利上げ幅が50bpに拡大するとの思惑が浮上した他、米当局者からも相次いでターミナルレート引き上げを示唆する発言あり→米10年債利回りは節目となる4%を突破)や、(2)日銀による金融緩和の早期修正観測の後退(日米正副総裁による所信聴取や高田日銀審議員の発言等を見る限り日銀は当面政策修正に動かないとの見方が大勢→円売り安心感)、

(3)上記1、2を背景とした日米金利差拡大とそれに伴う円キャリートレード再開期待など、ドル円相場の続伸を連想させる材料が揃っています。こうした中、来週は上記(1)を確かめる上で、3/7に予定されている上院でのパウエルFRB議長議会証言や、3/10の米2月雇用統計に注目が集まります。パウエルFRB議長よりタカ派的な見解(3月の利上げ幅拡大やターミナルレート引き上げの可能性への言及)が示される場合や、米雇用統計が2ヵ月連続でポジティブサプライズを記録する場合には、米金利上昇→米ドル買いの経路でドル円に強い上昇圧力が加わるものと推察されます。また、上記(2)を確かめる上では、来週3/9に予定されている黒田総裁体制下で最後となる日銀金融政策決定会合に注目が集まります。

市場コンセンサスは「政策変更無しのノーサプライズ」が予想されているものの、一部では植田次期総裁へのバトンパスとしてイールドカーブコントロールの許容変動幅拡大(±0.5%から±1.0%への拡大)といったサプライズ演出がなされるのではないかとの見方も燻っているため注意が必要でしょう。当方は、パウエルFRB議長のタカ派的な発言+米雇用統計の力強い結果+日銀による政策変更見送りの組み合わせを想定しているため、日米金利差拡大を背景としたドル買い・円売りトレンドの継続を来週のメインシナリオとして予想いたします。

来週の予想レンジ(USDJPY):134.50ー138.50

<ユーロドル相場>
ユーロドル相場は2/2に記録した約10ヵ月ぶり高値1.1034をトップに反落に転じると、今週前半に、一時1.0532(1/6以来の安値圏)まで下げ幅を広げましたが、週央以降は一転持ち直す動きとなりました。日足・ローソク足が90日移動平均線や一目均衡表雲下限に確りサポートされていることや、強い買いシグナルを示唆する強気のパーフェクトオーダーが継続していること、1/6に記録した年初来安値1.0483を死守できていること(ダウ理論の上昇トレンドが辛うじて継続していること)等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは崩れていない(一巡後の反発リスクに要警戒)と判断できます。また、ファンダメンタルズ的に見ても、今週発表されたフランス、スペイン、ドイツ、ユーロ圏のCPIが軒並み強い結果となったことで、市場で、ECBによる金融引き締め再加速観測(ECBのターミナルレート4%超の織り込み開始→欧州債利回り上昇→ユーロ買いの波及経路)が再燃するなど、ユーロドルの上昇を連想させる材料が復活しました。

米国側も、米FRBによる金融引き締め再加速の思惑→米国のターミナルレート上方修正→米金利上昇→米ドル買いといった同様の流れが出ているものの、欧州より米国の方が先行してこうした流れが出ていたことから、伸びしろ(金利の上昇余地)の観点で、ユーロに軍配が上がると考えられます。事実、今週は2月初旬から始まったドル買いの流れが鈍化しました(米ドル指数の週足が4週ぶりに陰線を記録)。以上を踏まえ、当方では、ユーロドル相場の上昇を来週のメインシナリオとして予想いたします(ユーロ>米ドル>円の順番に通貨が強くなると予想。従って、ユーロドル、ドル円、ユーロ円の組み合わせの中ではユーロ円が最も強くなるシナリオを想定)。尚、来週は欧州側では、3/8に予定されているユーロ圏10−12月期GDP確定値や、ラガルドECB総会発言、米国側では、3/7に予定されているパウエルFRB議長の上院での議会証言や、3/10の米2月雇用統計に注目が集まります。

来週の予想レンジ(EURUSD):1.0475−1.0825

注:ポイント要約は編集部

『パウエル氏議会証言・黒田氏最後の日銀会合・米雇用統計に注目』

ドル円日足

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