ドル円見通し 1月20日夜高値を超えるも131円には届かず
〇ドル円、日銀の共通担保資金供給オペ実施、米長期債利回りが反騰継続したことで1/23夜130.88へ上昇
〇1/20夜高値130.61を超えるも131円には届かず、経済指標悪化等を背景に1/24午前序盤は失速気味
〇12月日銀会合議事要旨、金融緩和策継続を強調、政策修正決定前には政府出席者の離席による中断あり
〇日銀の共通担保オペ実施、1兆円オファーに3兆円の応札、これをきっかけに債券買い・利回り上昇
〇米長期債利回りは週末から連騰、米株価も上昇
〇129.70以上での推移中は上昇余地ありとし、131円超えからは131.57前後を試すとみる
〇129.70割れからはいったん下げに入るとみて、129円前後への下落を想定する
【概況】
ドル円は1月23日夜に130.88円へ上昇、1月20日夜高値130.61円を超えて1月18日の日銀金融政策決定会合からの乱高下でつけた1月18日深夜安値127.55円からの戻り幅を3.33円とし、1月18日午後高値131.57円からの下落幅4.02円に対して凡そ83%を戻した。しかし131円には届かずに24日午前序盤はやや失速気味の推移で130.50円を一時割り込んでいる。
1月20日はスイスのダボス会議に出席していた黒田日銀総裁が金融緩和政策継続を強調する発言を行ったことと米長期債利回り反騰により128円台中盤からの上昇を継続して130.61円へ高値を伸ばしていた。1月23日午前はその反動で129円を試すところまで下げていたが、日銀が1月18日の会合で拡充を決定した共通担保資金供給オペが実施されたことで129円割れを回避して上昇、米長期債利回りも週末からの反騰を深夜にかけて継続したことで1月20日夜高値を超えたが、米コンファレンスボードの12月景気先行指数が市場予想を下回ったことでFRBの利上げペース減速感が強まったとしてドル高にややブレーキがかかったために131円台には届かなかったようだ。
米コンファレンスボードによる12月の景気先行指数は110.5となり、11月から1.0%低下で市場予想の0.7%低下を下回った。米経済指標に対する市場の関心は1月26日の10-12月期米GDP速報、27日の12月個人消費支出(PCE)物価指数、1月31日〜2月1日のFOMCへと向かう流れ。
【日銀12月会合議事要旨】
日銀は1月23日朝に12月20日開催の金融政策決定会合議事要旨を公開した。12月会合では長期金利ゼロ%誘導のための許容変動幅上限をそれまでの0.25%から0.50%へ拡大したために市場は事実上の利上げと受け止め、1月18日会合でも追加の政策修正があるとの事前新聞報道により円高へ進んでいたものの1月18日会合では概現状維持とされたことで当初にサプライズ的な円安反応となったが、日銀の政策修正への流れは変わらないとして円高がぶり返し、127円台で下げ一服したことと黒田総裁発言や米長期債利回りの反発で円安再燃となっていた。
議事要旨では長期金利操作による金融緩和策について「持続性を強化することが必要」との意見があり、複数からは許容変動幅上限の引き上げについては「金融緩和からの出口に向けた変更ではない」との発言も見られたが、「債券市場の機能度が低下している」ことで「緩和効果の波及を阻害する恐れがある」との認識も示された。また政策修正の採決に際して政府出席者からの申し出で凡そ37分間の中断があったとされ、政府側からの関心の強さないしは関与への圧力感をにじませた。
【日銀の共通担保オペ1兆円オファーに3兆円の応札】
1月18日の日銀金融政策決定会合では金融政策は概ね現状維持とされたが、共通担保資金供給オペによる低金利資金供給の拡充が盛り込まれていたため、供給オペによる債券市場及び為替市場の反応がどうなるのか注目されていたが、1月23日に日銀は5年物の共通担保資金供給オペ1兆円の通告を行った上で実施した。1兆円のオファーに対して応札は3兆1290億円と凡そ3倍となり、そのうち1兆3億円が落札、貸付けの平均落札金利は0.145%だった
これをきっかけに債券買い・利回り上昇となり、新発10年物369回債利回りは前日から0.025%低下の0.375%へ下げ、日銀の資金供給による円安誘導とみてドル円は上昇した。
企業にとっては日銀が出口戦略へ向かう中で5年物の低金利融資を確保しておくことは有益で需要も大きいという印象であり、黒田総裁在任中は金融緩和政策姿勢を崩さないとの日銀の意思を示したものと思われる。
【米10年債利回りは週末から連騰、ダウも上昇】
1月23日の米長期債利回りは総じて上昇、10年債利回りは先週末比0.04%上昇の3.52%、30年債利回りは同0.02%上昇の3.68%、2年債利回りは同0.06%上昇の4.23%だった。
指標の10年債利回りは1月18日に前日比0.17%低下して19日には一時3.32%をつけて昨年10月21日の4.34%以降の最安値としたところから反発し、20日の0.09%上昇からの連騰となった。30年債利回りも20日の0.10%上昇からの連騰、2年債利回りも20日の0.04%上昇からの連騰となった。いずれも最近の大幅低下に対する修正的な動きと思われる。
一方でNYダウは前日比254.07ドル高と上昇、1月20日に330.93ドル高と4日ぶりの反発となったところから連騰、ナスダック総合指数も223.98ポイント高で20日の288.16ポイント高からの連騰となった。最近の米経済指標が労働市場の堅調さを示しつつも全般的に景気鈍化傾向を示していることで次回FOMCでの利上げ幅が0.25%に減速するとの期待感から買われている印象だ。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
ドル円は1月18日の乱高下が落ち着いてから持ち直しの動きを継続しているがまだ1月18日に急騰したところの高値131.57円には届かずにいる。130円台を維持するか一時的に割り込んでも回復するうちは25日午後にかけての上昇余地ありとみるが、129.70円割れからは戻り一巡による下落期入りとして26日午後にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では1月23日夜への上昇で遅行スパンは好転を維持、先行スパンを上抜いているため遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、遅行スパン悪化からは戻り一巡による下落期入りとみて安値試し優先とする。その際は先行スパン下限が下値支持線となりやすいが、先行スパンから転落する場合は下げ足が速まる可能性があると注意する。
60分足の相対力指数は1月23日夜への上昇で70ポイントまで戻したものの1月20日夜高値時からは指数のピークが切り下がっている。50ポイント以上を維持するうちは上昇継続性ありとみるが、次に50ポイントを割り込むところからは下落期入りとみて30ポイント台への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、129.70円を下値支持線、131.00円を上値抵抗線とする。
(2)129.70円以上での推移中は上昇余地ありとし、131円超えからは1月18日午後高値131.57円前後を試すとみる。131.40円以上は反落警戒とし、その後に130円を割り込む場合は下落期入りとするが、130円台を維持しての推移なら25日午前も高値試しを続ける可能性があるとみる。
(3)129.70円割れからはいったん下げに入るとみて129円前後への下落を想定する。129円以下は反騰注意とするが、129.70円を下回っての推移なら25日も安値試しへ向かいやすいとみて下げ足が速まる場合は128円台中盤への下落を想定する。
【当面の主な予定】
1/24(火)
休場、中国、香港、シンガポール、台湾、韓国、ベトナム、マレーシア
09:30 (豪) 12月 NAB企業景況感指数 (11月 20)
16:00 (独) 2月 GFK消費者信頼感 (1月 -37.8、予想 -33.0)
17:30 (独) 1月 製造業PMI・速報値 (12月 47.1、予想 47.9)
17:30 (独) 1月 サービス業PMI・速報値 (12月 49.2、予想 49.6)
18:00 (欧) 1月 製造業PMI・速報値 (12月 47.8、予想 48.5)
18:00 (欧) 1月 サービス業PMI・速報値 (12月 49.8、予想 50.2)
18:30 (英) 1月 製造業PMI・速報値 (12月 45.3、予想 45.5)
18:30 (英) 1月 サービス業PMI・速報値 (12月 49.9、予想 49.7)
23:45 (米) 1月 製造業PMI・速報値 (12月 46.2、予想 46.0)
23:45 (米) 1月 サービス業PMI・速報値 (12月 44.7、予想 45.0)
24:00 (米) 1月 リッチモンド連銀製造業指数 (12月 1、予想 -5)
27:00 (米) 財務省2年債入札
1/25(水)
休場、中国、香港、台湾、ベトナム
06:45 (NZ) 10-12月期 消費者物価指数(CPI) 前期比 (7-9月 2.2%、予想 1.4%)
06:45 (NZ) 10-12月期 消費者物価指数(CPI) 前年同期比 (7-9月 7.2%、予想 7.1%)
08:30 (豪) 12月 ウエストパック景気先行指数
09:30 (豪) 10-12月期 消費者物価指数(CPI) 前期比 (7-9月 1.8%、予想 1.6%)
09:30 (豪) 10-12月期 消費者物価指数(CPI) 前年同期比 (7-9月 7.3%、予想 7.5%)
09:30 (豪) 12月 消費者物価指数指数(CPI) 前年同月比 (11月 7.3%、予想 7.7%)
14:00 (日) 11月 景気先行指数CI・改定値 (速報 97.6)
14:00 (日) 11月 景気一致指数CI・改定値 (速報 99.1)
18:00 (独) 1月 IFO企業景況指数 (12月 88.6、予想 90.3)
24:00 (加) カナダ中銀 政策金利 (現行 4.25%、予想 4.50%)
24:30 (米) エネルギー省週間石油在庫統計
27:00 (米) 財務省5年債、変動利付2年債入札
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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