ドル円、日銀による共通担保資金供給オペ実施をトリガーに一時130円台後半へ急伸(1/24朝)

週明け23日(月)のドル円相場は下落後に持ち直す展開。

ドル円、日銀による共通担保資金供給オペ実施をトリガーに一時130円台後半へ急伸(1/24朝)

ドル円、日銀による共通担保資金供給オペ実施をトリガーに一時130円台後半へ急伸

〇ドル円130円台、日銀による共通担保オペに3.1兆円もの応札があったことで円売りに転じる
〇米国時間も米金利上昇にドル円の上昇続き一時130.90の高値をつけるも米指標の不冴えに反落
〇ユーロドル、米欧金利差縮小観測に1.0927まで上昇後、1.08台半ばに反落
〇ドル円、情報に複数のテクニカルポイント控え、売りシグナルも継続、上昇余地は限られるか
〇ファンダメンタルズも根強い日米金利差縮小観測等、ドル円下落連想させる材料揃う
〇ドル売り・円買いトレンドの継続を予想、本日の予想レンジ:129.50ー131.50

海外時間のレビュー

週明け23日(月)のドル円相場は下落後に持ち直す展開。(1)本邦輸出企業の実需のドル売りや、(2)米ウォールストリートジャーナル紙のニック記者による「2月FOMCで利上げ幅を縮小すると共に、今春に利上げを停止するかどうか検討し始める可能性がある」とのハト派的な記事掲載、(3)上記2を背景とした対主要通貨でのドル売り圧力が重石となり、日本時間正午過ぎに、安値129.05まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(4)日銀による共通担保資金供給オペの実施通告や、(5)上記4で1兆円の通告に対して3.1兆円の応札が見られたこと、(6)上記4、5を背景とした海外勢の円売り再開、(7)米金利上昇に伴うドル買い圧力が支援材料となり、米国時間朝方にかけて、高値130.90まで急伸しました。もっとも、心理的節目131.00をバックに伸び悩むと、(8)短期間で上昇した反動や、(9)米12月景気先行指数(結果▲1.0%、予想▲0.7%、前回▲1.0%)の冴えない結果が重石となり、本稿執筆時点(日本時間1/24午前5時20分現在)では、130.65前後で推移しております。

週明け23日(月)のユーロドル相場は上昇後に反落。(1)米ウォールストリートジャーナル紙のニック記者によるハト派的な記事掲載や、(2)フィンランド連銀レーン総裁による「冬および春に大幅利上げする根拠がある」との先週末のタカ派発言、(3)上記1、2を背景とした欧米金融政策の方向性の違い(利上げ最終局面の米国と、積極利上げ姿勢を維持する欧州との金融政策格差→欧米名目金利差縮小に伴うユーロ買い・ドル売り)、(4)心理的節目1.0900の上方ブレイク(直近2週間で幾度となく止められてきた1.0900のレジスタンス突破→仕掛け的なユーロ買い・ドル売り)が支援材料となり、欧州勢参入後に、昨年4/21以来、約9ヵ月ぶり高値となる1.0927まで急伸しました。

しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(5)短期間で上昇した反動(利食い売り)や、(6)米金利上昇に伴うドル買い圧力が重石となり、米国時間朝方にかけて、安値1.0846まで反落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間1/24午前5時20分現在)では、1.0862前後で推移しております。尚、昨日はスロバキア中銀カジミール総裁による「インフレ緩和は良いニュースだが金利引き上げペース鈍化の理由にはならない」「さらに2回の50bpの利上げが必要」との発言や、クロアチア中銀ブイチッチ総裁による「50bpの利上げガイダンスは引き続き合理的」との発言、ラガルドECB総裁による「欧州のインフレは高すぎる」「金利は依然として大幅に引き上げる必要性がある」との発言など、タカ派的なコメントが相次ぎましたが、市場の反応は限定的となりました。

本日の見通し

ドル円は1/16に記録した安値127.22をボトムに反発に転じると、昨日は一時130.90まで急伸しました。日銀による「共通担保資金供給オペ」の通告が、海外勢の円ロングの巻き戻しを誘発したと考えられます。但し、上方に複数のレジスタンスポイントが控えていることや、強い売りシグナルを示唆する三役逆転やダウ理論の下落トレンドが継続していること等を踏まえると、上値余地は限定的と判断できます。事実、昨日は先週の日銀金融政策決定会合直後に記録した高値131.59に到達するには至りませんでした。また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)日銀による根強い緩和修正観測(次回3/10会合や、黒田総裁退任後の4月会合に向けて、YCC撤廃やマイナス金利脱却などが引き続き織り込まれつつあること)や、(2)米FRBによる金融引き締め・早期休止観測(米国は1/21よりブラックアウト期間に突入するも、当該期間中のFEDの代弁者とみなされているWSJニック記者がハト派的な内容の記事を掲載→ターミナルレートが5.00%に達さない可能性大)、

(3)上記1、2を背景とした日米金融政策の方向性の違い(金融緩和脱却のタイミングを模索する日本と、金融引き締め終了のタイミングを模索する米国との金融政策格差)など、ドル円相場の下落を連想させる材料が揃っています。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル売り・円買いトレンドの継続を予想いたします(一巡後の反落リスクに要警戒)。尚、本日は米1月製造業・非製造業・総合PMI速報値や、米1月リッチモンド連銀製造業指数に注目が集まります。今週から来週にかけては、円主導ではなく、米ドル主導の相場展開が見込まれることから、本日の米経済指標が不冴な結果となる場合には、米金利低下→米ドル売りの経路で、ドル円相場に再び下落圧力が加わる恐れがあるため、注意が必要でしょう。

本日の予想レンジ:129.50ー131.50

注:ポイント要約は編集部

ドル円、日銀による共通担保資金供給オペ実施をトリガーに一時130円台後半へ急伸

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