ドル円見通し 12月5日夜からのドル高基調継続で確りするも137円台で上値重い
〇昨日のドル円、135.95まで下げるも買い戻される、7日未明から137円を挟んだ揉みあいを継続
〇利上げ状態長期化との見方が優勢に、NYダウは大幅続落、ユーロやポンドも失速気味
〇総じてリスク回避的な動きだが、FOMCまではドル高基調で推移しやすい可能性も
〇米長期債利回り、安全資産としての買いで低下、ドル円の上昇スピードを抑える
〇135.95以上での推移中は上昇余地あり、137.42超えからは138円を目指す上昇を想定する
〇135.95割れからは戻り一巡による下落期入りとみて、135.00、134.50を順次試す下落を想定する
【概況】
ドル円は12月1日未明のパウエル米FRB議長講演内容がハト派的なもので、12月FOMCでの利上げペース減速感を強めたとしてドル全面安となった局面で11月30日深夜高値139.89円から12月2日夕刻安値133.60円まで急落した。12月2日夜の米11月雇用統計が予想を上回る強さだったことで136円手前へ反騰し、いったん134円台序盤を試してから切り返しに入り、12月5日夜の米ISMサービス業景況指数などが予想を上回る良好さだったことでドル高がぶり返したために136円台を回復した。
12月6日は夕刻に137.42円まで高値を切り上げたところからいったん135.95円まで下げたものの137円超えまで買い戻され、7日未明からは137円を挟んだ揉み合いとなっている。12月6日夜は米10月貿易収支の発表以外は主要イベントが無く手掛かり難だったが、12月5日夜からの流れを継続してユーロやポンド、豪ドルなどが12月5日高値以降の安値を更新してドル高感が強まっている。米10月貿易収支は782億ドルの赤字で赤字幅は市場予想の800億ドルに近く、9月の741億ドルからやや拡大したものの市場の反応は限定的だった。
【ユーロやポンドが続落、NYダウ続落、NY原油は3日続落】
ユーロドルは9月28日安値0.9536ドルで底打ちして12月5日高値1.0594ドルまで上昇してきたが、5日と6日は続落で1.050ドル台を維持できずに失速気味となっている。ポンドドルも9月26日安値1.0421ドルを起点として高値を切り上げてきたが12月5日高値1.2343ドルの後は失速している。豪ドル米ドルは10月13日安値の0.6170ドルから12月5日高値0.6650ドルまで上昇を続けてきたが5日高値からは失速している。12月2日の米雇用統計発表直後のドル高は一時的なものだったが、12月5日の米ISMサービス業景況指数や製造業受注などが堅調な数字だったことが重なったために米FRBによる毎回0.75%ずつの超ハイペースでの利上げは減速するとしても、年明け以降のペースがさらには鈍化せずに利上げ状態が長期化するのではないかとの見方が優勢となりつつある。
NYダウは12月1日に34595.51ドルの高値をつけて8月16日高値34281.36ドルをわずかに超えたものの12月5日の前日比482.78ドル安、6日の同350.76ドル安と大幅続落で戻り一巡感が出ている。ナスダック総合指数は12月2日の前日比0.95ドル安から5日に同221.56ドル安、6日に同225.05ドル安と3営業日の続落となった。ナスダックやS&P500指数はダウ程には戻せずに戻り一巡感が出ているが、株式市場としてはこれまでの利上げペース減速重視での楽観よりも利上げ状態の長期化への悲観が勝り始めている印象だ。
景気に敏感なNY原油は12月2日から6日へ3営業日続落となり、6日安値で73.41ドルをつけて今年3月7日高値130.50ドル以降の最安値を更新している。OPECプラスが11月から日量200万バレルの協調減産を行っているものの、12月4日の閣僚級会合では減産維持としたが追加減産には踏み込めず、景気後退による需要低下懸念が下げ足を速めている印象だ。
金融市場は総じてリスク回避的な動きに入りつつあるのではないかと思われるが、来週の12月13-14日開催のFOMCまではドル高基調で推移しやすい局面となる可能性も考えておく必要がありそうだ。
【米長期債利回りは低下】
12月6日の米長期債利回りは総じて低下した。株式市場などが利上げ長期化への懸念で下落したが、株売り債券買いの裁定が働いて安全資産として長期国債が買われて利回りが低下するという状況だった。
指標の10年債利回りは前日比0.05%低下の3.53%、30年債利回りは0.05%低下の3.54%、2年債利回りは0.02%低下の4.37%となった。
10年債利回りは10月21日に4.34%をつけ前日比0.09%上昇で戻したものの勢いは続かずに6日は5日の戻り幅を解消している。30年債利回りは10月24日に4.43%でピークをつけて低下に転じ、12月6日は一時3.52%まで低下してこの間の最低値を更新した。2年債利回りはまだ当面の利上げが続くことや利上げピーク水準の上方修正見通しもあり11月4日に4.88%をつけたところから失速したが、12月2日に4.18%まで低下した後はやや持ち直しており、6日の低下幅も限定的だった。
ドル円としては全般的なドル高基調に支えられつつも米長期債利回りが大幅低下からやや戻したものの勢いに欠ける状況で6日は揃って低下したことで上昇の勢いを得られずにいる。12月2日まで大幅下落してきた後のために弱気の後遺症も残っていることでバーゲンハント買いへの動きも慎重なようだ。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
ドル円は12月2日夕安値を目先の底として戻している。12月6日夜の反落も買い戻されたのでまだ上昇余地は残るところだが、6日夕刻高値137.42円を超えないうちはすでに戻り一巡している可能性もあると注意される。
今回の高値形成期は5日夜から7日夜にかけての間と想定してきたが、12月6日夜安値135.95円を割り込まないうちは7日夜への一段高余地ありとし、6日夜安値割れからは下落期入りとみて9日夕にかけての下落を想定する。
60分足の一目均衡表では12月5日夜の上昇で遅行スパンが好転、先行スパンを上抜いたが、その後も両スパンそろっての好転を維持している。ただし6日夕高値以降の伸び悩みにより遅行スパンは悪化しやすい位置にあると注意し、遅行スパン悪化からは下げに入るとみて安値試し優先とする。先行スパンからの転落を回避して6日夕高値を超える場合は上昇再開とするが、先行スパンから転落する場合は下げ足も速まる可能性があるとみる。
60分足の相対力指数は12月6日未明から夕刻への上昇時に指数が70ポイント台でフラットとなる弱気逆行が見られたが、6日夜の50ポイント割れから戻しているのでまだ上昇余地が残る。相場が高値更新する際に指数のピークが切り下がる弱気逆行から失速する場合や45ポイントを割り込む場合は下げ再開とみて30ポイント前後への低下へ進むとみる。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、135.95円を下値支持線、137.42円を上値抵抗線とする。
(2)135.95円以上での推移中は上昇余地ありとし、137.42円超えからは138円を目指す上昇を想定する。137.70円以上は反落警戒とするが136.50円以上での推移なら8日も高値試しへ向かう可能性が残るとみる。
(3)135.95円割れからは2日夕安値からの戻り一巡による下落期入りとみて135.00円、134.50円を順次試す下落を想定する。135円以下はいったん買い戻しも入りやすいとみるが、135.95円を割り込んでの推移が続くうちは8日も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
12/7(水)
未 定 (中) 11月 貿易収支・米ドル建て (10月 851.5億ドル、予想 781.0億ドル)
未 定 (中) 11月 貿易収支・人民元建て (10月 5868.1億元、予想 4860億元)
14:00 (日) 10月 景気先行指数CI速報値 (9月 97.5、予想 98.3)
16:00 (独) 10月 鉱工業生産 前月比 (9月 0.6%、予想 -0.6%)
16:00 (独) 10月 鉱工業生産 前年同月比 (9月 2.6%、予想 -0.7%)
19:00 (欧) 7-9月期 GDP確定値 前期比 (改定値 0.2%、予想 0.2%)
19:00 (欧) 7-9月期 GDP確定値 前年同期比 (改定値 2.1%、予想 2.1%)
22:30 (米) 7-9月期 非農業部門労働生産性改定値 前期比 (速報 0.3%、予想 0.6%)
24:30 (米) エネルギー省週間石油在庫統計
29:00 (米) 10月 消費者信用残高 前月比 (9月 249.8億ドル、予想 283.0億ドル)
12/8(木)
08:50 (日) 10月 経常収支・季調前 (9月 9093億円、予想 6250億円)
08:50 (日) 10月 経常収支・季調済 (9月 6707億円、予想 3527億円)
08:50 (日) 10月 貿易収支・国際収支ベース (9月 -1兆7597億円、予想 -1兆8257億円)
08:50 (日) 7-9月期 GDP改定値 前期比 (速報 -0.3%、予想 -0.3%)
08:50 (日) 7-9月期 GDP改定値 年率換算 (速報 -1.2%、予想 -1.0%)
09:30 (豪) 10月 貿易収支 (9月 124.44億豪ドル、予想 121.00億豪ドル
14:00 (日) 11月 景気ウオッチャー現状判断 (10月 49.9、予想 50.6)
14:00 (日) 11月 景気ウオッチャー先行判断 (10月 46.4、予想 46.8)
21:00 (欧) ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 22.5万件、予想 23.0万件)
22:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 160.8万人、予想 162.0万人)
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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