予断許さないがドルは高値圏で強保ち合いか
〇本日のドル円、値幅は狭いものの緩やかなドル安・円高が進行、夕方には144.20レベルの安値をつける
〇昨日過去最安値を更新したポンド/ドル、その後も荒っぽい値動き、ポンド安再燃の可能性あるか
〇ドル円は昨日欧米時間144.79まで上伸、145円という「ドル高シーリング」を意識した値動き続くか
〇しばらくは143-144円台を中心とした新レンジを形成し、そのなかで一進一退の可能性も
〇本日欧米時間のドル/円予想レンジは143.50-144.70、ドル高・円安方向は144.75レベルの攻防に注目
〇ドル安・円高方向は、昨日欧米時間安値143円半ばが最初のサポートか
<< 東京市場の動き >>
27日の東京市場はドルが小安い。値幅は狭かったが、大引けにかけて緩やかなドル安・円高が進行している。
ドル/円は144.75円レベルで寄り付いたものの、「円安シーリング」とみられる145円が間近に迫っているためか上値は重い。結局、弱り付きレベルを日中高値に緩やかな下降をたどる展開となった。夕方には144.20円レベルの日中安値をつけ、16時現在ではそのままドル安値圏、欧米市場を迎えている。
一方、材料的に注視されていたものは、「英国情勢」と「ロシア情勢」について。
前者は、クワーテング財務相が打ち出した減税政策などを嫌気し、昨日東京時間にポンド/ドルが過去最安値を更新した情勢はその後も波乱含み。中銀に緊急利上げを求める声も値取り沙汰されるなか、英中銀総裁から「必要あれば利上げを躊躇しない」との発言が聞かれていた。ポンド/ドルは東京安値1.03ドル台から1.09ドル台まで、500ポイントを超える上昇をたどるなど、値動きが荒っぽい。なお、そうしたなかブルームバーグは「神経質になっている市場を落ち着かせるため緊急利上げで介入する必要があるかもしれないと、与党・保守党の複数の議員が語った」と報じている。
対して後者は、IAEA事務局長が講演でロシアが実効支配を続ける「ザポロジエ原発に強い危機感」を表明するとともに、原発周辺を安全な区域に設定できるよう、各国に協力を呼びかけた。その一方、昨日から本日にかけてはロシアと日本のあいだに新たな軋轢が。きっかけとなったのは、ロシア当局が「ウラジオストクの日本領事をスパイ容疑で拘束」したこと。日本大使館に続き、松野官房長官などから「ウィーン条約への明確な違反」などとした非難とともに抗議の発言が聞かれている。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円相場は、昨日欧米時間に144.79円まで上伸。これをフィボナッチでいえば、145円台から140円台まで5円を超える暴落をたどったのち、一連の下げ幅の76.4%戻し(144.60円)も上回ってきた計算になる。つまり、フィボナッチ・リトレースメントで考えた場合には100%戻し、145.90円が再び視界内に捉えられた感も否めない。昨日は接近するも到達できなかった145円という「ドル高シーリング」を意識した値動きが続きそうだ。
日米を中心とした金融政策に注目しつつ、一方で先週実施された日本の政府・財務省によるドル売り・円買い介入警戒感も根強い。前者との絡みでいえば、本日発表される米経済指標の内容や米地区連銀総裁などの発言には要注意。また喫緊の危機は脱したものの、依然として予断を許さないポンド相場、ならびに英国情勢への警戒感も取り沙汰されている。ポンド安再燃の可能性もあるのだろうか。
テクニカルに見た場合、まだ微妙なところではあるが、昨日欧米から本日東京をみるとドル/円は145円にとどかず失速しており、少しずつ落ち着きどころを探る展開になりそうな様相だ。足もと観測されている140.35-145.90円というレンジでは広いので、今後しばらくは143-144円台を中心とした新レンジを形成し、そのなかで一進一退をたどる可能性もありそうだ。ただ、基本的なリスクそのものはドル高方向にバイアスがかかるだけに、油断は禁物だろう。
本日は米経済指標として、8月の耐久財受注や9月の消費者信頼感指数が発表される予定であるほか、米財務省による5年債の入札にも一応注意。また、昨日に続き本日も米欧中銀関係者らの講演などは数多い。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは143.50-144.70円。ドル高・円安方向は本日東京高値の144.75円レベルの攻防にまずは注目。超えると145円台乗せも否定できないが、一方で円買い介入リスクも取り沙汰されそうだ。
対するドル安・円高方向は、昨日欧米時間安値の143円半ばが最初のサポートか。割り込めば143円前後を目指す展開となりそうだが、それでも取り敢えずは底堅そう。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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