ドル円、日銀レートチェック報道で急反落。節目145トライはまたしても失敗(9/15朝)

14日(水)のドル円相場は高値圏から急反落。

ドル円、日銀レートチェック報道で急反落。節目145トライはまたしても失敗(9/15朝)

ドル円、日銀レートチェック報道で急反落。節目145トライはまたしても失敗

〇ドル円、アジア時間の高値144.96から、口先介入、レートチェック報道で反落
〇米国時間にかけて142.57まで下げるも売り一巡後は持ち直し143円台を回復
〇米8月PPIは市場予想上回る、ただ、ドル円含む市場への影響は限定的
〇ユーロドル、米国時間に1.0024まで持ち直すも米長期金利反転上昇し0.99台後半に反落
〇ドル円、テクニカルの上昇トレンドは継続中、ファンダメンタルズも上昇材料揃う
〇日銀による為替介入や政策変更の実現性は乏しく、口先介入の賞味期限は短命に終わるか
〇米長期金利や米主要株価指数を睨んでの神経質な乱高下=ボラティリティ急拡大に要警戒
〇本日の予想レンジ:142.00ー144.50

海外時間のレビュー

14日(水)のドル円相場は高値圏から急反落。@前日海外時間に発表された米8月消費者物価指数および米8月消費者物価コア指数が市場予想を上回ったことや、A上記@を背景に米長期金利が急上昇したこと(インフレピークアウト期待後退→米FRBによる100bp利上げ観測浮上→米10年債利回りが約3ヵ月ぶり高水準へと急上昇→ドル全面高)、B心理的節目145.00を目指した仕掛け的なドル買い・円売りが支援材料となり、アジア時間朝方にかけて、高値144.96まで急伸しました。

しかし、9/7に記録した直近高値144.99をバックに伸び悩むと、C上値の重さを嫌気した短期筋の見切り売り(心理的節目145.00トライ失敗に伴う失望感)や、D株式市場の急反落(日経平均株価は一時800円を超える下げ幅を記録→リスク回避の円買い圧力)、E神田財務官による「緊張感を持って監視し、あらゆるオプションを排除せずに適切な対応をしたい」「足もとの動きは急激であり、憂慮している」「投機によるものには必要な措置を取らざるを得ない」「為替の過度な変動、無秩序な動きは経済・金融に有害」との強いトーンの円安牽制発言、F松野官房長官による「日銀と緊密に連携しつつ、高い緊張感をもって市場動向を注視する」との円安牽制発言、

G鈴木財務相による「やるときは間髪入れずに瞬時にやる」との円安牽制発言、H日銀がレートチェックを実施しているとの観測報道、I上記EFGHを背景としたドル売り・円買い為替介入観測(レートチェックは為替介入の布石として要警戒)が重石となり、米国時間にかけて、安値142.57まで急落する場面も見られました。もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、引けにかけて持ち直し、本稿執筆時点(日本時間9/15午前5時30分現在)では、143.16前後で推移しております。尚、昨日発表された米8月生産者物価指数(結果▲0.1%、予想▲0.2%、前回▲0.4%、※前月比)および米8月生産者物価コア指数(結果0.4%、予想0.2%、前回0.3%、※前月比)は共に市場予想を上回る結果となりましたが、ドル円相場への影響は限定的となりました。

14日(水)のユーロドル相場は下落後に持ち直す展開。@米FRBによるタカ派傾斜観測(前日発表された米8月CPIおよびコアCPIが市場予想を上回る結果→次回FOMCでの100bp利上げ観測台頭)や、A上記@を背景とした米長期金利の急上昇(米ドル全面高)、Bリスクオフ再燃に伴うリスクアセットの大幅下落(資産現金化需要のドル買い圧力)が重石となり、アジア時間朝方にかけて、安値0.9956まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、C対円でのドル売り圧力(ユーロドル連れ高)や、D米金利低下に伴うドル売り圧力、E短期筋のショートカバー、Fフォンデアライエン欧州委員長による「10月にEUの財政規則の変更に関するアイデアを公開する」「EU加盟国が全体的な電力使用量を削減するための対策を提案」との前向きな発言が支援材料となり、米国時間にかけて、高値1.0024まで反発しました。

もっとも、買い一巡後に伸び悩むと、G欧州経済の先行き不透明感や、H欧州株の冴えない動き、I米長期金利の持ち直し(反転上昇)が重石となり、本稿執筆時点(日本時間9/15午前5時00分現在)では、0.9978前後まで反落する動きとなっております。尚、昨日発表されたユーロ圏7月鉱工業生産(結果▲2.4%、予想+0.3%、前回+2.2%、※前年比)は市場予想を下回る冴えない結果となりましたが、ユーロドルの反応は限定的となりました。

本日の見通し

ドル円は市場参加者に注目されている145.00トライにまたしても失敗すると、本邦通貨当局による円安牽制発言やレートチェック報道を材料に一時142.57まで急落する動きとなりました(日通し高値144.96から2円39銭の急落)。但し、ダウンサイドに複数のサポートポイントが並んでいることや、強い買いシグナルを示唆する三役好転やパーフェクトオーダー、ダウ理論の上昇トレンドが継続していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは崩れていない(上昇トレンドは継続中)と判断できます。昨日の下落時においても、一昨日の米8月消費者物価指数発表前の水準(141円台後半)を割り込んでおらず、改めて下値の堅さを再確認する結果となりました。

また、ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策の方向性の違い(来週開催される米FOMCでの100bp利上げ観測や11月FOMCでの75bp利上げ観測台頭→日米名目金利差拡大→ドル買い・円売り)や、A日本とその他先進国との金融政策格差(豪州やニュージーランド、カナダやスイス、欧州や英国など多くの先進国が金融引き締めスタンス強化→日本とその他各国との名目金利差拡大→クロス円上昇→ドル円連れ高)、B米政府・米当局によるドル高容認スタンス(米国はインフレ抑制に繋がるドル高を支持する構え→本邦通貨当局による実弾為替介入を非難する恐れあり)、C本邦貿易赤字拡大に伴う構造的な円売り圧力など、ドル円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の上昇(一巡後の反発)をメインシナリオとして予想いたします。

尚、本日アジア時間帯は、昨日同様、本邦通貨当局による円安牽制発言やレートチェックが意識されますが、日銀による為替介入や政策変更の実現性は乏しく、口先介入の賞味期限は短命に終わると予測されます。このため、ドル売り・円買いの実弾為替介入が出てこない場合には、失望感から一気に円売りが再開する恐れがあるため、本日アジア時間は、ドル円のアップサイドリスクに注意が必要でしょう。また、本日海外時間は、米9月ニューヨーク連銀製造業景況指数や、米9月フィラデルフィア連銀景況指数、米8月小売売上高、米8月輸出入物価指数、米新規失業保険申請件数、米8月鉱工業生産、米8月設備稼働率、米7月企業在庫など米国経済イベントが目白押しとなるため、米長期金利や米主要株価指数を睨みながらの神経質な乱高下=ボラティリティ急拡大に警戒が必要でしょう。

本日の予想レンジ:142.00ー144.50

注:ポイント要約は編集部

ドル円、日銀レートチェック報道で急反落。節目145トライはまたしても失敗

ドル円日足

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