ドル円、米CPIの伸び鈍化を背景に大幅下落。日通し高値から3円超の急落劇
〇ドル円、米7月CPI、コア指数の予想を下回る結果と米長期金利急低下に132.04まで急落
〇売り一巡後はFRB関係者のタカ派発言に132.90レベルに持ち直す
〇ユーロドル、CPIを受けて1.0368まで急伸の後米長期金利反発に1.0300まで戻す
〇ドル円、基準線や転換線、雲上限を下抜け、テクニカルの地合い悪化
〇ただし、インフレピークアウトを論じるのは時期尚早か
〇昨日の米ドル急落の動きは過剰反応、自律反発的に買い戻される展開をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:132.00ー134.00
海外時間のレビュー
10日(水)のドル円相場は急反落。アジア時間朝方にかけて、高値135.30まで上値を伸ばすも、8/8に記録した戻り高値135.55をバックに伸び悩むと、@米7月消費者物価指数(結果8.5%、予想8.7%、前回9.1%、※前年同月比)および、A米7月消費者物価コア指数(結果5.9%、予想6.1%、前回5.9%、※前年同月比)の市場予想を下回る結果や、B上記@Aを背景とした米長期金利の急低下(米FRBによる大幅利上げ観測後退。米2年債利回りは3.31%から一時3.09%へ急低下。米10年債利回りは2.81%から一時2.68%へ急低下)が重石となり、米国時間にかけて、安値132.04まで急落しました。
しかし、売り一巡後に下げ渋ると(心理的節目132.00や、一目均衡表雲下限に続落を阻まれると)、Cシカゴ連銀エバンス総裁による「FRBは今年と来年、利上げを行うと予想」「利上げが終わったとは思っていない」とのタカ派的な発言や、Dミネアポリス連銀カシュカリ総裁による「インフレへの勝利宣言には程遠い」「FF金利は年末に3.9%、来年末に4.4%を見込む」「来年初に利下げするとの見方は現実的ではない」とのタカ派的な発言、E上記CDを背景とした米長期金利の反転上昇(米2年債利回りは米CPI後に記録した3.09%から3.23%へ反転上昇。米10年債利回りはCPI後に記録した2.68%から2.79%へ反転上昇)が支援材料となり、本稿執筆時点(日本時間8/11午前5時30分現在)では、132.90前後まで持ち直す動きとなっております。
10日(水)のユーロドル相場は急上昇。欧州時間朝方にかけて、安値1.0202まで下げ幅を広げるも、心理的節目1.0200をバックに下げ渋ると、@米7月消費者物価指数および、A米7月消費者物価コア指数の市場予想を下回る結果や、B上記@Aを背景とした米長期金利の急低下、C株式市場の堅調推移が支援材料となり、米国時間にかけて、高値1.0368(7/5以来、約1ヵ月ぶり高値圏)まで急伸しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、D米当局者による相次ぐタカ派的な発言(シカゴ連銀エバンス総裁や、ミネアポリス連銀カシュカリ総裁)や、E上記Dを背景とした米長期金利の反転上昇が重石となり、本稿執筆時点(日本時間8/11午前5時30分現在)では、1.0300前後まで反落する動きとなっております。
本日の見通し
ドル円は今週のメインイベントとして注目されていた米CPI(含むコアCPI)の伸び率鈍化を受けて、日通し高値135.30から3円超の値幅で急落する大相場となりました(安値132.04)。この間、一目均衡表基準線や転換線、雲上限を下抜けするなど、テクニカル的に見て、地合いの悪化を印象付けるチャート形状となりつつあります(8/2に記録した約2ヵ月ぶり安値130.40をボトムに始まった短期上昇トレンドの崩壊を示唆)。但し、米CPI発表後に米当局者(シカゴ連銀エバンス総裁やミネアポリス連銀カシュカリ総裁)が述べていた通り、今回の結果だけを以ってインフレピークアウトや、利上げサイクル終焉を論じるのは時期尚早であり、今後のエネルギー価格や労働市場の逼迫状況次第では、再びインフレ圧力が高まる恐れも警戒されます。
CMEが提供するFED WATCHも確認しても、次回9月FOMCは50bp利上げが58.5%、75bp利上げが41.5%と拮抗しており、今後の商品市況や米経済指標の結果次第ですぐに逆転する恐れも想定されます(次回75bp利上げ観測がぶり返す可能性は相応に高い)。以上を踏まえると、昨日の米ドル急落の動きは過剰反応であり、本日は米ドルが自律反発的に買い戻される展開をメインシナリオとして予想いたします(本邦祝日となるため、アジア時間は静かな値動きを想定。欧州勢参入後にドルの買い戻しが強まる可能性あり。特に日本時間21:30に予定されている米7月生産者物価指数に要注目)。
本日の予想レンジ:132.00ー134.00
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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