ドル円、米金利・米株を睨みながら上下するも方向感を見出しづらい展開
〇ドル円、バイデン大統領の対中関税引き下げ示唆にリスク選好回復、127円台後半に持ち直す
〇ユーロドル堅調推移、独指標好調、ラガルドECB総裁のタカ派発言等に一時1.0697まで急伸
〇ドル円、テクニカルには日足・週足・月足などの上位足で強い買いシグナル、地合い強い
〇ファンダメンタルズもドル円相場の上昇を意識させる材料が残る
〇米国の対中関税引き下げや、過度な利上げ期待の後退が株価の下支えに寄与できるか否かに注目
〇本日の予想レンジ:127.50ー128.50
海外時間のレビュー
週明け23日(月)のドル円相場は振れを伴いつつも方向感を見出しづらい展開。アジア時間早朝に、高値128.06まで上値を伸ばすも、一巡後に伸び悩むと、@米経済のリセッション入りを警戒したドル売り圧力や、A本邦実需筋と思しきドル売り圧力、B短期筋のロスカット(円ショートの解消)が重石となり、アジア時間昼頃にかけて、安値127.15まで反落しました。しかし、5/19に記録した直近安値127.03をバックに下げ渋ると、Cバイデン米大統領による「対中関税の引き下げを検討している」との発言や、D上記Cを背景とした株式市場の堅調推移(リスク選好の円売り圧力)、E米金利上昇に伴うドル買い圧力が支援材料となり、本稿執筆時点(日本時間5/24午前5時45分現在)では、127.94前後まで持ち直す動きとなっております。尚、昨日はアトランタ連銀ボスティック総裁より「6月と7月に50bpの利上げを行った後は、インフレと経済への影響を精査するため、いったん利上げを停止することは理にかなう」との発言が見られましたが、ドル円相場への影響は限定的となりました。
週明け23日(月)のユーロドル相場は堅調な値動き。アジア時間早朝にかけて、安値1.0558まで下げ幅を広げるも、21日移動平均線や一目均衡表転換線などに下支えされると、@ドイツ5月Ifo企業景況感指数(結果93.0、予想91.4)の良好な結果や、A上記@を背景とした欧州株の堅調推移、BラガルドECB総裁による「金融政策は正常化に向かっている」「第3四半期末までにマイナス金利脱却の可能性大」とのタカ派的な発言、C上記Bを背景とした欧州債利回りの急上昇(ECBによる7月会合での利上げ観測再燃)が支援材料となり、米国時間午後にかけて、4/26以来、約1ヵ月ぶり高値となる1.0697まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間5/24午前5時45分現在)では、1.0690前後で推移しております。
本日の見通し
ドル円は先週5/19に記録した安値127.03(4/27以来、約3週間ぶり安値圏)をボトムに反発に転じると、昨日は128円絡みまで持ち直す動きとなりました(アジア時間に一時127.15まで下げ幅を広げるも、5/19安値127.03が意識されて下げ渋ったあと反発)。日足・週足・月足などの上位足で強い買いシグナル(一目均衡表三役好転や移動平均線のパーフェクトオーダーなど)が成立しているため、テクニカル的に見て「地合いは強い(上昇トレンドは崩れていない)」と判断できます(先週はポジション調整主導で下値を探る動きが続きましたが、今週は底固め後に反発する展開に要注意)。ファンダメンタルズ的に見ても、@米FRBによる金融引き締めスタンスの明確化や、A日銀による金融緩和の継続姿勢、B上記@Aを背景とした日米金融政策の方向性の違い、C原油高に伴う本邦貿易赤字の拡大懸念(経常収支の赤字転落懸念→構造的な円売り圧力)など、ドル円相場の上昇を意識させる材料が残っています。
ここ最近は、市場のテーマが、「米金融引き締めに伴う米経済の下振れ懸念」に移っていましたが、バイデン米大統領による「対中関税の引き下げを検討している」との発言や、アトランタ連銀ボスティック総裁による「6月と7月に50bpの利上げを行った後は、インフレと経済への影響を精査するため、いったん利上げを停止することは理にかなう」との発言が、株式市場の下支えに寄与できるか否かに注目が集まります。安堵の株高に繋がれば、市場のテーマが再び「米経済のリセッション入り懸念」から「日米名目金利差」に移ると見られ、ドル円には再び上昇圧力が加わるものと推察されます。尚、本日は米5月製造業・非製造業PMI速報値や、米5月リッチモンド連銀製造業指数、米4月新築住宅販売件数などの米経済指標が予定されておりますが、今週のメインイベントであるFOMC議事要旨(5/3ー4開催分)と、米4月PCEデフレータが週央以降に控えているため、ドル円は上下しつつも方向感を見出しづらい時間帯が続きそうです。
本日の予想レンジ:127.50ー128.50
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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