早くも年初来高値を更新、ドル続伸期待も
〇ドル円、4月28日以来131円台示現、夕刻年初来高値131.25超える局面も
〇ドル円週足9週連続の陽線、ドル続伸だが反落の動き警戒
〇本日は米3月卸売在庫発表予定、ロシア戦勝記念日式典など政治ファクターも注視
〇本日欧米時間のドル円予想レンジは130.50-131.90、131円半ばが最初の抵抗
〇ドル安・円高方向は131円前後がサポートとして意識される
<< 東京市場の動き >>
週明け9日の東京市場はドルが堅調裡。4月28日以来の131円台を示現し、最終盤には年初来高値を更新する局面も。
先週末は、週明け9日の「対独戦勝記念日」を前にしたロシア情勢が様々報じられるなか、7日には北朝鮮が弾道ミサイルと思しき飛翔体をまたもや発射したことが明らかに。中国に加えロシア、北朝鮮と日本を取り巻く環境も緊張感を増してきた。
そうした状況下、ドル/円は130円半ばで寄り付いたのち、緩やかな右肩上がり。先週高値130.80円を早々に超えると131円台も突破。夕方には年初来高値131.25円を超え、131.30-35円まで続伸する局面も観測されていた。16時現在ではそのままドル高値圏で推移、欧米市場を迎えている。
一方、材料的に注視されていたものは、「ロシア情勢」と「中国情勢」について。
前者は、ウクライナに関して話題になっていたのは、港湾都市マリウポリのアゾフスターリ製鉄所に関する停戦合意について。最終的にはウクライナサイドが「すべての女性、子どもと高齢者の避難が完了した」と明らかにしたものの、難航していた避難が完了したことで、今後は逆にロシア軍による攻撃が激しくなる可能性も取り沙汰されていた。また、それとは別に「カナダ首相がウクライナ訪問、8日にゼレンスキー氏との首脳会談実施」、「ジル米大統領夫人がウクライナを電撃訪問」、「G7首脳がオンライン会談、日本もロシア産石油の原則禁輸表明で同調」などといった報道も伝えられている。
対して後者は、対外的には「中国軍機18機が台湾の防空識別圏に侵入」、「台湾周辺で6-8日に軍事演習を実施」したことなどが明らかになったうえ、日本に対しても防衛省が「空母『遼寧』が、沖縄県宮古島周辺の公海上で、艦載の戦闘機やヘリコプターを発着艦させた」と発表するなど、威嚇と見られる行動が観測されていた。一方、国内要因としては北京市が「コロナ対策強化の方針」を示したことが一部で話題に。また、8日投開票された香港行政長官選は、実に投票総数の99%の支持を得て李前政務官が当選したと発表されていた。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円は、週明け早々の東京時間に年初来高値を更新。高値は131.30円台で、「大きく上放れた」というわけではないものの、さらなるドルの続伸が期待されていることは間違いない。上方向にはしばらく目立った抵抗がなく、敢えて言うなら133.84円がそのターゲットか。本稿執筆時から見ても2円以上上のレベルで、本当ならば中期ターゲット。しかし、予断を許さない。
先週利上げに踏み切った米英に対し、日本は異質な異次元緩和政策の継続がさらに鮮明となるなど、金利差だけを考えれば円を積極的には買い進められず、むしろ対ドルだけでなくポンドやユーロなどでさらに売り進まれても不思議はない。ただ、レベル的には日本の当局などからの「口先介入」が警戒されるうえ、本日東京の時間外取引でもNYダウなど米株がやや不安定な動きをたどっていたことは気掛かり。仮にドル高・円安が進行するとしても、飽くまでもジリジリとした上昇にとどまりそうだ。
テクニカルに見た場合、ドル/円の週足は結局先週も陽線引け。これで9週連続の陽線となった。それだけドルが強いことの証左ながら、酒田五法では逆にドルの反落を警戒するモノとして指摘されている。前述したように、本日東京時間にドルは続伸をしているが、この先は追随してのドル買いに注意した方がよいのかもしれない。一旦崩れ出すと、下落スピードもなかなか速いことが予想されている。
材料的に見た場合、中長期的には、深刻な景気減速が他国への波及的影響も大きく懸念され始めている「中国情勢」。聯合ニュースが「20日のバイデン氏訪韓前に核実験実施の可能性も」などと報じ物議を醸す「北朝鮮情勢」、「新型コロナ・オミクロン株蔓延問題」−−などに注目。
一方、本日は米経済指標として、3月の卸売在庫が発表されるものの、決定物の材料的はあまり多くない。ただ、「ロシアの戦勝記念日式典」をはじめとする、各国政治ファクターには引き続き要注意。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは130.50-131.90円。ドル高・円安方向は本日東京高値の131円半ばが最初の抵抗で、抜ければ132円がターゲットに。
対するドル安・円高方向は、時間足など短期ベースで131円前後がすでにサポートとして意識されつつある。割り込んでも底堅そうで、50銭刻みで小さなサポートが連続している。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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