ドル円、黒田総裁による円安牽制発言で一時急落もすぐに持ち直す力強い展開
〇ドル円、鈴木財務相、黒田日銀総裁の円安牽制発言にアジア時間に一時126.25まで下落
〇海外時間には米長期金利の上昇、FRB関係者のタカ派発言に126.99まで上昇
〇ユーロドル、ロシア・ウクライナを巡る地政学的リスクの高まり、米長期金利上昇に1.0770まで下落
〇ドル円、一目均衡表三役好転や強気のパーフェクトオーダーの点灯等テクニカルの地合い極めて強い
〇ファンダメンタルズも金融政策・資金フロー双方の観点で、ドル円のアップサイドリスクが警戒される
〇引き続き、ドル高・円安トレンドの継続をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:126.40ー127.40
海外時間のレビュー
18日(月)のドル円相場は堅調な値動き。@鈴木財務相による「価格転嫁できず賃金も伸びない状況はいい円安とは言えない」との円安牽制発言や、A黒田日銀総裁による「大きな急速な円安にはマイナスが大きくなる」との円安牽制発言が重石となる中、アジア時間朝方にかけて、安値126.25まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、B日米金融政策の方向性の違いや、C米金利上昇に伴うドル高圧力(米10年債利回りは2018年12月以来、約3年4カ月ぶり高水準となる2.88%へ急上昇)、Dロシア・ウクライナを巡る地政学的リスク(有事のドル買い)、Eセントルイス連銀ブラード総裁による「かなりスピードで中立金利に達する必要がある」「基本シナリオではないが、75bpの利上げを排除しない」とのタカ派的な発言が支援材料となり、米国時間午後にかけて、2002年5月以来、約20年ぶり高値となる126.99まで上昇しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間4/19午前5時30分現在)では、126.97前後で推移しております。
18日(月)のユーロドル相場は上値の重い展開。アジア時間朝方にかけて、高値1.0822まで上値を伸ばすも、一巡後に伸び悩むと、@ロシア・ウクライナを巡る地政学的リスクの高まり(プーチン露大統領が5/9の対独戦勝記念日に勝利宣言を行うのではないかとの思惑)や、A上記@を背景とした欧州経済の先行き不透明感(エネルギー価格上昇に伴う欧州経済への下押し圧力)、B米金利上昇に伴うドル高圧力が重石となり、米国時間にかけて、安値1.0770まで下落しました。しかし、4/14に記録した約2年ぶり安値1.0758をバックに下げ渋ると、イースターマンデーで欧州主要国が休場となる中、動意に乏しく、本稿執筆時点(日本時間4/19午前5時30分現在)では、1.0783前後で推移しております。
本日の見通し
ドル円は一時126.99まで上昇するなど、約20年ぶり高値を記録しました。強い買いシグナルを示唆する一目均衡表三役好転や強気のパーフェクトオーダーが日足・週足・月足の全てで点灯するなど、テクニカル的に見て、地合いは極めて強いと判断できます(押し目待ちに押し目なしの相場環境。事実、昨日は鈴木財務相や黒田日銀総裁による円安牽制発言が出たにも係わらず「下落での反応」は限定的→ダウンサイドには買い遅れた勢力による押し目買い圧力が根強い状態)。また、ファンダメンタルズ的に見ても、@米FRBによるタカ派傾斜観測(次回・次々回FOMCでの50bp連続利上げ観測やバランスシートの早期圧縮観測)や、A日銀による金融緩和の長期化観測、B上記@Aを背景とした日米金融政策の方向性の違い(日米名目金利差拡大→ドル買い・円売り)、Cロシア・ウクライナを巡る地政学的リスクの長期化懸念(有事のドル買い)、
D上記Cを背景とした原油先物価格の急上昇(本邦貿易赤字の拡大懸念→円売り)など、金融政策の観点・資金フローの観点双方において、ドル円相場のアップサイドリスクが警戒されます。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル高・円安トレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします。尚、本日は米3月住宅着工件数や米3月建設許可件数に加えて、シカゴ連銀エバンズ総裁発言などが予定されておりますが、明日以降に予定されている重要イベント(4/20に開催されるG20財務相・中央銀行総裁会議や、4/21の日米財務相会談など)を前に動きづらい展開が予想されます。ドル円相場の上昇(心理的節目127円の大台突破)を予測しつつも、その後の上昇速度は緩やかなものに留まりそうです。
本日の予想レンジ:126.40ー127.40
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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