ドル円、日米金利差拡大で急上昇。心理的節目120円・121円を一気に突破
〇ドル円、欧州時間にかけ121.04まで上昇
〇米長期金利の上昇、心理的節目120円、121円突破に伴う大規模ショートカット等が背景
〇その後は反動売り、鈴木財務相の円安けん制発言等が重石となり120円台後半に反落
〇ユーロドル、1.0960まで下落後、欧州株の堅調等に1.10台前半に反発
〇ドル円約6年1か月ぶり高値、テクニカルの地合い極めて強い
〇ファンダメンタルズも日米金融政策の方向性の違い等ドル高円安材料多い
〇ドル円相場の続伸をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:120.20ー121.20
海外時間のレビュー
22日(火)のドル円相場は大幅続伸。@パウエルFRB議長による前日のタカ派発言(同氏は前日海外時間に「1回の会合もしくは複数の会合で政策金利を25bp以上引き上げる可能性あり」「必要に応じて50bpの利上げを実施する用意がある」「5月までにバランスシート縮小に着手する可能性がある」と発言)や、A上記@を背景とした米長期金利の急上昇(米10年債利回りは2019年5月23日以来、約2年10ヶ月ぶり高水準となる2.36%へ急上昇)、B米投資銀行大手ゴールドマン・サックス社による「FRBが5月と6月のFOMCで50bpの利上げに踏み切る」との見解発表、C原油価格上昇に伴う本邦の貿易赤字拡大懸念、
D心理的節目120.00や121.00突破に伴うショート勢の大規模ロスカット(含む仕掛け的なドル買い・円売り)が支援材料となり、欧州時間朝方にかけて、2016年2月2日以来、約6年1ヵ月ぶり高値となる121.04まで急伸しました。もっとも、その後は、E急ピッチで進んだドル高・円安の反動や、F日本政府による円安牽制の思惑(鈴木俊一財務相は「為替の安定は重要で急激な変動は望ましくない」と発言)などが重石となり、本稿執筆時点(日本時間3/23午前5時00分現在)では120.78前後で推移しております。
22日(火)のユーロドル相場は下落後に持ち直す展開。@ロシア・ウクライナを巡る地政学的リスクの長期化懸念(エネルギー価格高騰→欧州経済のスタグフレーション懸念)や、A米当局者による相次ぐタカ派発言、B上記Aを背景とした米長期金利の急上昇が重石となり、欧州時間朝方にかけて、安値1.0960まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、C短期間で下落した反動や、D欧米株の堅調推移(リスク選好ムード)、E欧州債利回りの上昇が支援材料となり、米国時間朝方にかけて、高値1.1046まで反発しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間3/23午前5時00分現在)では、1.1031前後で推移しております。
本日の見通し
ドル円は心理的節目120.00および121.00を一気に突破し、約6年1ヵ月ぶり高値となる121.04(2016年2月2日以来)まで急伸しました。強い買いシグナルを示唆する「一目均衡表三役好転」「移動平均線のパーフェクトオーダー」「ボリンジャーバンドのバンドウォーク」が全て成立するなど、テクニカル的に見て、地合いは「極めて強い」と判断できます(次のターゲットは2016年1月29日に記録した高値121.70)。ファンダメンタルズ的に見ても、@米FRBによるタカ派傾斜観測(ブラックアウト期間明けの米当局者よりタカ派的な発言が相次ぐ展開→次回5月FOMCでの50bp利上げを織り込むシナリオ。昨日はセントルイス連銀ブラード総裁から「50bpの金利変更は確実にあると考える」「利上げサイクルはより早いほうがよい」との発言が見られた他、サンフランシスコ連銀デイリー総裁からも「ウクライナ問題や新型コロナウイルスなど不確実性は残存するが米国は金融引き締めを行うとき」とのタカ派的な発言あり)、
A日銀による金融緩和の長期化観測(日銀は先週の金融政策決定会合で金融緩和の長期化方針を強調。黒田総裁も「円安が全体として日本経済にプラスとの構造は変わらない」との円安容認姿勢を継続)、B上記@Aを背景とした日米金融政策の方向性の違い(日米金利差拡大に伴うドル買い・円売り)、Cロシア・ウクライナを巡る地政学的リスク(有事のドル買い)、D原油価格上昇に伴う本邦貿易赤字の拡大懸念など、ドル高・円安を連想させる材料が増えつつあります。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の続伸をメインシナリオとして予想いたします(日本政府による円安牽制発言に留意しつつも、日米金利差拡大を背景としたドル高・円安基調の継続を想定)。
本日の予想レンジ:120.20ー121.20
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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