ドル円見通し 中国恒大集団問題とFOMC控えクロス円での円高進む
〇ドル円、9/21夕刻109.70まで反発したものの深夜109.17へ失速、9/15夜安値109.09割れへ余裕乏しい
〇NYダウ前日比50.63ドル安で4日続落、中国市場動向とFOMC金融政策内容次第で下げ足速まる見方も
〇中国恒大集団、9/23の社債利払い日で債務不履行に陥る可能性も
〇中国市場9/20,21が休場、連休明け本日22日の上海総合株価指数動向に注目
〇109.50以下での推移中は一段安余地ありとし、109割れからは108.75前後への下落を想定
〇109.50超えからは21日夕高値109.70試しとし、さらに超えれば17日夜高値110.07に迫るとみる
【概況】
ドル円は9月21日未明に109.31円まで下げたところから夕刻に109.70円まで小反発したものの深夜にかけての反落で109.17円へ失速、22日午前序盤も安値を若干切り下げて9月15日夜安値109.09円割れへ余裕が乏しくなっている。
9月23日未明のFOMC金融政策発表を控えてポジション調整的な動きがとられやすい時間帯だが、中国恒大グループのデフォルト懸念問題と、FOMCにおけるメンバーの利上げ予想時期前倒しの可能性への警戒感からドルストレートではユーロやポンド等が下げ渋りを見せているものの反発力に乏しく、NZドルや南アランド等が9月入りしてからの最安値を更新するなど中勢のドル高基調が継続する一方、リスク回避的にクロス円は総じて下落、ユーロ円やポンド円、豪ドル円等が21日夜も一段安しており、米長期債利回りが小動きの中でドル円もクロス円全般での円高感が勝って安値試しの流れで推移している印象だ。
【FOMC前で米長期債利回りは小動き、NYダウは4日続落】
9月21日の米10年債利回りは前日比0.01%上昇の1.32%、30年債利回りは同0.01%上昇の1.86%、2年債利回りは変わらずの0.22%で総じて小動き。10年債利回りは9月17日にかけて3連騰して一時は1.38%台を付けて8月4日の1.12%以降の高値としたものの、20日は中国恒大問題をきっかけとした世界連鎖株安から安全資産としての債券買いで前日比0.06%低下の1.31%へ、21日はFOMCによる利上げ想定時期の前倒しの可能性も意識されて下げ渋った。
NYダウは前日比50.63ドル安で4日続落。中国恒大のデフォルト懸念から20日は前日比614.41ドル安となり一時970ドルを超える大幅下落だったが、21日も一時的に戻したものの失速して16日から続落となった。20日の急落で34500ドルを下値支持線とした持ち合いから転落しており、連休明けの中国市場動向と明日未明のFOMC金融政策内容次第では下げ足が速まる可能性も出ている。
ドル円としては米10年債利回りが1.38%台を抵抗とした揉み合いの範囲にあるので日米金利差面からはFOMC後の動きを確認して米10年債利回り上昇ならドル高円安、低下ならドル安円高と反応も分かれると思われる。しかし中国市場が世界全体に不安を煽る展開となる場合やFOMCによる利上げ想定時期の前倒しから株安となる場合は、リスク回避的な円高が勝る流れも考えられる。
米商務省が発表した8月の住宅着工件数は年換算で前月比3.9%増の161万5000戸となり市場予想の155.5万戸を上回り、先行指標である住宅着工許可件数も同6.0%増の172万8000戸で市場予想の160万戸を上回った。好調な数字だったが市場の反応は限定的でドル円は下落基調で発表を通過した。
米商務省が発表した4-6月期の経常収支は1902億8200万ドルの赤字で赤字幅としては前期比0.5%拡大して2007年4-6月期以来14年ぶりの高水準だったが、市場予想の赤字1910億ドルを若干下回った。
【中国恒大集団のデフォルト懸念】
先週末に資金繰り難とデフォルト懸念が報じられた中国の不動産デベロッパー大手の中国恒大集団は、23日の社債利払い日で債務不履行に陥る可能性があるとされている。中国市場は中秋節で9月20日と21日が休場だったため、連休明けの22日の上海総合株価指数動向に注目が集まる。
恒大集団によるデフォルト発生が中国の不動産業界や金融機関、海外の株式保有期間への連鎖的な財務悪化を招き中国版リーマンショックに陥る可能性も取り沙汰されるが、中国当局の介入による支援救済や粛々とした整理なら混乱は最小限にとどまって世界市場全般への影響も軽微で終わる可能性もあり、どの程度の影響が発生するのかは事態の推移を暫く見守る必要がある。中国恒大は9月23日に8350万ドル、9月29日に4750万ドルの利払い日を迎える。利払い日から30日以内に不履行ならデフォルト発生となる。恒大の社債については資産運用で世界最大手のブラックロックや大手金融機関のHSBCとUBSが大量に保有し、日本の年金も同社株を保有しているという。まずは22日午前開始の上海市場動向を見定める必要がある。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、9月17日夜高値を起点として下落期に入っている。ボトム形成期は20日夜から22日夜にかけての間と想定されていたが、21日未明安値から21日夕刻へいったん戻してから一段安しているため既に新たな下落期に入っている可能性もある。このため21日夕高値109.70円を超えないうちはまず22日夜への下落継続を想定し、FOMCから続落の場合は21日未明安値を基準としてボトム形成期を24日未明から28日未明にかけての間へ延長する。22日夜までに下げ止まり21日夕高値を超える場合及びFOMCから反騰の場合は強気サイクル入りとみて23日の日中から24日夜にかけての間への上昇を想定する。
60分足の一目均衡表では9月20日夜の下落で遅行スパンが悪化、先行スパンからも転落し、21日夕高値への小反発でも好転できずに一段安している。このため遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。強気転換は先行スパンを上抜き返すところからとし先行スパンからの転落中は一時的に遅行スパンが好転してもその後に悪化するところからは下げ再開とする。
60分足の相対力指数は21日未明安値を割り込んできていることに対して指数のボトムは切り上がり気味のため、50ポイント台を回復するなら上昇再開に入って70ポイントを目指す上昇が想定されるが、50ポイント以下での推移中はもう一段安余地ありとして20ポイント割れを目指す可能性があるとみる。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、109.00円を下値支持線、21日夕反発時の高値109.70円を上値抵抗線とする。
(2)109.50円以下での推移中は一段安余地ありとし、109円割れからは108.75円前後への下落を想定する。108.75円以下は反発注意とするが、109.35円以下での推移が続くなら23日の日中も安値試しへ向かいやすいとみる。FOMCから急落反応の場合は108.50円前後へ下値目途を引き下げる。
(3)109.50円手前は戻り売りにつかまりやすいとみるが、109.50円超えからは21日夕高値109.70円試しとし、さらに超えれば17日夜高値110.07円に迫る可能性があるとみる。FOMCから急伸する場合はその可能性もあるとみるが、その際は9月8日午後高値からの戻り高値切り下がり基調から脱却できるかどうかを試され、17日夜高値超えへ進めずに失速なら次の下落期に入って安値更新へ進む可能性があると注意する。
【当面の主な予定】
9/22(水)
休場 韓国、香港
英中銀金融政策委員会(MPC)1日目
未 定 (日) 日銀金融政策決定会合、政策金利 (現行 -0.10%、予想 -0.10%)
11:00 (豪) ブロック豪中銀総裁補 講演
15:30 (日) 黒田東彦日銀総裁、定例記者会見
23:00 (米) 8月 中古住宅販売件数・年率換算件数 (7月 599万件、予想 589万件)
23:00 (米) 8月 中古住宅販売件数 前月比 (7月 2.0%、予想 -1.8%)
23:00 (欧) 9月 消費者信頼感速報値 (8月 -5.3、予想 -5.8)
23:30 (米) EIA週間石油在庫統計
26:00 (米) 財務省2年物変動利付債入札
27:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)、政策金利 (現行 0.00-0.25%、予想 0.00-0.25%)
27:30 (米) パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、定例記者会見
9/23(木)
休場 日本
各国の政策金利発表 南ア、ブラジル、スイス、ノルウェー、台湾、フィリピン、トルコ
08:00 (豪) 9月 マークイット製造業PMI速報値 (8月 52.0)
08:00 (豪) 9月 マークイットサービス業PMI速報値 (8月 42.9)
16:30 (独) 9月 製造業PMI速報値 (8月 62.6、予想 61.4)
16:30 (独) 9月 サービス業PMI速報値 (8月 60.8、予想 60.3)
17:00 (欧) 9月 製造業PMI速報値 (8月 61.4、予想 60.4)
17:00 (欧) 9月 サービス業PMI速報値 (8月 59.0、予想 58.5)
17:30 (英) 9月 製造業PMI速報値 (8月 60.3、予想 59.0)
17:30 (英) 9月 サービス業PMI速報値 (8月 55.0、予想 55.0)
20:00 (英) 英中銀 政策金利 (現行 0.10%、予想 0.10%)
20:00 (英) 英中銀金融政策委員会(MPC)議事要旨
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 33.2万件、予想 32.0万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 266.5万人、予想 263.0万人)
22:45 (米) 9月 製造業PMI速報値 (8月 61.1、予想 60.8)
22:45 (米) 9月 サービス業PMI速報値 (8月 55.1、予想 55.0)
23:00 (米) 8月 景気先行指数 前月比 (7月 0.9%、予想 0.6%)
26:00 (米) 財務省インフレ指数連動10年債入札
※ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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21日(火)のドル円相場は上昇後に急反落。
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