『米雇用統計がメインイベント。ドル高再開に要注意』
〇先週のドル円、週初110.59まで上昇後伸び悩み反落、一時109.36まで下落
〇株価の軟調、米長期金利低下米指標の不冴え、FOMC後のパウエル議長のハト派なスタンスが背景
〇ユーロドル週明け1.1763まで下落後、週後半にかけ1.1910まで上昇、
〇米指標の不冴え、FOMCのハト派スタンスのドル売りと欧米株堅調がサポート、1.1871前後で越週
〇ドル円21日線90日線等主要なサポート下抜けるも、続落余地は乏しいか
〇ファンダメンタルズも米景気回復期待やコロナ感染拡大に関する過度の悲観の後退等サポート材料多い
〇FOMC声明文もタカ派的内容、パウエル議長の会見での発言は過度のテーパリング織り込み防止か
〇来週は雇用統計がメインイベント、結果が良好であればドル高再開も
〇来週の予想レンジ(USDJPY):108.50ー111.00、(EURUSD):1.1750−1.2000
今週のレビュー(7/26−7/30)
<ドル円相場>
今週のドル円相場(USDJPY)は、週初110.57で寄り付いた後、早々に週間高値110.59まで上昇しました。しかし、先週末金曜日に記録した直近高値110.60をバックに伸び悩むと、@香港株及び中国株の急落に端を発したグローバルなリスク回避ムード(アジア株下落→欧米株下落→クロス円下落→ドル円連れ安)や、A米長期金利の急低下、B米6月新築住宅販売件数(結果67.6万件、予想80.0万件)の不冴な結果、C米6月耐久財受注(結果0.8%、予想2.1%)の大幅悪化、D米中対立懸念の再燃リスク、
E米FOMCのハト派的な結果(声明文では「米経済の回復が順調であること」「今後複数回の会合で米経済の進展を確認すること」「テーパリング開始に向けた議論を継続する意向があること」等が示されましたが、パウエルFRB議長がその後の定例記者会見で「テーパリングの開始時期は今後のデータ次第」「米経済の進展に達するには見極めるべきことがまだ残っている。雇用面は進展に程遠い」「利上げを検討するのは時期尚早」といった慎重なスタンスを示したことから市場ではハト派的と受け止められ、対主要通貨でドル売りが活発化)、F米4ー6月期GDP速報値(結果6.5%、予想8.5%)の冴えない結果、G米新規失業保険申請件数(結果40.0万件、予想38.0万件)の予想外の増加が重石となり、週後半にかけて、週間安値109.36(7/20以来の安値圏)まで下落しました。週末にかけて持ち直すも戻りは鈍く、結局109.72近辺での越週となっております。
<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場(EURUSD)は、週初1.1778で寄り付いた後、@香港株及び中国株の急落に端を発したグローバルなリスク回避ムード(リスクオフのドル買い→ユーロドル下落)や、Aドイツ7月Ifo景況感指数(結果100.8、予想102.1)の冴えない結果が重石となり、週明け早々に週間安値1.1763まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、B米経済指標の冴えない結果(米6月新築住宅販売件数、米6月耐久財受注、米4ー6月期GDP速報値、米新規失業保険申請件数など)や、Cハト派的な米FOMCを受けたドル売り圧力、Dユーロ圏7月経済信頼感指数(結果119.0、予想118.5)の良好な結果、Eドイツ7月消費者物価指数(結果0.9%、予想0.5%)の急上昇、F欧米株の堅調推移(リスク選好のドル売り圧力)が支援材料となり、週後半にかけて、6/30以来、約1ヶ月ぶり高値となる1.1910まで急伸しました。週末にかけて反落するも下値は堅く、結局1.1871前後での越週となっております。
来週の見通し(8/2−8/6)
<ドル円相場>
ドル円は7/23に記録した高値110.60をトップに反落に転じると、今週末にかけて、一時109.36(7/20以来、10日ぶり安値圏)まで下落しました。この間、一目均衡表基準線や転換線、ボリンジャーミッドバンドや雲上限、21日移動平均線や90日移動平均線を下抜けするなど、テクニカル的に見て「上値の重さ」を印象付けるチャート形状となりつつあります。但し、下方には7/19に記録した直近安値109.07や、一目均衡表雲下限が位置している為、余程強いドル売り・円買い材料が出てこない限り、ここからの続落余地は乏しいと判断できます(事実、同水準に続落を阻まれる形で週末にかけて持ち直す展開に)。
ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策格差を背景としたドル高・円安圧力(年内テーパリング開始が引き続き織り込まれている米国と、金融緩和脱却の出口の見えない日本との金融政策格差。セントルイス連銀ブラード総裁はテーパリングに関して「今秋に開始し、来年初頭に終了するような速いペースで実施すべき」と発言)や、A米経済の回復期待(週末に発表された米7月シカゴ購買部協会景気指数、米7月ミシガン大消費者信頼感指数は共に力強い結果)、B米主要株価指数の底堅い動き、C新型コロナウイルスの感染拡大を巡る過度な悲観論の後退など、ドル円相場の上昇を想起させる材料が残っています(今週発表された米FOMCについても、声明文の内容自体は明らかにタカ派。足元のドル売りはパウエルFRB議長が「市場が過度にテーパリングを織り込むことを抑制する目的」でバランスを取っているだけと判断)。
以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の上昇をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は8/2に予定されている米7月ISM製造業景況指数や、8/4の米7月ADP雇用統計、米7月ISM非製造業景況指数、米7月雇用統計に注目が集まります。市場予想を上回る結果が示されれば、米早期テーパリングを織り込む形で、米長期金利上昇→米ドル高の流れが再開する可能性もあり、来週は特にアップサイドリスクに注意が必要でしょう(パウエルFRB議長はFOMC後の記者会見で雇用が進展に程遠いと述べている為、今週発表される雇用関連指標が力強い結果となれば、8/26ー8/28に開催されるジャクソンホール会議でのテーパリングに関する詳細発表を織り込む形で一気にドル高が進展する可能性あり)。
来週の予想レンジ(USDJPY):108.50ー111.00
<ユーロドル相場>
ユーロドル相場は7/21に記録した直近安値1.1752(約3ヵ月半ぶり安値圏)をボトムに反発に転じると、今週末にかけて、一時1.1910(6/30以来、約1ヶ月ぶり高値圏)まで上昇しました。但し、強い売りシグナルを示唆する三役逆転や、弱気のパーフェクトオーダーが継続していることを踏まえれば、テクニカル的に見て「地合いは弱い(続伸余地は乏しい)」と判断できます(足元の上昇は下落トレンドの過程で見られる一時的な反発局面と整理)。
ファンダメンタルズ的に見ても、@欧米金融政策格差を背景としたユーロ売り・ドル買い圧力(年内テーパリング開始が意識される米国と、慎重スタンスを強調し続けるECBとの金融政策格差。ECBは先週の理事会でフォワードガイダンスを変更し、インフレの一時的な上振れを容認する姿勢を示唆→金融緩和の長期化観測)や、A欧州圏における新型コロナウイルスの感染拡大リスク、B上記Aを背景とした欧州経済の先行き不透明感など、ユーロドルの下落を意識させる材料が複数残っております。
以上を踏まえ、当方では引き続き、ユーロドル相場の反落をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は8/3に予定されているユーロ圏6月生産者物価指数や、8/4のユーロ圏6月小売売上高に加えて、米国の重要経済指標(米7月ISM製造業景況指数や、米7月ISM非製造業景況指数、米7月雇用統計など)などに注目が集まります。ユーロ圏経済指標が冴えない結果となった場合や、米経済指標が市場予想を上回る結果となった場合などには、欧米金融政策の方向性の違いが意識される形で、ユーロ売り・ドル買いが強まる可能性があり、来週はダウンサイドリスクに注意が必要でしょう。
来週の予想レンジ(EURUSD):1.1750−1.2000
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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