ドル円見通し FOMCショックからの反騰も111円台到達後は一服
〇ドル円、6/24午前111.11へ上昇、その後は上値重く、夜には110.66まで下げる
〇FOMC後の揺れ返し上昇に対する一服感、米個人消費支出・PCEデフレーターの発表を控え足踏み状態
〇米経済指標良好、NYダウ上昇、ナスダックは史上最高値を3日連続で更新
〇FOMCショックを消化だが、量的緩和縮小開始と利上げ時期を巡る思惑が交錯
〇111.11を超えないうちは一段安余地あり、110.66割れからは110.30から110.00を試すとみる
〇111.11超えからは111.50、次いで111.70台を目指すとみる、111.50以上は反落注意
【概況】
ドル円は6月24日午前高値で111.11円へ上昇、23日夜高値111.10円をわずかに上抜いたがその後は上値が重くなり、24日夜には23日夜安値と同値となる110.66円まで下げた。
6月17日未明のFOMCで利上げ開始予想時期が前倒しされたことや量的緩和縮小議論を開始するとしたことを当初予想よりもタカ派と市場は受け止めてドル全面高となり、ドル円は当初のドル高反応で16日夜安値109.79円から1円強の急伸となり17日午前高値で110.81円へ上昇して4月23日安値以降の高値を更新したが、株安を見てリスク回避的な円高へ押し返されて21日昼には109.70円まで反落した。しかし21日からはFOMCショックもひとまず織り込まれて為替市場ではドル安へ回帰、米国株式市場でもNYダウが21日から22日へ連騰、ナスダックが史上最高値更新へ反騰したことでリスク選好的な円安感が強まり23日の111円台到達で17日午前高値を超えていた。
6月24日も前日比に小反落したNYダウが反騰して戻り高値を切り上げ、ナスダックが3日連続で史上最高値を更新するなど株高基調が継続したことや米経済指標が強かったことがドル円を支えたが、FOMC後の揺れ返し上昇に対する一服感や、25日の米個人消費支出及びPCEデフレーターの発表も控えている中で上値も重くなり、24日午前高値超えへは進めずに足踏み状態となっている。
【米経済指標良好、PCEデフレーター待ち】
6月24日の米長期債利回りは小動き。10年債利回りは前日比変わらずの1.49%、30年債利回りは0.01%低下の2.10%、利上げ時期に敏感な2年債利回りは0.01%上昇の0.27%。米経済指標が堅調で、FOMCショックもひとまず織り込んだとして米国株式市場は堅調でNYダウは前日比322.58ドル高と上昇、ナスダック総合指数は同97.98ポイント高で史上最高値を3日連続で更新した。
米商務省による2021年1-3月期GDP確定値は年率換算で前期比6.4%増、改定値から据え置かれたが3期連続のプラス成長で市場予想と一致。個人消費は11.4%増で改定値の11.3%増から若干上方修正、設備投資は11.7%増で同10.8%から上方修正、住宅投資も13.1%増で同12.7%増から上方修正された。4-6月期のGDPも伸びが加速すると見込まれる。
米商務省による5月耐久財受注は前月比2.3%増で市場予想の2.8%増を下回り、4月の0.8%減から持ち直したものの設備投資の先行指標である航空機除く非国防資本財受注は0.1%減で市場予想の0.6%増を下回った。
米労働省による新規失業保険申請は前週比7000件減少の41万1000件で市場予想の38万件を上回ったが2週ぶりに前週から改善した。失業保険受給者総数は339万人で前週から14万4000人減少、市場予想の347万人を下回った。
米商務省による1-3月期の税引き後企業利益改定値は年換算で前期比1.7%増となり速報の0.8%減から上方修正され、前年同期比は11.5%増だった。
【FOMCショックを消化だが、量的緩和縮小開始と利上げ時期を巡る思惑が交錯してゆく段階に】
FOMCショックは一服している。6月23日にパウエル米連銀議長が下院小委員会での証言で量的緩和縮小時期や利上げ前倒し論に関しての言及をしなかったことでFOMCに対する市場反応がやや過剰だったとして為替市場も株式市場も揺れ返しの動きとなっている。ただ、米連銀がいずれは量的緩和縮小に入り利上げ想定時期も明確にしてゆくであろうことは変わりない。今後はそれらの時期が早まるのかまだ先なのかを市場も見定めてゆく過程に入る。
NY連銀のウィリアムズ総裁は「米経済は完全雇用になお程遠く現在は政策金利を変更する時ではない」と述べて引き締めへの転換を急がない姿勢を強調したが、セントルイス連銀のブラード総裁は「インフレ率が継続して想定より上振れすることが新たなリスク」と述べてインフレへの警戒感を示した。市場は7月の次回FOMCでは大きな変更や6月会合から踏み込んだ内容を示さずに8月のジャクソンホール会合でのパウエル米連銀議長講演で姿勢がよりはっきりするのではないかとみている。
米連銀が金融政策正常化へ動き始めたことで同じくインフレ問題を抱える主要国の中銀も正常化ないし引き締めへ動き始める可能性も高まってくる。今後は中銀の姿勢の差が主要通貨の強弱に大きく影響してくるものと思われる。
6月24日は英中銀のMPC(金融政策決定会合)があったが、政策金利は過去最低の0.1%に据え置かれ、量的緩和による債券買い入れ枠も総額8950億ポンドで維持した。英中銀はインフレ圧力は一時的な動きとして早期の金融引き締め観測を否定している。
メキシコ中銀は24日の理事会で政策金利を0.25%引き上げて4.25%とした。4会合ぶりの利上げだが、同国の5月消費者物価指数が前年比5.89%上昇で中銀目標の3%を大幅に上回っている。今後は豪中銀が7月6日、NZ中銀が7月14日に金融政策決定会合を開く。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、6月21日昼安値で目先の底を付けて反騰入りしたとして22日朝時点では高値形成期を22日午前から24日午前にかけての間と想定したが、24日午前高値で目先のピークを付けて調整期に入っている印象だ。このため24日午前高値を超えないうちは25日の日中から28日の日中にかけての間への下落を想定する。ただし24日午前高値超えからは新たな強気サイクル入りとして29日から7月1日午前にかけての間への上昇を想定する。
60分足の一目均衡表では24日夜の下落で遅行スパンが悪化している。先行スパンからの転落は回避しているが下限へ下げているので転落しやすい位置にある。このため遅行スパン悪化中は安値試し優先とするが、両スパン揃って好転するところからは上昇再開とみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。
60分足の相対力指数は23日夜高値から24日午前高値への高値切り上げに際して指数のピークが切り下がる弱気逆行となって下落している。65ポイントを超えてくる場合は上昇再開とみるが、60ポイント台前半までにとどまるうちは一段安余地ありとみる。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、23日夜及び24日深夜安値の110.66円を下値支持線、24日午前高値111.11円を上値抵抗線とする。
(2)111.11円を超えないうちは一段安余地ありとし、110.66円割れからは110円台序盤(110.30円から110.00円)を試すとみる。110.20円以下は反発注意とするが、111円台を回復できずに推移する場合は週明けも安値試しへ向かう可能性があるとみる。
(3)111.11円超えからは111.50円、次いで111.70円台を目指すとみる。111.50円以上は反落注意とするが、110.66円以上での推移なら週明けも高値試しへ向かう可能性があるとみる。
【当面の主な予定】
6/25(金)
15:00 (独) 7月 GFK消費者信頼感 (6月 -7.0、予想 -4.0)
17:00 (欧) 5月 マネーサプライM3 前年同月比 (4月 9.2%、予想 8.5%)
21:30 (米) 5月 個人所得 前月比 (4月 -13.1%、予想 -2.5%)
21:30 (米) 5月 個人消費支出(PCE) 前月比 (4月 0.5%、予想 0.4%)
21:30 (米) 5月 PCEデフレーター 前年同月比 (4月 3.6%、予想 3.9%)
21:30 (米) 5月 PCEコアデフレーター 前月比 (4月 0.7%、予想 0.6%)
21:30 (米) 5月 PCEコアデフレーター 前年同月比 (4月 3.1%、予想 3.4%)
23:00 (米) 6月 ミシガン大学消費者信頼感指数確報値 (速報 86.4、予想 86.5)
24:35 (米) メスター・クリーブランド連銀総裁、討論会参加
26:00 (米) ローゼングレン・ボストン連銀総裁、講演
※ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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