ドル円、軟調推移が継続中。金融市場はインフレリスクを織り込む形で不安定化
〇ドル円日欧米の株価大幅安にリスク回避の円高進行米国時間にかけ108.36まで下落
〇その後は米長期金利上昇、株価下げ止まりで持ち直し108円台後半を回復
〇ユーロドル、株価急落に1.2124まで下落、その後は独ZEW指数の好調等で1.2182まで反発
〇買い一巡後は米長期金利上昇に1.21台前半に再度反落
〇ドル円昨晩金曜雇用統計後の安値108.35に迫る、109円台前半にチャートポイント多く上値重い
〇本日米CPI要注視インフレ率上昇の場合ドル円下押し圧力要警戒
〇本日の予想レンジ:108.10ー109.10
海外時間のレビュー
11日(火)の外国為替市場でドル円は上値の重い展開。@米期待インフレ率の急上昇や、A上記@を背景とした金融市場の不安定化(日経平均株価が一時▲980円超と今年2番目の下げ幅を記録した他、欧米株も大幅安)、Bリスク回避の円買い圧力が重石となり、米国時間にかけて、安値108.36まで下落しました。しかし、先週末金曜日の米雇用統計後に記録した安値108.35に一歩届かず下げ渋ると、C米3年債入札の低調な結果、D米長期金利の上昇および米主要株価指数の下げ幅縮小が支援材料となり、本稿執筆時点(日本時間5時25分現在)では、108.66近辺まで持ち直す動きとなっております。
11日(火)のユーロドル相場は下落後に反発。@世界的な株価の下落や、A上記@を背景としたリスク回避のドル買い・円買いが重石となり、欧州時間朝方にかけて、安値1.2124まで下落しました。しかし、心理的節目1.2100をバックに下げ渋ると、Bドイツ5月ZEW景況感調査(結果84.4、予想72.0)の力強い結果や、Cオランダ中銀クノット総裁による「見通しはかなり明るい」「パンデミック緊急購入プログラム終了後も潤沢な支援を続ける」との発言が支援材料となり、米国時間にかけて、高値1.2182まで反発しました。もっとも、買い一巡後は、D米長期金利の上昇や、E上記Dを背景としたドル買い圧力が重石となり、本稿執筆時点(日本時間5時25分現在)では、1.2148近辺まで値を下げる展開となっております。
本日の見通し
ドル円は一時108.36まで下げ幅を広げるなど、先週末金曜日に記録した安値108.35に迫りました。足元やや反発に転じてはいるものの、上方に一目均衡表基準線(109.02)、転換線(109.02)、雲上限(109.18)等のチャートポイントが密集しているため、テクニカル的に見て、上値余地は乏しいと判断できます。ファンダメンタルズ的に見ても、低調な米雇用統計を受けて、インフレの制御不能リスク(期待インフレ率の急上昇)が市場の焦点として改めて警戒され始めるなど、リスク回避ムードの再燃を通じた株安→リスクアセット下落→クロス円下落→ドル円連れ安の波及経路が意識されます。
こうした中、本日は米4月消費者物価指数に注目が集まります。インフレ率の上昇が確認されれば、インフレの制御不能リスクへの警戒感が一段と増し、ドル円に強い下押し圧力を加える可能性もあり、警戒が必要でしょう(上記の他、今晩は米4月財政収支にも注目。赤字額の拡大が示された場合は、先般の米貿易赤字拡大と相まって、双子の赤字→ドル売りの波及経路に繋がる恐れあり)。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。
本日の予想レンジ:108.10ー109.10
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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