ドル円、注目イベントをこなして再び上昇。米長期金利を睨みながらの展開
〇ドル円FRBのハト派姿勢意確認に昨日アジア時間早朝に108.43まで下落
〇その後は米1QGDPの好結果等に一時109.22まで切り返し、109.94付近で推移
〇バイデン大統領の施政方針演説サプライズ無し
〇ユーロドルFOMC後1.2150まで上値を伸ばすも米長期金利上昇に1.21台前半に反落
〇ドル円テクニカルな地合い強いがここからの上昇は容易でなく、神経質な展開予想
〇ドル円下落がメインシナリオ、大型連休前ボラティリティ拡大に注意
〇本日の予想レンジ:108.40ー109.40
海外時間のレビュー
29日(木)の外国為替市場でドル円は下落後に反発。@パウエルFRB議長によるハト派的な発言(米FOMC後の記者会見でパウエル氏は「緩和の段階的縮小の議論開始は時期尚早」と市場でくすぶる米早期テーパリング観測を一蹴)や、A上記@を背景としたドル売り圧力(テーパリング観測後退→米長期金利低下→ドル売り)、Bバイデン米大統領による施策方針演説を控えた警戒感が重石となり、アジア時間朝方にかけて、安値108.43まで下落しました。
しかし、一目均衡表転換線に続落を阻まれると、Cバイデン米大統領の施策方針演説にサプライズが見られなかったこと(バイデン氏は「今こそ米企業や米国民の1%を占める富裕層が相応の負担をする時が来た」「中国などの国が急速に追い上げてきている」と発言するも概ね事前予想の範囲内→安堵のショートカバーを誘発)や、D米長期金利上昇に伴うドル買い圧力、E米第1四半期GDP速報値(結果6.4%、予想6.1%)の力強い結果が支援材料となり、米国時間にかけて、高値109.22(4/13以来の高値圏)まで反発しました。もっとも、一目均衡表基準線に続伸を阻まれると、引けにかけては再び反落。米長期金利が上げ幅を縮小する中、本稿執筆時点(日本時間6時00分現在)では、108.94近辺で推移しております。
29日(木)のユーロドル相場は上昇後に反落。@パウエルFRB議長によるハト派的な発言(米早期テーパリング観測後退→米長期金利低下→ドル売り)を背景に、アジア時間朝方にかけて、高値1.2150(2/26以来、約2ヵ月ぶり高値圏)まで上値を伸ばすも、A米長期金利が上昇に転じると、対主要通貨でドル買いの動きが活発化し、米国時間にかけて、安値1.2103まで反落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間6時00分現在)では、1.2117近辺で推移しております。尚、昨日発表されたドイツ4月消費者物価指数(結果0.7%、予想0.5%、※前月比)は市場予想を上回る結果となりましたが、市場の反応は限定的となりました。
本日の見通し
ドル円は4/23に記録した安値107.47をボトムに反発に転じると、昨日は一時109.22まで上昇しました。この間、一目均衡表雲上限や一目均衡表転換線を上抜けするなど、テクニカル的に見て、地合いの強さを印象付けるチャート形状となっております。但し、上方には、一目均衡表基準線が控えている為、ここからの続伸は容易では無いと考えられます(事実、昨日も一目均衡表基準線に続伸を阻まれる形で反落→上値の重さを再確認)。こうした中、本日も米長期金利や米主要株価指数、米経済指標(米4月シカゴ購買部協会景気指数や、米4月ミシガン大消費者信頼感指数など)を睨みながらの神経質な展開が予想されます。
パウエル氏はFOMC後の記者会見で米早期テーパリング観測を一蹴しましたが、市場では引き続き6月FOMCや8月ジャクソンホールでのテーパリング示唆の思惑が根強く、目先は米長期金利上昇→米株下落→リスク回避のドル買い→クロス円下落→ドル円連れ安の波及経路に注意が必要でしょう。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。尚、本日は本邦大型連休前となる為、日本時間9時55分の公表相場決定にかけてのボラティリティ拡大にも警戒が必要です(月末5・10日)。
本日の予想レンジ:108.40ー109.40
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
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