米国大統領選挙について(7)(2020年9月16日)

8月最終週に行われた共和党全国大会で、トランプは70分にわたる長広舌を振るって受諾演説をおこなった。

米国大統領選挙について(7)(2020年9月16日)

大統領選挙まであと7週間

8月最終週に行われた共和党全国大会で、トランプは70分にわたる長広舌を振るって受諾演説をおこなった。
もともと格調の低い人間がしゃべる言葉なので、何を言っても全く訴える能力はなく、あれでは、コンヴェンション・バウンス(convention bounce-大会での支持率の上昇)も大したことはないだろうと思われた。
案の定、バウンスはペンシルベニア州やフロリダ州ではトランプがバイデンに迫る場面を見せたが、大きなピクチャ―での本格的なトランプのサージ(surge-急上昇、うねり)は見られなかった。
大会でやった女性票を狙う優しいオジサンへの変身は、誰が見ても嘘っぽくそれほどの効果はなかった。

一番トランプが力を入れた『法と秩序』は、全米各地でのプロテスト(protest-抗議)を大げさにかきたて、恐怖をもたらすことによって、共和党に有利な状況を作り上げる作戦である。
それはそれで結構成功した。人々の危機意識を高めたが、しかしその危機がトランプ大統領の下で発生しているという事実があり、バイデン大統領になればもっとひどくなるという言説には説得力がなかった。
実際暴力的なデモを抑えるのは、トランプなのかバイデンなのかの設問では、トランプよりバイデンのほうが良いという意見が勝っている。
この法と秩序を考え付いた参謀は、賢そうな顔をしたバカということか。

トランプもバイデンも三流人材

既に何度も申し上げたが、トランプもバイデンも三流人材である。

熱烈な支持者はさて置き、一般大衆は過去4年間のトランプのスタイルに疲れを見せてきたのではないか。
毎日のようにTwitterで罵詈雑言をまき散らし、決して笑顔を見せないで記者会見をやるこの男は、Toxic (有毒)な雰囲気をまき散らし、見ているだけでも疲れるのである。
この毒々しさから逃れるためには、77歳のぼんやり爺さんのバイデンのほうがSoothing (心が鎮まる)である。

若干のバイデンリードで、投票になだれ込みそうだが、トランプからはツキも離れつつある。
今年2−3月からのコロナ・ウィルス禍で決定的に無能をさらけ出したうえ、それでも頼りにしていた、株式市場が9月から崩れだしている。

共和党大会で少し持ち直したかと思えたが、今度は西海岸での強烈な山火事の被害である。
トランプは地球温暖化がHOAX(悪ふざけ、インチキ)であるとして、パリ協定からも脱退、国内の規制も一斉に取り払い、石炭産業に力を入れるなど、人類の英知で何とか成し遂げようとしているGreen運動を徹底的に破壊しようとする、信じられない非常識な男である。
そのような男からツキが離れるのは当然である。トランプは山火事の視察に行ったカリフォルニア州では、地球温暖化のせいでこうなっているという抗議に対して、カリフォルニア州のフォレスト・マネジメント(森の整備)が悪いからだと責任を転嫁した。

カリフォルニア州知事が、『お言葉ですが、カリフォルニア州の山地の3%が州の保有地で、57%は連邦政府の土地である。フォレスト・マネジメントを言うなら、連邦政府の責任者たる大統領の責任を問うことになります』と反論されて、一言も言い返せなかった。
その程度のことを調べもせずにひたすら責任逃れをするこの男が、大統領に再選されることは米国の悲劇である。

しかし2016年の選挙では、このような男に63百万の票が入ったという(ヒラリーは66百万票)米国という国の非常識さは測り知れない。
当たり前のことが当たり前に起こらない可能性がある。それが選挙ということだろう。

Game Changer - 郵便投票

いま一番の激戦地はフロリダ州だろう。
選挙人29名を擁する大選挙区である。
選挙専門のウェブサイトとして名高いFive Thirtyeight (538人は選挙人の総数−過半数270をとれば大統領に当選)の予想では選挙人(Electorate)で見て9月15日現在バイデン329人、トランプ209人でバイデン有利となっている。フロリダは一応バイデンが有力であるが、人気投票ではバイデン50.5%、トランプ48.7%とせっており、十分逆転の可能性がある。逆転すると、329対209の120ポイントの選挙人の差が58人減少して300−238と62人差まで詰まってくる。
他の激戦区例えばペンシルバニア州では選挙人が20人で現在バイデン有利だが、人気投票では 51.9対47.4とそれほど圧倒的なバイデンリードではない。
民主党がペンシルバニアを落とすとさらに40人格差が減少して20人差まで迫ってくる。
こうなると、ほぼ互角となる。
とてもじゃないけれど、一部の日本のメディアのように、確定的にバイデン勝利を予想するわけにはいかない。

フロリダはこの20年間、州知事並びに州議会の多数を共和党が握ってきたところであり、共和党も戸別訪問などを強力に推進している。
民主党は、ウィルス禍で戸別訪問はあまりやらず、もっぱらテレビの広告などで勝負している。
コロナ禍で事前に郵便投票を登録すれば、投票用紙を送ってくるスタイルである。
このフロリダでは、事前の投票用紙の送付のアプリケーションが、民主党支持者から殺到し、共和党支持者のアプリケーションの数を70万票分上回ったといわれている。
これには戸別訪問に強い共和党もパニックしており、共和党の支持者は直接投票所に行くなどあらゆる手段で、投票をすると公表している。

さらに、知事、州議会が共和党なので、共和党の常套手段である、投票妨害(登録者の大幅削減―数十万人規模で登録抹消、や投票所の設置を少なくする)を盛んにやるだろう。
この一般選挙人の登録は、日本のように戸籍制度、住民登録のない米国では常に論議の対象であり、かつ相当いい加減である。それを悪用して、共和党有利に選挙を誘導するのが共和党のやり方である。

しかし今年はそうした汚い手段では間に合わないほど、民主党支持者による郵便投票で、民主党への投票率が大幅に上昇するといわれている。
この部分が激戦区フロリダの勝敗を分けるゲーム・チェンジャーとなるのではないかと民主党本部は期待しているようだ。

9月29日には第1回の大統領選挙ディベートが始まる。
これが苦手なバイデンがどの程度のマイナスでこれを通過することができるか。
民主党員の心配は絶えない。77歳である。頭が真っ白になって言いたい言葉が出てこないこともあるだろう。何せ三流人材だから、当意即妙な受け答えは難しいだろう。
最もトランプも74歳、で同じことを何度も繰り返す癖がある。
割れ鍋に綴じ蓋でほぼいい勝負か。

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