米国大統領選挙について(10)(2020年10月28日)

日経新聞がパクス(ローマ神話の平和と秩序の女神=PAX)なき世界という特集を組んでいる。 民主主義は少数派になったと嘆いている。

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米国大統領選挙について(10)(2020年10月28日)

新しい民主主義の始まり

日経新聞がパクス(ローマ神話の平和と秩序の女神=PAX)なき世界という特集を組んでいる。
民主主義は少数派になったと嘆いている。
日経の歴史観は間違っている。民主主義の引き潮は今が最悪で、これから最悪期を脱して、徐々に民主主義の潮が満ちてくるのである。
すべて波動の世の中を構造論で一方通行の結論に導くのは間違いのもとである。
筆者の尊敬する北野一氏の言で、民主主義には自由(リバティー)と平等の二律背反の概念が併存している。

レーガノミクスで、リベラルが駆逐され、新自由主義の名のもとに、政府の干渉を排除する自由の政治経済体制が40年間続いてきた。しかしその結果経済は栄えたが、その受益者の格差が大きく拡大して、これ以上の拡大は社会的に受容できないところまで来ている。
従ってこれからは、株価の上昇に代表される、経済の効率化から、経済的には不効率でも、社会の構成員が平等に成功の果実を享受できる流れに入る。すなわち民主主義の流れの中で自由から平等に重点がシフトするのである。バイデンの企業増税、金持ち増税はそうした動きで、トランプ政権下の司法省でも、独禁法でGAFAを規制する方向に踏み出している。

この平等への動きの原点が2020年の大統領選挙である。
平等重視の政治の流れがいまから40年続くと考えられる。
そこでは効率をある程度無視した、社会主義的な経済体制が民主主義の満ち潮を導くのである。いまから40年たって平等主義の非効率が限界に達したときには、今度は自由(リバティー)の出番となるのだ。
トランプ現象というのはその引き潮の民主主義の最後に現れた異常現象(一種の常軌逸脱である)で、社会現象というほどの大層な名前を付けるのにはふさわしくないが、自由主義の最後の徒花である。その意味でごろつきが大統領になったというのはある意味運命的であったのかもしれない。トランプがなした政策の善し悪しよりもそのごろつき性が、彼の再選を阻むというのは腐敗した自由主義の最後に相応しいだろう。

どう見ても三流で、入れ歯で口をもぐもぐさせて発言し、まったくカリスマ性に欠ける、77歳のバイデンが、さしたる目立った政策もないのに、大統領選挙で圧勝するというのはまさにこの自由主義から平等主義への民主主義の昇華を意味する社会現象だろう。
この選挙で一気に、民主党がトライフェクタ(大統領府、上院、下院を制する)を達成するというのもその自由主義から平等主義への民主主義の選手交代を嘉する神意の実現である。
神意といえば、まさにこの選挙が迫るにつれて、コロナウィルスの感染が爆発しつつあることや、株価が急落しつつあることは、どうしてもトランプの再選を阻もうするDivine Intervention (神による介入)によるダメ押しである。

大衆の異常な盛り上がり

筆者も11月3日を待たずにアーリーボーティングをトライしたが、10月26日投票所にいってみると、6ブロックもの行列で3−4時間はかかるという。筆者の顔を見て係の人が、ビーチ用の簡易チェアーを持って来るといいよと教えてくれた。室内には一定の人数しか入れないので、この長蛇の列となっている。
NYはご存知の通り、投票しなくても民主党が圧勝する土地柄なので、これだけの行列ができると投票をあきらめる人が出てもおかしくないが、みんな大人しく黙々と順番を待っている。
これが激選区のフロリダや、ペンシルバニアだと、自分の投票がカウントされないと支持する候補が負ける可能性が出てくるので、行列する人たちも必死である。

トランプ大統領の郵便による投票は不正投票の根源で、あらゆるところで訴訟を起こして郵便投票の有効性を争うという発言に、郵便投票が無効扱いされては困る人たちが、期日前投票に殺到している。
既に10月26日現在で、投票した人は6千万人を超え、2016年の選挙時の総得票数137百万の半分に迫りつつある。
2016年137百万票の総数に比べて今回は圧倒的に参加者が多く、総数は155百万票になるともいわれている。

トランプは、激戦区で最後の選挙集会を開催して、90分しゃべるが、その中で130回嘘の発言をしている(ウィスコンシンの集会)。集まった聴衆はいわゆるトランプの熱狂的なファンで、演説の内容にかかわらず歓声を上げている。こちらのほうがメディア受けはするが、米国のメインストリームのメディアはあまり報道しない。トランプにとってタダの選挙広報になるからだ。
黙々と並ぶNYの人たちの真剣な表情は印象的で、トランプによる民主主義の破壊をなんとか食い止めようとする高邁な精神が感じられる。人種差別主義者のトランプファンによる下品な集会と比べると、ミシェル・オバマの応援演説で有名な『They Go Low, We Go High』
(共和党は下劣な手段に訴えるが、我々民主党は高潔な精神でそれに対抗する)そのものである。

ごろつき政権のトランプは4年間で十分米国を汚染しつくした。
再選はそれこそ民主主義の危機である。しかし日経新聞のようなメディアが騒ぐときは、その流れが終わり、逆転への芽生えがみられるものである。
凡人バイデンの圧勝はその証明である。

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