米大統領選挙第三回候補者TV討論会

本日行われた最後の候補者テレビ討論会では、最高裁、移民、外交、経済、財政赤字と給付金制度、大統領としての適性、について討論が行われました。最後に一分間スピーチが加えられました。

トランプ氏側が最後の討論会で「隠し玉」のようなクリントン氏に不利な重大な情報を持ち出すのではないかとの一部での予想は外れ、また、前回ほどの個人攻撃合戦ともならず、比較的サプライズの少ない討論会となりました。為替市場はメキシコペソが上昇したもののドル円等主要通貨はほとんど反応しませんでした。

政策の主張自体は従来のとおりクリントン氏が富裕層への増税をベースとした現実的な路線を主張し、トランプ氏は大企業への大幅減税と強いアメリカを軸とした政策を説明、移民排斥、同盟国への負担増等のアメリカ中心主義でアピールする構図は変わらず互角といえます。

一方個人的な資質という意味では前二回の討論ほどではないものの今回もトランプ氏側には厳しい失点が見られました。

直後のCNNの調査では今回の討論会についてクリントン氏勝利が52%、トランプ氏の勝利39%の結果を報告しています。またどちらが大統領としての準備ができているかの調査では更に差が開いており、クリントン氏59%に対しトランプ氏35%となりました。
第一回第二回ほどトランプ氏が失態を晒さなかったことから、差は少ないですが、結果からみてクリントン氏の優位は揺るがないとの見方ができそうです。

サプライズが少ない討論の中で一番話題を集めたのは、不正選挙に関する話題の中で「どのような厳しい選挙戦を繰り広げてもアメリカの大統領選では選挙後は敗者が結果を受け入れ勝者をたたえ団結するのが伝統であるがあなたはその準備ができているか」との質問に、トランプ氏が「その時にどうなのか伝えたい」と結果の受け入れの意思を明確にしなかったことです。これについては選挙制度、民主主義制度そのものに対する尊敬の念の欠如ととらえられかねず、トランプ氏にとっては大きなマイナスとなりそうです。

また、社会保障のテーマのクリントン氏の発言中にトランプ氏が割って入って言った「Such a nasty
woman(嫌な女だ)」という言葉もさっそくクリントン氏のツイッターで取り上げられていて、

"Nobody respects women more than me."Donald Trump earlier tonight
"Such a nasty woman." Donald Trump just now #DebateNight
@HillaryClinton

女性問題でも順調に失点を積み重ねた形です。

結果として11月8日の投票日までによほど大きなスキャンダルがクリントン氏の当選は揺るがない状況となってきており、金融市場で懸念されていた「トランプリスク」は大きく後退したものと考えられます。