2016年米国大統領選挙の概要
「予備選挙」による各党の候補者指名
米国大統領選レポート第1回となります。
第1回は、皆さん既にご存知のこととは思いますが、2016年米国大統領選挙の概要についてからスタートしましょう。
米国は民主党と共和党の2大政党による政治が行われていますが、4年に1度行われる大統領選挙は政治イベントとして最も注目を集めるものです。今年は11月8日に投開票が行われ、そこで次期大統領が決定することは間違いないのですが、実際の大統領就任までには結構複雑な手続きを繰り返していきます。
まず、最初に両党とも大統領候補による「予備選挙」が行われます。この予備選挙は1月のアイオワ州を皮切りに7月まで各州において日程がずれて実施されます。また方法も週によって異なり、勝者総取りであったり、比例配分であったりとまちまちですが、予備選挙の中盤には脱落者が増え、終盤には数名の候補者の中から最も得票数の多い候補者が「党大会」において正式に大統領候補として指名されます。
民主党:クリントン氏/ケイン上院議員 共和党:トランプ氏/ペンスインディアナ州知事
2016年は、民主党がサンダース氏を抑えてクリントン氏が党大会で指名され、共和党はクルーズ氏、ケーシック氏、ルビオ氏を抑えて実業家のドナルド・トランプ氏が指名されました。また副大統領候補としてクリントン氏はケイン上院議員、トランプ氏はペンスインディアナ州知事を選んでいます。
11月8日選挙人選挙で事実上大統領は決定、各州の選挙人は勝者総取り
この正副大統領候補の組み合わせに対して、米国民は11月8日に民主党候補か共和党候補かを選択するのですが、12月に11月の結果同様に大統領を直接選ぶ権利のある「選挙人」が大統領候補に投票するという間接方式となっています。選挙人というのは各州の人口に応じて一定の人数が決められていて、その過半数(270人)を取った候補が正式に正副大統領として決まります。
また、各州に割り当てられた選挙人は大半が勝者総取りとなるため、人口の多い州の影響が非常に強く、そうした州で選挙人を獲得できれば得票数で下回っても勝利することも可能です。色々とややこしい仕組みがありますが、こうして選ばれた候補者が翌年1月に正式に決定、そして1月20日に就任式となります。予備選挙から就任まで1年もかかる選挙ですから、オリンピックの年と大統領選挙の年は同じでも大統領の任期は翌年からスタートすることとなります。
現状ではクリントン候補がリード
さて、9月からクリントン候補とトランプ候補とによる選挙キャンペーンも11月に向けて終盤を迎えることとなりますが、現状ではクリントン候補がかなりリードしています。8月22日の世論調査では、クリントン氏の支持率が45%、トランプ氏が33%と12%のリードで、この差を埋めるのはかなり厳しいというのが一般的な見方です。
順当に行けば初の黒人大統領に続いて、初の女性大統領誕生ということになりますが、もうひとつ面白いジンクスを紹介しておきます。
オハイオ州で負けた共和党候補者は大統領にならないとのジンクスも
予備選挙において、オハイオ州で負けた共和党候補者で過去に大統領になった人はひとりもいません。そして、トランプ氏は今年のオハイオ州予備選挙でケーシック氏に負けているのです。ケーシック氏はオハイオ州の州知事ですから当然の結果とはいえ、これまでのジンクスを打ち破ることは破天荒なトランプ氏と雖も難しいのではないか、意外とこのようなことも選挙では重要かもしれません。
次回9月前半は両候補者の政策と為替市場に与える影響について考えてみたいと思います。
オーダー/ポジション状況
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