トルコリラ円見通し トルコ中銀の金利据え置きは予想通りだったがドル円の急落で続落(22/6/24)

トルコリラ円の6月23日は7.86円から7.73円の取引レンジ、24日早朝の終値は7.77円で前日終値の7.85円からは0.08円の円高リラ安となった。

トルコリラ円見通し トルコ中銀の金利据え置きは予想通りだったがドル円の急落で続落(22/6/24)

トルコリラ円見通し トルコ中銀の金利据え置きは予想通りだったがドル円の急落で続落

〇トルコリラ円、ドル円急落に同調し6/23夜7.73まで失速、その後持ち直し6/24午前序盤に7.78台回復
〇ドル/トルコリラ、6/23はドルの強弱まちまちで限定的な動きだが、終値ベースは17.35で最安値更新
〇トルコ中銀、政策金利を6会合連続で据え置く、予想通りのため市場の反応鈍い
〇7.75を上回るうちは上向きとし、7.81超えからは7.85手前を試す上昇を想定する
〇7.73割れからは一段安入りとなるため、7.60台後半(7.70から7.65)へ向かう流れとみる

【概況】

トルコリラ円の6月23日は7.86円から7.73円の取引レンジ、24日早朝の終値は7.77円で前日終値の7.85円からは0.08円の円高リラ安となった。
6月23日夜にトルコ中銀が金融政策決定会合で政策金利を6会合連続で据え置いたのは予想通りだったためにドル/トルコリラは反応鈍く小動きだったが、パウエル米連銀議長の下院議会証言でのリセッション言及により米長期債利回りが大幅に続落したためにドル円が6月23日夜に134.25円まで急落となり6月22日朝高値136.71円からの下げ幅が2.46円に拡大した流れでトルコリラ円も同調的に売られて23日夜にはこの日の安値となる7.73円まで失速した。
ドル円は134円割れを回避して24日午前には135円台を回復してきているのでひとまず下げ一服から持ち直しを試す流れとなり、トルコリラ円も24日午前序盤には7.78円台を回復しているが、6月16日夜にかけての大幅下落がドル円の急落によるものだったことも含め、ドル円の値動きがやや荒くなっていることでトルコリラ円も波乱含みとなっている。

【1ドル17.35リラで終値ベースの最安値更新】

ドル/トルコリラの6月23日は17.39リラから17.27リラの取引レンジ、24日早朝の終値は17.35リラで前日終値の17.34リラからは0.01リラのドル高リラ安だった。
6月23日夜のトルコ中銀による政策金利現状維持については市場予想通りとして反応は鈍かった。23日夜のパウエル米連銀議長による下院議会証言でリセッション入りへの可能性が言及されたことで米長期債利回りが22日に続いて大幅低下したことはドルストレートにとってはドル安要因となったが、リセッション言及によるリスク回避的なドル買いや、パウエル議長がドル高によるディスインフレ効果にも言及してドル高容認姿勢を示したこともありドルの強弱はまちまちで、トルコリラの対ドルでの動きも限定的だった。
しかし、昨年末からのドル高リラ安基調は継続しており、終値ベースでは12月17日の史上最安値16.41リラを超えた後も最安値更新が続いており、6月21日に17.34リラから22日は同値にとどまったが、23日はわずかながら17.35リラへと最安値更新の継続となっている。

【トルコ中銀は6会合連続で政策金利を現状維持】

トルコ中銀は6月23日夜の金融政策委員会(MPC)で政策金利の週間レポレートを従来の14.0%に据え置いた。据え置きは1月から6会合連続。
エルドアン大統領による利下げ政策を反映して昨年9月から12月まで4会合連続の利下げにより政策金利は19%から14%まで大幅低下したが、高インフレ下での利下げ強行を嫌気してリラ暴落が発生、リラ安による通貨インフレに加えてウクライナ戦争勃発によるモノ不足の深刻化からトルコのインフレ率は消費者物価前年比で5月には73.5%まで悪化した。公式統計よりも実勢はさらに悪く民間調査機関によればインフレ率は160%近辺まで高騰しているという報道もある。
しかしエルドアン大統領は6月6日の演説で利下げ政策は継続すると強調しており、トルコ中銀は通貨防衛のための利上げができずせいぜい金利据え置きしか手がない状況に陥っている。

トルコリラ円見通し トルコ中銀の金利据え置きは予想通りだったがドル円の急落で続落

トルコ中銀による政策金利現状維持を不満としてリラ売り攻勢がかかっても不思議ないところだが、市場の動きは割と慎重だ。1ドル17.50リラ手前の水準をトルコ中銀が新たな通貨安防衛ラインとして非公式な介入を行っている可能性もあり、毎週発表される外貨準備高は6月17日時点のグロスで594.5億ドルとなり6月10日時点の607.9億ドルから減少、ネットでは73.8億ドルとなり6月10日時点の815億ドルから減少が目立っている。
トルコ中銀は声明で、「インフレは地政学を理由とした供給ショックやエネルギー価格の上昇によるもの」とし、必要に応じて追加政策をとるとし、「これまでの措置によりディスインフレのプロセスが始まると予測する」との見解を示した。ウクライナ戦争が終結すればインフレも落ち着くという楽観的な見方だが、トルコ中銀が6月17日にまとめた年末のインフレ予想値は64.59%で5月の57.92%からさらに上昇しており、今後、大統領がまた利下げへの言及を行えばリラ安への圧力が強まるのではないかと思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、6月16日夜安値をサイクルボトムとした強気サイクル入りとして6月20日午前から22日午前にかけての間への上昇を想定したが、6月22日朝高値から22日夜にかけて下落したために23日午前時点では22日朝高値で直近のサイクルトップを付けて弱気サイクル入りしたとし、ボトム形成期を22日の日中から23日深夜にかけての間と想定した。
6月23日夜へ大幅続落したところから反騰しているので23日夜安値で直近のサイクルボトムを付けたと思われる。高値形成期は25日朝から29日朝にかけての間とするが、戻りは短命の可能性もあり、23日夜安値割れからは新たな弱気サイクル入りとして28日夜から30日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では、6月22日夜の下落で遅行スパンが悪化、先行スパンからも転落したが、23日夜安値からの反騰により遅行スパンは好転しやすい位置に来ている。このため遅行スパン好転からは高値試し優先とするが、先行スパンを上抜き返せないうちはその後に悪化するところから下げ再開とみる。先行スパンを上抜き返すところからは上昇継続感が強まるとみる。

60分足の相対力指数は6月23日夜に30ポイント割れまで下げてから50ポイントを回復しているので60ポイント台への上昇余地ありとみるが、40ポイントを割り込むところからは下げ再開を疑う。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.73円を下値支持線、7.81円を上値抵抗線とする。
(2)7.75円を上回るうちは上向きとし、7.81円超えからは7.85円手前を試す上昇を想定する。7.85円手前は戻り売りにつかまりやすいとみるが、円安の勢い次第では7.85円を超える可能性もあると注意し、7.80円以上での推移なら週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)7.75円割れを弱気転換注意とし、7.73円割れからは一段安入りとなるため7.60円台後半(7.70円から7.65円)へ向かう流れとみる。7.68円以下は反騰注意とするが、7.73円を割り込んだ後も7.75円以下での推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

6月24日
 16:00 6月 製造業景況感 (5月 109.4)
 16:00 6月 設備稼働率 (5月 78.0%)
6月29日
 16:00 6月 経済信頼感 (5月 96.7)
6月30日
 16:00 5月 貿易収支 (4月 -61.1億ドル)
 20:00 トルコ中銀MPC議事要旨
 20:30 週次 外貨準備高 6/24時点 グロス (6/17時点 594.5億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 6/24時点 ネット (6/17時点 73.8億ドル)
7月1日
 16:00 6月 イスタンブール製造業PMI (5月 49.2)
7月4日
 16:00 6月 消費者物価上昇率 前月比 (5月 2.98%)
 16:00 6月 消費者物価上昇率 前年同月比 (5月 73.5%)
 16:00 6月 生産者物価上昇率 前月比 (5月 8.76%)
 16:00 6月 生産者物価上昇率 前年同月比 (5月 132.16%)


注:ポイント要約は編集部

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