トルコリラ円見通し 7月8日からの戻り一巡で失速、対ドルでは7日ぶりの下落(21/7/20)

トルコリラ円の7月19日は12.93円から12.67円の取引レンジ。

トルコリラ円見通し 7月8日からの戻り一巡で失速、対ドルでは7日ぶりの下落(21/7/20)

7月8日からの戻り一巡で失速、対ドルでは7日ぶりの下落

〇トルコリラ円、対ドルでのドル安とドル円の急落が重なり深夜に12.67まで急落
〇トルコ7月消費者信頼感指数は79.5と6月から悪化、市場予想は改善を期待するも外れる結果に
〇世界的株安連鎖の中イスタンブール100株価指数も16日の前日比0.29%から19日は0.86%と続落
〇7/20-23、犠牲祭によりトルコ市場連休、この間トルコ自身の材料消えるも主要通貨の動き要注意
〇12.85を超えないうちは一段安余地あり、12.67割れから12.60前後、12.55前後への下落を想定
〇12.80から12.85にかけて戻り売りにつかまりやすく、12.86乗せから12.90を目指す上昇とみる

【概況】

トルコリラ円の7月19日は12.93円から12.67円の取引レンジ。
7月8日安値12.55円から持ち直しに入り7月16日夕刻に12.97円まで高値を切り上げきたが、16日夜には株安円高により上値が重くなり12.89円で終了、16日の日足は陽線引けながら長い上ヒゲを付けた。
週明けの19日は日中から株安が進行、夕刻からは欧州株が全面安、米国主要株価指数先物が大幅下落となり、為替市場ではリスク回避的にドルストレートでドル高が進行、クロス円全般で円高、ドル円は109.05円まで一段安となり、トルコリラ円は対ドルでのリラ安とドル円の急落が重なる形で19日深夜には12.67円まで急落、その後はやや下げ渋っているものの日足は陰線引けとなり、7月8日からの戻りが一巡した印象となっている。
ドル円は7月8日安値を割り込んで7月2日高値からの下落が二段目に入ってきたことで、4月23日安値からの上昇一巡による大きな調整期に入ってきた印象が強まっているが、リスク回避的に株安債券高・米長期債利回り低下が続くとドル円も続落しやすくなり、トルコリラ円への圧迫感も強まると懸念される。

【リスク回避的な世界株安、新興国通貨への圧迫感】

ドル/トルコリラの7月19日は8.60リラから8.47リラの取引レンジ。
6月25日に8.799リラまで史上最安値を更新してからは当面のリラ売り一巡としてリラ買い戻しの動きに入り、日足は7月9日から16日まで6日連続の陽線で上昇してきたが、16日夕刻に8.46リラの高値を付けた後は株安ドル高を嫌って上げ渋り、19日はアジア欧米株の全面安とリスク回避的なドルストレートでのドル高が進行したことでドル買いリラ売りの動きへと風向きが変わり、日足は7日ぶりに陰線で引けた。

7月19日は世界連鎖株安の様相となり、NYダウは一時900ドルを超える下落となり前日比725.81ドル安の大幅下落で終了した。欧州株も全面安で英FT100が前週末比2.3%安、独DAXが2.6%安、仏CACが2.5%安となった。変異株による感染拡大が深刻化していることで昨年のパンデミック初期の急激な景気悪化からの回復も一巡となる懸念が強まり始めたことがNYダウ等の急落を招いているが、株安基調が深刻化するようだと金融市場全般がリスク回避的な動きへ向かい、投機通貨への手仕舞い売りを加速させ、新興国への投資心理も冷えて新興国通貨及び新興国株への手仕舞い売り圧力も拡大しかねないところだ。
ユーロドルは5月25日以降の最安値を更新、ポンドドルも6月1日以降の最安値を更新、豪ドル米ドルも2月25日高値以降の最安値を更新している。メジャー通貨の加重平均であるドル指数は5月25日以降の最高値を更新してドル高が進行している。

トルコのイスタンブール100株価指数も16日の前日比0.29%安から19日は0.86%安と続落した。アーバル前トルコ中銀総裁が突然解任された直後の3月22日に暴落的な下げとなったところから6月14日まで戻していたが、その後は世界的な株高基調に便乗できずに下落基調での推移が続いている。7月13日から小反発していたものの戻り一巡から下げ再開の様相となっており、7月13日安値を割り込むようだと下げ足が速まり、株安がリラ売りへ波及する可能性もあるところと注意したい。

7月19日夕刻に発表されたトルコの7月消費者信頼感指数は79.5となり6月の81.7から悪化、市場予想は83.4への改善を期待していたが期待外れとなった。
7月20日から23日まで、犠牲祭(イード・アル=アドハー)によりトルコ市場は連休となる。トルコ自身の材料には事欠くものの全般的なドル高やクロス円の下落感が強まる場合は全般動向により大きく動く可能性もあると注意する。

【6月2日以降の下値支持線を試す】

6月1日のエルドアン大統領による利下げ言及報道から6月2日に12.44円まで急落した後は、6月21日安値12.48円、7月8日安値12.55円と安値ラインを若干切り上げてきた。戻り高値は6月11日高値13.21円から7月1日高値12.90円へ切り下がっていたところから7月16日には12.97円まで上昇して7月1日高値を超えたのだが、7月19日の反落により戻りを一巡させて安値切り上がりラインを試す動きへと進みやすくなったと思われる。
既にドル/トルコリラは6月25日へ史上最安値を更新しているが、トルコリラ円は昨年11月6日の史上最安値12.03円を割り込まずにいる。年初からの円安を反映しているためだが、ドル円も下げ足が速まり始めていること、ドル高と円高が並走する動きも見られ始めていることから、6月2日以降の安値切り上げラインを割り込む場合は史上最安値試しへ向かいやすくなってくると注意したい。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、7月8日夕安値を起点として反騰期に入ってきたが、14日早朝高値をサイクルトップとしていったん調整期に入った。この調整期は上げ渋り程度にとどまって16日夕刻へ一段高となったのだが、19日午後から夜にかけての急落により新たな弱気サイクルに入ったと思われる。ボトム形成期は14日夜安値を基準として19日夜から21日夜にかけての間と想定されるので既に反騰注意期にあるため、12.85円を超える反騰へ進めないうちは一段安余地ありとし、12.85円超えからは強気サイクル入りとして21日夕から23日夕にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では、19日夜への下落で遅行スパンが悪化、先行スパンからも転落しているので遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。先行スパンを上抜き返せないうちは一時的に遅行スパンが好転してもその後に悪化するところからは下げ再開とするが、先行スパンを上抜き返すところからはさらに上昇を継続しやすいとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。
60分足の相対力指数は19日夕刻に30ポイントまで低下してその後も50ポイントを割り込んでの推移が続いているので、50ポイント以下での推移が続くうちは一段安警戒とし、50ポイント台を回復して維持し始める場合はさらに戻り高値を切り上げる可能性ありとみて60ポイント台への上昇を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7月19日夜安値12.67円を下値支持線、12.85円を上値抵抗線とする。
(2)12.85円を超えないうちは一段安余地ありとし、12.67円割れからは12.60円前後、下げ足が速まる場合は12.55円前後への下落を想定する。12.55円以下は反騰注意とするが、12.80円以下での推移なら21日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)12.80円から12.85円にかけては戻り売りにつかまりやすいとみるが、12.86円乗せからは12.90円を目指す上昇へ向かうとみる。12.90円以上はいったん売られやすいとみるが、12.85円を超えた後も12.80円以上での推移なら21日も高値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

7月20日から7月23日まで、犠牲祭(イード・アル=アドハー)による休日

7月26日
 16:00 7月 製造業景況指数 (6月 113)
 16:00 7月 設備稼働率 (6月 76.6%)
 23:30 6月 中央政府債務残高 (5月 200.1億リラ)
7月28日
 20:00 トルコ中銀金融政策決定会合議事要旨
7月29日
 16:00 7月 経済信頼感指数 (6月 97.8)
 20:30 外貨準備高 (7/9時点 625.8億ドル)


※ポイント要約は編集部

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