トルコリラ円見通し 前日の高安レンジ内に収まり様子見の動き(21/7/21)

トルコリラ円の7月20日は12.88円から12.70円の取引レンジ。

トルコリラ円見通し 前日の高安レンジ内に収まり様子見の動き(21/7/21)

前日の高安レンジ内に収まり様子見の動き

〇トルコリラ円、20日は12.88から12.70の取引レンジ
〇NYダウが反騰しドル円が続伸、トルコリラ円も押し上げられたが16日夕高値には届かず
〇トルコ中銀、7/1に国内金融機関に対する外貨預金の準備率を引き上げ19日から適用を開始
〇一方で金融機関としての準備率における外貨保有率は引き下げへ、外貨売りリラ買い圧力となるか
〇12.75以上で推移中は上向きとし12.88超えから12.97試しを想定
〇12.75割れから下向きとし12.67円試し、底割れから12.60台序盤を目指す下落を想定

【概況】

トルコリラ円の7月20日は12.88円から12.70円の取引レンジ。
7月8日安値12.55円から持ち直しに入り7月16日夕刻に12.97円まで高値を切り上げきたが、16日夜には株安円高により上値が重くなり、19日は欧米株の全面安で為替市場もリスク回避的にドルストレートでドル高が進行する一方でクロス円全般が円高となってドル円が109.05円まで一段安したためにトルコリラ円は対ドルでのリラ安とドル円の急落が重なって19日深夜には12.67円まで急落した。
7月20日は午前にかけてダウ先物が反騰したことで為替市場のリスク回避感がひとまず落ち着いてドル円が買い戻され、NYダウが19日の前日比725.81ドル安を打ち消すように前日比549.95ドルの反騰となったことでドル円は110円に迫るところまで続伸したためにトルコリラ円も押し上げられた。しかし16日夕刻高値には届かず、日足は上ヒゲをつけた陽線で19日の陰線レンジにとどまった。
7月21日午前序盤は12.80円近辺での小動きとなっている。

【対ドルではリラ高一服で前日から横ばい】

ドル/トルコリラの7月20日は8.60リラから8.49リラの取引レンジ。
6月25日に8.799リラまで史上最安値を更新したところから反騰に転じて7月9日から16日まで6日連続の日足陽線で上昇してきたが、16日夕刻高値8.46リラで戻り一巡となり、19日は欧米株安とリスク回避的なドルストレートでのドル高によりトルコリラも売られて8.60リラまで反落、日足は7日ぶりに陰線引けとなった。

20日はNYダウの反騰により金融市場全般のリスク回避感が落ち着いたものの、株高債券安により米長期債利回りが上昇、変異株による感染拡大への不安感も残ったことでドルストレートでのドル高基調は継続、ドル指数が5月25日以降の高値を更新してユーロやポンド、豪ドル等が下げたことでトルコリラも上値が重くなり、19日の高安レンジ内に収まった動きにとどまったものの8.49リラ近辺へ戻したところでは売られている。
7月19日から大幅続落しなかったことで現状は6月25日からの上昇一服による調整的な動きの範囲にあるが、全般的なドル高感が強まる状況の中でドル/トルコリラも再び安値試しへ向かいやすい環境になってきているのではないかと警戒される。

【外貨準備高の上昇続くか?】

【外貨準備高の上昇続くか?】

トルコの外貨準備高(スワップ等を含むグロス)は4月末に469億ドルだったところから7月9日時点には625.8億ドルまで増加している。昨年11月6日に史上最安値へとリラ安が進んだ局面ではドル売り・リラ買い介入により8月と9月には400億ドルを割り込んでいたが、史上最安値からの持ち直しにより持ち直してきた。
アーバル前総裁の解任騒動で対ドルでの最安値更新へ進み始める中で540億ドル台へ回復していたところから500億ドル割れまで再び減少していたが、今年6月には中国と36億ドル相当の新通貨スワップ協定に調印してスワップの上限を60億ドルに引き上げ、その後も複数の国とのスワップ協調を協議するなどの努力で持ち直している。スワップ主体の外貨準備高の増加ではリラ防衛への実力も借り物となるが、国内の物価上昇が続く中で利上げをせずにリラ暴落を回避してゆくためにスワップ等による手当を拡大して見掛けの外貨準備高を増加させることは相場への下支えにはなるだろう。

トルコ中銀は7月1日に国内金融機関に対する外貨預金の必要準備率を引き上げて7月19日から適用を開始した。リラ安により国内投資家がドルやユーロ等のハードカレンシーへリスク回避的にシフトしていることがリラ売り要因となっていることに対して準備率を引き上げることで金融機関に外貨預金へのシフトを抑制させる狙いだが、外貨預金に対する金融機関としての預金準備率は1年以内で19%から21%へ、1年を超えるものについては13%から15%へ引き上げられた。また金融機関としての預金準備率における外貨保有率は現行の20%から9月17日までの限定で10%へ引き下げられるため、金融機関取引経由でのリラ売り圧力はやや後退しやすい環境といえる。
ただし、あくまでもトルコの金融政策スタンスへの市場の不信感がこれまでのリラ安の根底にあるため、当面は利下げはないとしてのリラ買いもいつまで続くのかは疑問符も付くところだ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、7月16日夕高値へ一段高したところから反落したが、19日深夜安値12.67円でサイクルボトムを付けて反騰入りしていると思われる。高値形成期は21日午後から23日夕にかけての間と想定されるが、戻りは短命の可能性もあるので12.75円割れからは下げ再開注意とし、19日深夜安値割れからは新たな弱気サイクル入りとして22日夜から26日深夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では、12.80円を挟んだ騰落を繰り返しているために方向感に欠けるが、20日夜の上昇で遅行スパンが好転、先行スパンもいったん上抜いているので遅行スパン好転中は高値試し優先とし、両スパン揃って悪化するところからは下げ再開を警戒して遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は20日夜の上昇で60ポイント台へ乗せてからも50ポイント以上を維持しているのでまだ上昇余地ありとみるが、50ポイント割れを弱気転換注意とし、40ポイント割れからは20ポイント台を目指す下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7月19日深夜安値12.67円を下値支持線、20日深夜高値12.88円を上値抵抗線とする。
(2)12.75円以上での推移中は上向きとし、20日深夜高値超えからは16日夕高値12.97円試しを想定する。12.93円以上は反落注意とするが、12.80円以上での推移なら22日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)12.75円割れからは下向きとして7月19日深夜安値12.67円試しとし、底割れからは12.60円台序盤(12.63円から12.60円)を目指す下落を想定する。12.63円以下は反騰注意とするが、12.75円以下での推移なら22日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

7月20日から7月23日まで、犠牲祭(イード・アル=アドハー)による休日

7月26日
 16:00 7月 製造業景況指数 (6月 113)
 16:00 7月 設備稼働率 (6月 76.6%)
 23:30 6月 中央政府債務残高 (5月 200.1億リラ)
7月28日
 20:00 トルコ中銀金融政策決定会合議事要旨
7月29日
 16:00 7月 経済信頼感指数 (6月 97.8)
 20:30 外貨準備高 (7/9時点 625.8億ドル)


※ポイント要約は編集部

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