ドル円、一時142円台へ突入するなど冴えない動き。本日は米8月雇用統計に注目
○ドル円、米国時間朝方142.86まで下落、売り一巡後144円台まで反発するも勢い続かず
○日経平均株価の不冴え、日銀の追加利上げ観測などが重石
○ユーロドル、アジア時間午後の1.1075から米国時間朝方1.1120まで反発、その後も乱高下
○ドル円、「一目均衡表三役逆転」の成立など、テクニカル的に地合いは極めて弱いと判断
○ファンダメンタルズ、米FRBの大幅利下げ観測が再燃、米ドル売りの流れが再開しつつある状況
○ドル円相場の短期的な下落をメインシナリオとして予想
○本日の予想レンジ:141.00ー145.00
海外時間のレビュー
5日(木)のドル円相場は乱高下。(1)日経平均株価の冴えない動き(リスク回避の円買い圧力)や、(2)毎月勤労統計調査における本邦実質賃金(結果+0.4%、前回+1.1%)の2ヵ月連続のプラス圏維持、(3)共通事業所ベースの所定内給与(結果+2.9%)の伸び率加速(公表開始された2016年以降での最高水準)、(4)上記2、3を背景とした日銀による追加利上げ観測、(5)米8月ADP雇用統計(結果+9.9万人、予想+14.5万人、前回+12.2万人)の市場予想を下回る結果、(6)米金利低下に伴うドル売り圧力が重石となり、米国時間朝方にかけて、安値142.86まで下落しました。
しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(7)米8月総合PMI(結果54.6、予想54.0)の市場予想を上回る結果や、(8)米8月ISM非製造業景況指数(結果51.5、予想51.1)の市場予想を上回る結果、(9)米長期金利の低下幅縮小が支えとなり、日本時間23時過ぎに、高値144.24まで反発しました。もっとも、買い一巡後に伸び悩むと、(10)米8月雇用統計を控えたポジション調整や、(11)米主要株価指数の冴えない動き、(12)米金利低下に伴うドル売り圧力が重石となり、本稿執筆時点(日本時間9/6午前6時10分現在)では、143.45前後まで値を崩す動きとなっております。尚、昨日は高田日銀審議委員より、「企業の前向きな行動が確認されれば金融緩和の修正が必要」との発言が見られましたが、市場の反応は限られました。
5日(木)のユーロドル相場は乱高下。アジア時間午後にかけて、安値1.1075まで軟化するも、一巡後に下げ渋ると、(1)ドイツ7月製造業受注(結果+3.7%、予想▲1.9%)の力強い結果や、(2)欧州株の堅調推移、(3)米8月ADP雇用統計の冴えない結果、(4)米金利低下に伴うドル売り圧力が支えとなり、米国時間朝方にかけて、高値1.1120まで反発しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(4)米8月総合PMIの市場予想を上回る結果や、(5)米8月ISM非製造業景況指数の市場予想を上回る結果、(6)米長期金利の低下幅縮小が重石となり、日本時間23時過ぎに、一時1.1076まで反落しました。もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、引けにかけて再び持ち直し、本稿執筆時点(日本時間9/6午前6時10分現在)では、1.1110前後で推移しております。尚、昨日発表されたユーロ圏7月小売売上高(結果▲0.1%、予想+0.2%)は市場予想を下回る結果となりましたが、市場の反応は限られました。
本日の見通し
ドル円は9/3に記録した高値147.21をトップに反落に転じると、昨日は一時142.86まで急落しました。日足ローソク足が主要テクニカルポイントを軒並み下抜けしていることや、強い売りシグナルを示唆する「一目均衡表三役逆転」が成立していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは極めて弱いと判断できます。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、9/4に発表された米7月JOLT雇用動態調査や、昨日発表された米8月ADP雇用統計、米8月ISM非製造業景況指数の内訳の雇用指数が冴えない結果となったことで、米FRBによる大幅利下げ観測が再燃するなど、米金利低下→米ドル売りの流れが再開しつつあります。前回7月の米FOMC声明文や、8月のジャクソンホール会議でのパウエルFRB議長講演を見る限り、米FRBのスタンスが「物価抑制」から「雇用の悪化阻止」に移っていることは明確であるため、本日21:30に発表される米8月雇用統計が冴えない結果となれば、9月FOMCでの50bp利下げ(現状41%程度織り込まれている50bp利下げ観測が50%を超えてくる恐れあり)が現実味を帯びてくるため、米金利低下→米ドル売りの流れに拍車がかかり、8/5に記録した安値141.69を試す展開も視野に入ります。以上を踏まえ、当方ではドル円相場の短期的な下落をメインシナリオとして予想いたします。
本日の予想レンジ:141.00ー145.00
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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