34年ぶりの高値からの調整局面、いったんは103円水準を意識か
【今週の豪ドル】
今週は、日本当局による円買いドル売り介入の余波や、トランプ前大統領による「円安ドル高批判」などが影響し、豪ドルも34年ぶりの高値109円30銭台から利益確定の流れが強まる展開となった。
18日、豪連邦統計局が発表した6月雇用統計は、就業者数が予想より大幅に増加したが、求職者が増えた影響で失業率が上昇するなど強弱まちまち。追加利上げの必要性を強く後押しする内容とはならなかった。
就業者数は前月比5万200人増加と、市場予想の2万人増を大きく上回った。一方、失業率は4.1%と、前月の4.0%から上昇。労働参加率は66.9%と過去最高水準近くまで上昇した。雇用統計発表後、市場はオーストラリア準備銀行(豪中銀、RBA)が8月に利上げするとの見方にやや傾いたが、豪ドル買いを強めるインパクトには欠ける結果となった。
市場では、11日、12日に実施したとみられる日本当局の円買いドル売り介入の後に、暗殺未遂事件以降、発言力が増したトランプ前大統領が「円安ドル高批判」を行ったことで、円安ドル高が転換を迎えた。ドル下落と主要通貨に対する円全面高が同時に進んだことから、豪ドルは売り優勢の地合いとなった。
豪ドル・円(東京時間:7月15日―7月19日(終値は9時台終値を参照))
※Investing.comの日足を参照
始値: 107円07銭
高値: 107円28銭
安値: 104円52銭
終値: 105円33銭
【今週と来週の重要指標】
※時間は東京時間
7月17日
9時30分、6月Westpac先行指標(前月比)、前回:0.00%、結果:0.00%
7月18日
10時30分、6月雇用者数、前回:3.95万人、市場予想:1.80万人、結果:5.02万人
10時30分、6月失業率、前回:4.0%、市場予想:4.1%、結果:4.1%
7月26日
10時30分、6月小売売上高
※予定は変更することがございます。
【今週末から来週の見通し】
今週末から来週の豪ドルは、短期的な反発が入りそうな状況だが、一時的な反発に留まり引き続き下値模索の展開を想定する。利上げを検討するRBAと、利下げ実施に動いた欧州中央銀行(ECB)、利下げに動く米連邦準備制度理事会(FRB)と明確な金融政策の違いはあるものの、トランプ前大統領の発言をトリガーとした円安ドル高の転換の意味は大きいと考える。
基本的に為替は長期金利差、もしくは短期金利差によって「強弱」が発生するが、度々「投機筋」の存在が強まるタイミングがある。神田財務官が発していた「今の円安は投機によるもの・・・」がこれを指す。この投機筋のポジションを示すシカゴ通貨先物のポジションは差し引き18.2万枚の円売り(7月9日時点)となっている。日本当局の円買い介入観測などを考慮すると大幅にこのポジションは減少しているはずだ。トランプ前大統領の発言によって、このポジションは減少傾向を強めると想定する。主要通貨に対する円全面安の地合いは終了した可能性がある。
月足チャートでは、20年3月安値59円87銭をボトムとした上昇のなか、14年高値102円89銭を上回っており、1991年以来の109円台まで上昇した。日足の一目均衡表では、転換線が下向きに転じており、基準線も下回った。50日移動平均線でいったん下げ止まっているが、雲上限や75日移動平均線が位置する103円台を意識した調整も十分ありえよう。短期的な反発を期待したいところだが、もう一段安にも警戒といったところだ。
豪ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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