91年以来の109円台から2円強の円高に、追加利上げ観測が下支えに
【今週の豪ドル】
今週は、強い豪ドル高と円全面安の流れのなか、1991年以来の高値である109円台まで豪ドルは上昇したが、11日の6月米消費者物価指数(CPI)が前月比で−0.1%、前年比で+3.0%といずれも市場予想を大幅に下振れ、伸びが鈍化したことで米ドルは下落。円も全面高の地合いとなったことから、豪ドルは2円超急落した。
オーストラリアは先進国の中では唯一利上げを行う可能性があったことから、主要通貨に対しては総じて強い動きとなった。豪ドルはじりじりと上げ幅を広げ、1991年5月以来の109円台まで上昇した。
一方、11日に発表された6月米CPIが前月比、前年比で市場予想を下回る結果に。コアも下回るなどディスインフレを強く意識される内容となったことから、米10年債利回りは一時4.16%まで低下。米ドルは161円台半ばから157円44銭台と一気に4円円高ドル安が加速し、豪ドルも2円強円高豪ドル安が進み、106円99銭と瞬間的に107円台を割り込むまで豪ドルは下落した。
豪ドル・円(東京時間:7月8日―7月12日(終値は9時台終値を参照))
※Investing.comの日足を参照
始値: 108円50銭
高値: 109円38銭
安値: 106円99銭
終値: 107円53銭
【今週と来週の重要指標】
※時間は東京時間
7月9日
9時30分、7月消費者信頼感指数(前月比)、前回:1.7%、結果:−1.1%
7月17日
9時30分、6月Westpac先行指標(前月比)
7月18日
10時30分、6月雇用者数、前回:3.97万人
10時30分、6月失業率、前回:4.0%
※予定は変更することがございます。
【今週末から来週の見通し】
今週末から来週の豪ドルは、再度、円安豪ドル高を試す展開が強まると考える。豪経済のインフレ傾向は変わらないことから、6月米CPIをきっかけとした円高豪ドル安は瞬間的なものに留まると想定する。
市場では、6月米CPIをきっかけとした円全面高は、日本政府当局による円買い介入実施によるもの、との見方がある。ドル・インデックスが104.7から104付近まで急落したことで、単純に米ドルが売られた部分はあるが、それ以上に円が主要通貨に対して全面高に振れたことから、円買い介入が実施された可能性は十分高い。もっとも、仮に円買い介入実施であれば、「効果は一時的」といった見方が根強いことから豪ドルの買い場とも言えよう。
豪経済のインフレ傾向は変わらず8月6日の豪準備銀行(豪中銀、RBA)理事会での追加利上げ観測が豪ドルを下支えすると考える。仮に8月ではなく11月利上げという流れになったとしても、主要先進国では唯一追加利上げの可能性が高まっていることから豪ドルが主要通貨に対して強い状況は続くだろう。15日の中国経済指標(6月新築住宅販売価格、第2四半期実質GDP、6月鉱工業生産指数、小売売上高)を横目に見た展開だが、豪ドル持ち直しの地合いを想定したい。
月足チャートでは、20年3月安値59円87銭をボトムとした上昇のなか、14年高値102円89銭を上回っており、1991年以来の109円台まで上昇した。週足ベースでは6月上旬以来の陰線となりそうな状況だが、豪ドル安は一時的と想定し、底堅い値動きを期待したい。
豪ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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