円全面安と豪ドル上昇を材料に、100円台乗せも視野に
【今週のNZドル】
今週のNZドルは、引き続き経済的なつながりの強いオーストラリアの根強いインフレ見通しに伴う追加利上げ観測を材料に豪ドルが上昇したことが、けん引役となった。
オーストラリアでは、6月消費者物価指数に続き小売売上高も前月比で高い伸びが確認されたことから、次回8月6日の金融理事会での追加利上げの可能性がより高まる展開に。豪ドルは主要通貨に対して買われたことで、対円では1991年以来の水準まで買われた。
NZドルは、目立った経済指標の発表がなく手掛かり材料に欠ける地合いだったが、豪ドルの強い動きに引っ張られたほか、円が主要通貨に対して全面安となったことなどから史上最高値を更新。98円80銭まで買われる場面が見られた。
NZドル・円(東京時間:7月1日―7月5日(終値は9時台終値を参照))
※Investing.comの日足を参照
始値:97円92銭
高値:98円80銭
安値:97円68銭
終値:98円53銭
【今週と来週の重要指標】
※時間は東京時間
7月2日
7時45分、5月住宅建設許可、前回:−1.9%、結果:−1.7%
7月10日
11時00分、NZ中銀政策金利、前回:5.50%、市場予想:5.50%
※予定は変更することがございます。
【今週末から来週の見通し】
今週末から来週のNZドルは、10日に行われるニュージーランド準備銀行(RBNZ)による政策金利発表に関心が向かう。市場コンセンサスは据え置きの5.50%だが、RBNZ声明やオアNZ中銀総裁の「タカ派」姿勢が維持されるかが注目されよう。
5月に表明した「インフレとインフレ期待を抑制するには経済成長の鈍化が必要だ」「インフレ抑制に取り組む中、来年もしばらくは利下げする可能性は低い」というタカ派姿勢が維持されるとの見通しだが、ニュージーランド経済はテクニカルリセッション(2023年第3四半期、第4四半期、2期連続でGDPマイナス成長)から脱出したばかりのため、オーストラリア準備銀行(RBA)ほどのタカ派とはならないと考える。史上最高値を更新しているが、相対的には豪ドルの方が強い地合いは続くだろう。
ただ、テクニカル面は引き続き強い。日足の一目均衡表では、下値を切り上げ、高値を連日で更新していることから短期的なトレンドは非常に強い。サブプライムショック前につけた2007年7月の史上最高値97円88銭も更新したことから需給面は良好だ。対円では心理的な節目である100円も意識した地合いとなりそうだ。
一方、米ドルが161円台に乗せていることから、日本当局による円買い米ドル売り介入実施には警戒したい。4−5月の日本当局による介入時には、4月29日高値の95円36銭から5月1日の安値90円93銭と4円40銭ほどNZドルは急落した。仮に日本当局による為替介入が入った際は、同様の急落が起きると想定する。ただ、為替介入は大きな円安の流れを是正する効果は弱いことから、急落局面は積極的にNZドルを拾っていきたいところだ。
NZドル円日足
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