ドル円の反落で3連騰ならずに失速
〇トルコリラ円、ドル円上昇時に7.40まで戻り高値切り上げるも、ドル円が下落した局面で7.31へ失速
〇12月2日夕刻安値から戻しに入り5日と6日を連騰としたもののドル円の失速により3連騰へ進めず
〇ドル/トルコリラは18.64を挟んで史上最安値近辺での膠着状態続く
〇7.35を下回るうちは一段安警戒とし、7.30割れからは7.25前後への下落を想定
〇7.35前後は戻り売りにつかまりやすいが、7.35超えから続伸の場合は7.40試しへ向かうとみる
【概況】
トルコリラ円の12月7日は7.40円から7.31円の取引レンジ、8日早朝の終値は7.33円で前日終値の7.35円からは0.02円の円高リラ安だった。
ドル/トルコリラは18.64リラを挟んで史上最安値近辺での膠着状態を続けており、トルコリラ円はドル円の騰落に合わせた動きだが、ドル円が12月7日夕刻への上昇で138円に迫ったところから8日未明に136円台序盤へ失速したため、トルコリラ円もドル円の上昇時に7.40円まで戻り高値を切り上げたものの夜から未明へドル円が下落した局面で7.31円へ失速した。
12月7日は米四半期労働生産性統計の確報値で短期労働コストが下方修正されたこと等をきっかけに米長期債利回りが大幅低下したためにドル円が下落した。トルコリラ円は12月2日夕刻安値から戻しに入り、12月5日と6日を連騰としたもののドル円の失速により3連騰へ進めなかった。
【ドル/トルコリラは18.63リラを中心値とした最安値近辺での持ち合い】
ドル/トルコリラの12月7日は18.65リラから18.61リラの取引レンジ、8日早朝の終値は18.64リラで前日終値の18.62リラからは0.02リラのドル高リラ安だった。
1ドル18.50リラ前後で売られて18.60リラ台後半の安値を繰り返し試しつつも狭いレンジでの膠着状態が続いているが、12月に入ってからは18.63リラを中心値としており、11月の18.61リラを中心とした動きからわずかながらリラ安が進んでいる印象もある。
12月1日未明のパウエル米FRB議長講演をきっかけとしたドル安が12月5日までに一巡してドル高がぶり返していたが、12月7日はそのドル高も落ち着いて深夜にかけてユーロやポンド、豪ドルなどが上昇した。金融市場全般としては米長期債利回りの大幅低下が続いていることはドル安要因だが、米FRBによる利上げペースの減速期待はあるものの利上げそのものは継続して利上げ期間の長期化と政策金利の想定ピークが上方修正される見込みであることがドル高再開への警戒感も解消されずにいる。
ドル/トルコリラはトルコ中銀によるリラ安防衛の動きや輸出企業の保有外貨規制により変動が抑え込まれている状況だが、7-9月期及び10-12月期のトルコ成長率の鈍化見通しと、高インフレに見合わないリラ安水準に押し込まれている状況のためにきっかけ次第ではリラ安がいつ加速しても不思議ない状況が続いている。
【ドル円の大幅下落が落ち着いたかどうかを見定めたいところ】
今年7月以降はドル円の騰落とトルコリラ円の騰落は概ね同調している。
ドル円は10月21日高値で151.94円を付けて2021年1月底102.57円以降の最高値としたところから三段下げ型の下落で12月2日安値133.60円まで大幅下落した。12月7日高値まで4.25円幅の戻りを入れたものの失速しているところだが、11月15日夜に137.67円まで下げたところから11月22日高値142.25円まで4.58円の戻りを入れてから一段安している経緯もあり、今回も同様の戻りを一巡させて一段安へと進む可能性も警戒される。2021年以降では最大の下落規模であり、米長期債利回りも10月後半から11月序盤までにピークアウトして低下に転じているためにさらに安値試しを続けてゆく可能性も抱えていると思われる。
トルコリラ円もドル円と同調して10月21日高値8.17円までの上昇を一巡させて下落に転じてきたが、既に8月2日安値7.27円も割り込んでおり、若干のリバウンドを入れながらももう一段安へ進みかねない状況にあると思われる。ドル円次第であり、米長期債利回り動向次第でもあるが、12月8日の米11月PPI、12月13日の米CPI、12月13-14日開催の米FOMCを通過してドル高がぶり返さないことにはインフレ率の鈍化と先行きの利上げペース減速感によりドル円が一段安へと進みトルコリラ円も史上最安値へ徐々に迫ってゆく展開となりかねない局面と注意したい。反騰入りのためにはドル円が139円台を回復する上昇へ進みそれに合わせてトルコリラ円が7.60円台を回復するところまで戻す展開が欲しいところだ。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、12月2日夕刻に一段安してから深夜にかけて一時急伸し、その後の反落でも底割れを回避したために12月5日午前時点では11月29日夜安値から3日目となる12月2日夕安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして12月5日夜から7日深夜にかけての間への上昇を想定してきた。
12月7日夕刻へ高値を切り上げてから0.10円近い反落となったため、7日夕高値を直近のサイクルトップとして弱気サイクル入りしたと思われる。ボトム形成期は12月2日夕安値を基準として7日夕から9日夕にかけての間と想定されるのですでに反騰注意期にあるため、7.35円以下での推移中は一段安余地ありとし、7.35円超えから続伸に入る場合は強気サイクル入りの可能性ありとみて7日夕高値試しへ向かうとみる。
60分足の一目均衡表では12月7日夜の急落で遅行スパンが悪化、先行スパンへ潜り込んでいるため遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、先行スパンから転落する場合は下げ足が速まると注意する。ただし先行スパンを上抜き返すところからは上昇再開の可能性ありとし、遅行スパン好転からは上昇再開とみて高値試し優先とする。
60分足の相対力指数は12月6日午後高値から7日夕高値への一段高に際して指数のピークが切り下がる弱気逆行を見せて40ポイント割れまで急落した。その後も50ポイント以下での推移のためまだ20ポイント台への低下へ進む可能性があるとみるが、55ポイント超えからは上昇再開の可能性ありとみて60ポイント台前半への上昇を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.30円を下値支持線、7.35円を上値抵抗線とする。
(2)7.35円を下回るうちは一段安警戒とし、7.30円割れからは7.25円前後への下落を想定する。7.25円以下は反騰注意とするが、7.35円を下回っての推移か、直前安値から0.07円を超える反騰へ進めないうちは9日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)7.35円前後は戻り売りにつかまりやすいとみるが、7.35円超えから続伸の場合は7.40円試しへ向かうとみる。また7.35円を上回っての推移なら9日も高値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
12月8日
20:30 週次 外貨準備高 12/2時点 グロス (11/25時点 797.7億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 12/2時点 ネット (11/25時点 195.1億ドル)
12月12日
16:00 10月 失業率 (9月 10.1%)
16:00 10月 経常収支 (9月 -29.7億ドル、予想 -16.16億ドル)
12月13日
16:00 10月 鉱工業生産 前月比 (9月 -1.6%)
16:00 10月 鉱工業生産 前年同月比 (9月 0.4%、予想 0.08%)
16:00 10月 小売売上高 前月比 (9月 1.8%)
16:00 10月 小売売上高 前年同月比 (9月 9.7%)
注:ポイント要約は編集部
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