『約3年10カ月ぶり高値圏へ上伸するも、反落リスクに引き続き警戒』
〇今週の南アフリカランド円、週明け8.46まで下落後、商品価格上昇と円安に週央に8.73へ急伸
〇その後は南ア指標不冴え、中銀の悲観的経済見通し等に8.64まで反落
〇南ア円、テクニカルの地合い強いが、ファンダメンタルズは下落要因多い
〇引き続き南アランド円相場の反落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(ZARJPY):8.40ー8.80
今週のレビュー(4/11−4/15)
今週の南アフリカランド円(ZARJPY)相場は、週初8.50円で寄り付いた後、@南ア2月製造業生産(結果▲0.2%、予想+2.8%、※前年比)の冴えない結果や、A本邦政府当局者による円安牽制への警戒感が重石となり、週明け4/11に週間安値8.46円まで下落しました。しかし、一目均衡表転換線に続落を阻まれると、B南アフリカの主要産品であるプラチナやパラジウムの価格上昇(供給懸念拡大→プラチナおよびパラジウム価格上昇→南アフリカの交易条件改善期待)や、C対主要通貨での円売り圧力が支援材料となり、週央にかけて、週間高値8.73円(2018年6月以来の高値圏)まで急伸しました。もっとも、買い一巡後に伸び悩むと、D南ア2月小売売上高(結果▲0.9%、予想+1.6%、※前年比)の冴えない結果や、E南ア準備銀行(SARB)による悲観的な言及(インフレ昂進が国内経済の回復を脅かす。金融政策は緩和的なスタンスを継続する見通し)、F上記Eを背景とした追加利上げ観測の後退、G南アフリカ東部クワズールー・ナタール州で発生した大規模洪水の影響などが重石となり、本稿執筆時点(日本時間4/16午前5時00分現在)では8.64円前後まで反落する動きとなっております。
来週の見通し(4/18−4/22)
南アランド円相場は昨年11/26に記録した安値6.93円をボトムに反発に転じると、今週半ばにかけて、2018年6月以来、約3年10ヵ月ぶり高値となる8.73円まで急伸しました。この間、主要テクニカルポイントを軒並み上抜けした他、強い買いシグナルを示唆する一目均衡表三役好転や移動平均線の強気のパーフェクトオーダーが成立するなど、テクニカル的に見て、地合いは極めて強いと判断できます。但し、ファンダメンタルズ的に見ると、@南ア経済の先行き不透明感(今週発表された南ア経済指標は軒並み冴えない結果)や、A中国における新型コロナウイルスの感染拡大(上海市は都市封鎖→南アフリカと経済的な結びつきの強い中国の景気減速懸念再燃)、B米FRBによるタカ派傾斜観測(米長期金利急上昇→過剰流動性相場逆流懸念→新興国から米国への資金流出の恐れ)、C国営電力会社エスコムによる計画停電再開、
D南アフリカの政情不安(過去最大規模の失業率→ラマポーザ政権の求心力低下)、E南ア中銀の利上げ観測後退(南ア準備銀行は隔年の金融政策見直しで悲観的なスタンスを強調)など、南アランド円相場の下落を連想させる材料が増えつつあります。以上を踏まえ、当方では引き続き南アランド円相場の反落をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週はコモディティ価格の動向に加えて、南ア2月消費者物価指数に注目が集まります。コモディティ価格が反落に転じる場合や、南ア2月消費者物価指数が市場予想を下回る場合などには、南アランドに強い下落圧力が加わる恐れがあるため、来週はダウンサイドリスクに注意を要する時間帯が続きそうです(オシレータ系インジケータに高値警戒感が出ていることも、ロング勢のロスカット誘発に繋がる危険性あり)。
来週の予想レンジ(ZARJPY):8.40ー8.80
注:ポイント要約は編集部
南アランド円日足
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