NZ政策金利下げ実施(2.50%→2.25%へ)
3月10日の朝方、NZ中銀の金融政策の発表がありました。
今回の理事会で0.25%の利下げを実施し、政策金利は2.25%になりました。予想外の利下げにNZは、対米ドルでは0.6770〜80→0.6640〜50、対円では76円70銭〜80銭→75円10銭〜20銭、対豪ドルでは1.1050〜60→1.1240〜50となり、大幅なNZドル安で推移しています。
下図が利下げ後の新政策金利で、ここ5年間では無かった低水準の2.25%になっています。
NZ政策金利
中銀声明要旨
12月に行なった金融政策委員会以降、中国を含めた新興国の経済減速、欧州経済の鈍化により世界経済は悪化傾向を示している。多くの国の緩和基調や幾つかの国で追加緩和にも関わらず、資本市場のボラティリティは上昇し、信用スプレッドは拡大している。そして商品価格は低いままで推移している。
国内では、乳製品含めた日用品は厳しい局面にある。その中で強い移民流入、観光業、建設業、緩和基調の金融政策により経済が下支えられている。
貿易加重平均での為替レートは12月に想定していた時よりも4%以上高くなって推移していた。
オークランドの住宅価格インフレは最近適度になってきた。しかし、住宅価格はまだ高止まりしている。追加供給が必要になっているからだ。住宅市場圧力がその他地域にも及んでいる。
先行き見通しには多くのリスクが存在している。国際的には、世界経済成長の先行きに下方圧力が掛かっている。とりわけ中国にそれが見られる。国内的には乳製品含めた日用品部門の弱さ、インフレ期待の下落である。引き続き、移民のネット流入と住宅価格の上げ圧力は残っているが。
インフレ期待は依然低いままで、原油価格や輸入物価の下落が続いている。一時的な価格変動を除き、コア・インフレは少し高くなっており、1.6%で推移している。
長期的なインフレ期待値である2%以下にまだ留まっており、インフレ期待は低下している。期待値の低下は自爆的になり、将来のインフレ圧力を抑えてしまうことになるからだ。
インフレは2016年に向けて高まってくると期待しているが、まだ目標には程遠い。金融政策は緩和基調を続けていくことになるだろう。より一層の緩和は、将来の平均的インフレが目標値の中間位になることを確認するまで求められる。我々は新興国の経済データを注視していくことを継続する。
コメント
NZ中銀は期待インフレの低下が、今回利下げの主要因にしています。但し、要旨の内容からすると利下げ実施に足る理由があまり感じられず、為替がNZ高に推移し、乳製品価格の低迷が主因の様に感じられます。
また、1月の利下げ見送り時の要旨内に「…最近の資本市場への緩和状況により、NZドルと金利は軟化した。輸出価格の弱さをカバーする上で、NZドルの更なる下落が適切と思っている。」の文言がありましたが、この影響が大きいと思わざるを得ない感じです。
NZのファンダメンタルズは相対的に、他国比では優位の状況(あくまで不美人投票ですが)にあり、どうしても時間が経過すると、NZは買い戻されるのが否めない気がします。
今後もまだ中銀が緩和基調継続していくと言明しているので、NZ高への戻りは限定されますが、NZをショートしてもきっちりと買い戻しが必要と思われます。
豪ドル/NZドルはレンジ上限の1.1135を上抜き、1.1250の上値ポイントまで一気に上昇しました。当面は1.1340〜50と1.1410〜20の2つが上値抵抗線の目途になります。また今後は豪州の追加緩和も脳裏に入れて置かねばならない状況と思われます。
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