来週の為替相場見通し:『ドル高地合いが継続か。金融市場の不安定化に要注意』(9/26朝)

ドル円相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、下落リスクが警戒されます。

来週の為替相場見通し:『ドル高地合いが継続か。金融市場の不安定化に要注意』(9/26朝)

ドル高地合いが継続か。金融市場の不安定化に要注意

〇ドル円コロナウイルス感染拡大と大手金融機関のマネロン疑惑からの株価下落で今週一時104.00に急落
〇その後は良好な米指標、主要株価指数の持ち直しに105.71まで反発105.60前後で越週
〇ユーロドルリスク回避のドル買い米欧の景況感格差等で1.1613まで急落、1.1630近辺で越週
〇ドル円テクニカル、ファンダメンタルズともに下落リスクが警戒される
〇米指標、コロナ感染状況、月末需要等注視、ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(USDJPY):103.50ー106.50、(EURUSD):1.1500−1.1750

今週のレビュー(9/21−9/25)

<ドル円相場>
今週のドル円相場は、週初104.44で寄り付いた後、@FinCEN文書(米財務省金融犯罪取締ネットワーク)にて世界の大手金融機関が資金洗浄(マネーロンダリング)に利用されていた可能性があると報じられたことや、A新型コロナウイルスの感染者数再拡大懸念、B上記@Aを背景とした欧米株の急落(リスク回避の株安→クロス円売り→ドル円連れ安)、C本邦祝日中の隙を突いたフラッシュクラッシュへの警戒感が重石となり、9/21海外時間にかけて、約半年ぶり安値となる104.00まで急落しました。

しかし、心理的節目104.00で下げ渋ると、D短期筋のショートカバーや、E米主要経済指標(米9月リッチモンド連銀製造業指数や米8月中古住宅販売件数、米8月新築住宅販売件数など)の良好な結果、Fシカゴ連銀エバンス総裁による「インフレ平均2%目標達成前の利上げも可能」との発言、GパウエルFRB議長による「米国経済はコロナ禍が引き起こしたリセッションから著しい回復を示している」との発言、H資産現金化需要のドル買い圧力(ドル指数は約2ヵ月ぶり高値圏へ上昇)、I米主要株価指数の持ち直しが支援材料となり、週末にかけては、一時105.71まで上昇する場面も見られました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、結局105.60前後での越週となっております。

<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場は、週初1.1848で寄り付いた後、早々に週間高値1.1873まで上昇しました。しかし、一目均衡表基準線に続伸を阻まれ失速すると、@FinCEN騒動に端を発したリスク回避のドル買い・円買いや、AラガルドECB総裁による「私達はユーロの上昇に注意を払っている」とのユーロ高牽制発言、BECBによる根強い追加緩和観測、C欧州圏での新型コロナウイルス感染者数拡大(フランスやスペイン、ドイツなどで制限措置再導入の動き)、D英合意無き離脱リスクの高まり、E米主要経済指標の良好な結果、F対主要通貨で広がる資産現金化需要のドル買い圧力(ドル全面高)、Fドイツ9月IFO企業景況感指数の冴えない結果、G欧州株の軟調推移が重石となり、週末にかけて、約2ヵ月ぶり安値となる1.1613まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、結局1.1630近辺での越週となっております。

来週の見通し(9/28−10/2)

<ドル円相場>
ドル円は、8/28に記録した高値106.96をトップに反落に転じると、週明け9/21には一時104.00(約半年ぶり安値)まで急落しました。この間、一目均衡表基準線や転換線、ボリンジャーミッドバンドや一目均衡表雲下限を下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する三役逆転も成立するなど、テクニカル的にみて、「地合いの弱さ」を印象付けるチャート形状となっております(足元反発に転じるも、一目均衡表基準線やボリンジャーミッドバンドが走る105円台半ばで伸び悩む展開)。

ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策の方向性の違い(日本側はアベノミクス→スガノミクスへのスムーズな移行に際してある程度の不確実性が残る一方、米国側は2023年までのゼロ金利政策の継続を示唆)や、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感、B米中対立先鋭化リスク、C米政治の先行き不透明感(11/3に予定されている米大統領選への警戒感)、D朝鮮半島や中東、香港を巡る地政学的リスク、E新型コロナウイルスの感染再拡大リスク、F日本経済の先行き不透明感(本邦の景気先行き不透明感→デフレ懸念→円の実質金利上昇→円高)、G実体経済と株式相場の乖離(過剰流動性相場の巻き戻しリスク。財政の崖リスク)、H英合意無き離脱リスクの再燃など、ドル円相場の下落を想起させる不安材料が山積みの状態です。

以上の通り、ドル円相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、下落リスクが警戒されます。欧米株の動向や、米中対立及び英国情勢を巡るヘッドライン、米国の主要経済指標の結果(9月ADP雇用統計、第2四半期GDP、9月ISM製造業景気指数、9月雇用統計など)、新型コロナウイルスの感染者数拡大状況、月末需給(本邦四半期末公表相場やロンドンフィキシングなど)を睨みながらも、当方では引き続き、ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(週後半にかけて反発するも上値余地は限定的。来週は一巡後の再反落に要警戒)。

来週の予想レンジ(USDJPY):103.50ー106.50

注:ポイント要約は編集部

<ユーロドル相場>
ユーロドル相場は、9/1に記録した約2年4ヵ月ぶり高値1.2012をトップに反落に転じると、9/25には一時1.1613(7/24以来の安値圏)まで急落しました。この間、一目均衡表基準線や転換線、ボリンジャーミッドバンドや雲上限を下抜けするなど、テクニカル的に見て、「地合いの弱さ」を印象付けるチャート形状となっております。

ファンダメンタルズ的に見ても、@ユーロ圏経済及び物価の先行き不透明感(ドイツIFO企業景況感指数やユーロ圏総合PMIは冴えない結果)や、A世界的な貿易戦争再開リスク(米大統領選挙への不確実性が増しつつあり、トランプ米政権による強硬外交がユーロ圏へも波及する恐れ)、B朝鮮半島や中東、香港を巡る地政学的リスク、C新型コロナウイルスの第2波リスク(ユーロ圏で新型コロナウイルス感染者数が拡大→フランスやドイツ等で行動規制の再開発表)、DECBによる根強い追加緩和観測、EIMM通貨先物市場における投機筋の高水準のユーロの買い持ちポジション(潜在的なユーロ売り材料)、F英国の合意無き離脱リスクの高まり(英国・EU間の通商交渉難航リスク)、GECB当局者による相次ぐユーロ高牽制発言など、ユーロドルの上値を抑制する材料は今尚沢山残っている状況です。

以上の通り、ユーロドル相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、下落リスクが警戒されます。欧米株及び欧米の長期金利の動向や、ユーロ圏の要人発言(追加緩和を示唆する発言や、ユーロ高を牽制する発言)、英国・EU間の通商交渉の行方(交渉難航なら英ポンド急落→ユーロ連れ安の波及経路)、欧州の主要経済指標の結果(ユーロ圏9月欧州委員会景況指数、ドイツ9月消費者物価指数、ユーロ圏9月昇久物価指数など)、新型コロナウイルスの感染者数拡大状況(ユーロ圏各国によるロックダウン再開リスク)を睨みながらも、当方では引き続き、ユーロドル相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(欧州当局者によるユーロ高牽制と欧州圏における新型コロナウイルス感染再拡大がユーロドルの重石)。

来週の予想レンジ(EURUSD):1.1500−1.1750

ドル高地合いが継続か。金融市場の不安定化に要注意

ドル円日足

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