ドル円、中東情勢悪化で有事のドル買い優勢。早速「窓」を埋める展開に
海外時間の為替概況
16日(月)の外国為替市場でドル円は下落後に反発。14日(土)にサウジアラビア東部の国営石油会社サウジアラムコの石油施設2カ所が攻撃されたことを受けて中東を巡る地政学的リスクが再燃すると、ドル円は週明け早々に窓を空けてギャップオープン(13日の終値108.08、16日の始値107.75)。一時107.47まで下げ幅を広げました。しかし、同水準で押し目買いが入ると下げ渋り、海外勢参入後は持ち直す展開に。本邦祝日中に発表された中国・8月小売売上高(結果7.5%、予想7.9%、※約16年ぶり低水準)や、同鉱工業生産(結果4.4%。予想5.2%、※約17年ぶり低水準)、米国時間に発表された米・9月ニューヨーク連銀製造業景気指数(結果2.0、予想4.0)はいずれも市場予想を下回る冴えない結果となりましたが、反応は限定的となりました。地政学的リスクを背景に「有事のドル買い」が加速すると、オセアニア時間に作られた窓埋めに成功。米国時間引けにかけて高値となる108.17まで上昇しました。
ユーロドルは上値の重い展開。先週木曜日に開催されたECB理事会後にショートカバー主導で急伸するも、週明けは中東を巡る地政学的リスクを受けた「有事のドル買い」が重石となり、米国時間に一時1.0993まで急落しました。引けにかけて持ち直すも戻りは鈍く、結局1.10ちょうど近辺でのクローズとなっております。
ドル円のテクニカル分析
中東情勢悪化でドル円は一時107円ミドルまで下げ幅を広げるも、米中通商協議再開への期待感から結局108円台を回復してのクローズとなりました。@約4ヶ月ぶりに強い買いシグナルを表す三役好転が出現していること、 Aトレンドの方向性を示唆するボリンジャー・ミッドバンドを9営業日連続で上回っていること、B8/12安値(105.05)と8/26安値(104.45)を底とするダブルボトムの上放れに成功したこと、C90日移動平均線を突破したこと等を考慮すれば、テクニカル的に見て「ドル円の続伸」が期待されます。
とはいえ、昨日発表された米中の主要経済指標が冴えない結果となったことや、週央以降に重要イベントを控えていること(9/17ー9/18のFOMC、9/19の日銀金融政策決定会合、9/20の米中次官級通商協議)を考慮すれば、積極的に上値を追っていく動きには繋がらないと考えられます。中東を巡る地政学的リスクは、@戦争勃発リスクの高まり→高流動性通貨選好→ドル買いや、A原油急騰→インフレ高進→米利下げ観測後退→ドル買いの経路の他、B原油急騰→世界経済の下押し→リスク回避の円買いの経路も存在します。昨日海外時間は、@やAを材料に持ち直す動きとなりましたが、市場がBに注目し始めると忽ちドル円が下落に転じる恐れもあります。本日は、中東情勢を巡る続報や、ユーロ圏ZEW景況感指数、米鉱工業生産を睨みながらも、反落リスクに警戒が必要でしょう。(本日の予想レンジ:107.60ー108.40)
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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