ドル円、リスク回避ムードの後退を背景に再び上昇。クロス円の上昇が相場を牽引
海外時間の為替概況
4日の海外市場でドル円は上昇。@日銀の片岡審議委員が「経済や物価の下振れリスクが高まる中、先制的な政策対応が重要」と追加緩和を示唆する発言を行ったこと、A香港のキャリー・ラム行政長官が混乱の原因となった「逃亡犯条例」改正案を正式に撤回すると一部香港メディアが報じたこと、B英下院が欧州連合からの合意なき離脱を阻止するための離脱延期法案を、賛成327票・反対299票で可決したこと、Cイタリアにて新内閣が発足したこと、D上記ABCを通じてリスク回避ムードが後退したことなどを背景に、ドル円はNY時間午後にかけて一時106.43まで上昇しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、結局高値圏106.40近辺でのクローズとなっております。
尚、昨日は米当局者よりハト派的な発言(Eニューヨーク連銀ウィリアムズ総裁による「米経済はリスクと不確実性に直面」「先行きを注視し適切に行動する」、Fセントルイス連銀ブラード総裁による「FRBは50bp利下げすべき」との発言、Gボストン連銀ローゼングレン総裁による「米経済のリスクが鮮明となればFRBは積極的に利下げすべき」)が相次いだ他、トランプ米大統領より「中国の米債売却リスクは心配していない」等の発言が見られましたが、市場の反応は限定的となりました。
一方、ユーロドル相場は続伸。@英下院が欧州連合からの合意なき離脱を阻止するための離脱延期法案を、賛成327票・反対299票で可決したこと、Aイタリアにて新内閣が発足したこと、BラガルドIMF専務理事(次期ECB総裁内定)が「金融緩和は必要だが非伝統的政策が及ぼす副作用にも注意しなければならない」と市場の過度な緩和期待を牽制する発言を行ったことが、更なるショートカバー誘発し、米国時間午後にかけて、1.1038まで急伸しました。
ドル円のテクニカル分析
リスク回避ムードの後退(@英国を巡る合意なき離脱リスクの後退、Aイタリアを巡る政局不透明感の後退、B香港を巡る懸念の後退)を背景に、ドル円はクロス円の上昇に連れて急伸し、トレンドの方向性を示唆するボリンジャー・ミッドバンド(106.14)を突破しました。9/2高値(106.41)、9/3高値(106.39)を共に上抜けたことで、テクニカル的にみて「上昇リスク」が警戒されます。米中対立長期化懸念や、地政学的リスク、米景気減速懸念、米大幅利下げ観測など、ファンダメンタルズ的な不安要素は燻るものの、本日は5・10日でもあり、アジア時間のドル円は底堅い動きが予想されます。
海外時間に発表される米・8月ADP雇用統計や、米・8月ISM非製造業景況指数などが市場予想を上回る結果となれば、ショートカバー主導でドル円がもう一段上値を試すシナリオも想定されます。中長期的なドル安・円高を見込みつつも、本日に限って言えば、やや上昇リスクが大きいと予想いたします(本日の予想レンジ:106.00ー107.00)
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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