ドル円見通し リスク回避感緩んで戻したが、主題は米中対立と追加利下げ問題(9/5)

4日午後からの106円超えから続伸に入り、5日未明には106.43円をつけて9月2日夜の戻り高値106.40円を若干超えている。

ドル円見通し リスク回避感緩んで戻したが、主題は米中対立と追加利下げ問題(9/5)

【概況】

8月23日夜高値106.73円から26日朝安値104.45円まで急落した後は、30日未明高値106.68円まで4日間をかけて切り返したが、23日高値超えには進めずに9月2日朝安値105.90円、3日夜安値105.74円と二段下げとなった。4日の日中も106円を超えるところは維持できずに上値の重さが意識されていたが、午後からの106円超えから続伸に入り、5日未明には106.43円をつけて9月2日夜の戻り高値106.40円を若干超えている。

9月4日から戻している背景は、@オーストラリア四半期GDPが予想と一致したことで豪景気への懸念が後退して豪ドルが反発しNZドルも同調して上昇したこと、A中国の8月財新サービス業PMIが52.1となり市場予想の51.7及び7月の51.6を上回ったことで中国景気への懸念が緩んだこと、B香港の林行政長官が大規模な抗議活動の発端となった逃亡犯条例改正案について正式に撤回を表明したことでの香港政情不安拡大への懸念が後退したこと、C英国のEU離脱問題で英議会下院が離脱延期法案を可決して「合意なき離脱」が回避される期待が強まったこと等から全般的なリスク回避感後退となり、ドルストレートではドル全面安だが、クロス円では円全面安となり、NYダウも上昇したことでドル円ではドル高円安という力関係での推移となったという事だろう。

【週末の雇用統計、米連銀利下げ姿勢、米中協議再開への続報待ち】

ただし、市場にとっての最大のテーマは米中対立問題と米連銀の追加利下げ観測であり、9月4日の各種テーマのリスク回避感後退だけでは円安ドル高がさらに加速してゆくのも難しいのではないかと思われる。米中協議再開については9月上旬とされているが、今のところ日程や双方からの合意形成への前向きな姿勢は報じられていない。
NYダウは前日比237.45ドル高と上昇したが序盤に大幅上昇した後は上値が重かった。米10年債利回りはわずかに戻したが1.47%で終了、30年債利回りも1.97%と2%を下回る状況にとどまったままだ。9月5日にはISM非製造業景況指数、ADP民間雇用統計、6日には米労働省雇用統計が控えており、数字次第では米連銀の追加利下げ期待拡大からドル安円高が加速する可能性もある。

9月17日からの米FOMCについては、市場は追加利下げを見込んでいる。9月3日にセントルイス連銀のブラード総裁は「積極的な金融政策が必要」として大幅利下げ支持姿勢を示した。ボストン連銀のローゼングレン総裁は「リスクは現時点で顕在化していない」として利下げに否定的な姿勢を示した。9月4日はミネアポリス連銀のカシュカリ総裁が「リセッションの警告サインが点灯し続ければ米連銀は景気を下支えするためにできることを講じる」として利下げ賛成の姿勢を示した。またNY連銀のウィリアムズ総裁は「景気拡大持続のため、用心深く適切に行動する」として必要なら利下げという姿勢を示している。FOMCメンバーの見解は利下げ継続派と現状維持派で分かれ、トランプ政権は執拗に大幅利下げを要求して政治圧力を強めている。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、8月26日朝安値をサイクルボトムとして上昇してきたが、8月23日夜高値から4日目の8月30日未明高値から下落してきたため、3日朝時点では9月2日朝安値を直近のサイクルボトムとし、底割れからは新たな弱気サイクル入りとしていた。3日夜への下落で2日朝安値を割り込んだために4日朝時点では底割れによる弱気サイクル入りとして次の安値形成期となる5日朝から9日朝にかけての間への下落を想定した。また新たな強気サイクル入りは2日夜高値超えからとし、106円台を一時的に回復しても維持できない内は一段安警戒とした。

9月5日未明への続伸で9月2日夜高値を超えたため、9月3日深夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りと改める。30日未明高値を起点として今回の高値形成期を5日午前から6日午前にかけての間と仮定するが、米雇用統計等によっては週明けへと高値形成期が延びる可能性もあるとみる。106円割れから続落の場合は下げ再開とし、9月3日深夜安値割れからは新たな弱気サイクル入りとして次の底形成期となる6日夜から10日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では4日夜の上昇で遅行スパンが好転、先行スパンを上抜き返しているので、遅行スパン好転中は高値試し優先とする。遅行スパン悪化からは下げ再開警戒として安値試し優先とし、先行スパン転落から下げが加速しやすいとみる。

60分足の相対力指数は5日未明への上昇で60ポイントを超えてきているので、50ポイント以上での推移中は上向きとする。70ポイント以上は反落警戒とし、50ポイント割れからは下げ再開を疑う。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、106.20円を下値支持線、106.50円を上値抵抗線とする。
(2)106.20円を上回る内は一段高余地ありとし、106.50円超えからは8月30日未明高値106.68円、8月23日夜高値106.73円試しを想定するが、107円手前では戻り売りにつかまりやすいとみる。
(3)106.20円割れから続落の場合は弱気転換注意として106円試しを想定する。106円前後では押し目買いも入りやすいとみるが、106円割れからさらに続落の場合は9月3日夜安値105.74円試しへ向かうとみる。9月3日夜安値割れからは105.50円、105.00円、8月26日安値104.45円等へと段階的に下値目処を切り下げてゆく下落局面に入る可能性も警戒する。

【当面の主な予定】

9/5(木)
10:30 (豪) 7月 貿易収支 (6月 80.36億豪ドル、予想 72.00億豪ドル)
14:45 (ス) 4-6月期 GDP 前期比 (前期 0.6%、予想 0.2%)
14:45 (ス) 4-6月期 GDP 前年同期比 (前期 1.7%、予想 0.9%)
15:00 (独) 7月 製造業新規受注 前月比 (6月 2.5%、予想 -1.5%)
15:00 (独) 7月 製造業新規受注 前年同月比 (6月 -3.6%、予想 -4.2%)
16:00 (欧) デギンドスECB副総裁、講演

21:15 (米) 8月 ADP 非農業部門就業者数 前月比 (7月 15.6万人、予想 14.9万人)
21:30 (米) 4-6月期 非農業部門労働生産性改定値 前期比 (速報 2.3%、予想 2.2%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 21.5万件、予想 21.5万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 169.8万人、予想 168.5万人)
22:45 (米) 8月 サービス業PMI改定値 (速報 50.9、予想 50.9)
22:45 (米) 8月 総合PMI改定値 (速報 50.9)
23:00 (米) 7月 製造業新規受注 前月比 (6月 0.6%、予想 1.0%)
23:00 (米) 8月 ISM非製造業景況指数 (7月 53.7、予想 54.0)

9/6(金)
08:30 (日) 7月 全世帯消費支出 前年同月比 (6月 2.7%、予想 1.1%)
14:00 (日) 7月 景気先行指数CI速報値 (6月 93.3、予想 93.2)
14:00 (日) 7月 景気一致指数CI速報値 (6月 100.4、予想 100.7)
15:00 (独) 7月 鉱工業生産 前月比 (6月 -1.5%、予想 0.4%)
15:00 (独) 7月 鉱工業生産 前年同月比 (6月 -5.2%、予想 -3.9%)
18:00 (欧) 4-6月期 GDP確定値 前期比 (前回 0.2%、予想 0.2%)
18:00 (欧) 4-6月期 GDP確定値 前年同期比 (前回 1.1%、予想 1.1%)

21:30 (米) 8月 雇用統計・非農業部門就業者数 前月比 (7月 16.4万人、予想 15.9万人)
21:30 (米) 8月 雇用統計・失業率 (7月 3.7%、予想 3.7%)
21:30 (米) 8月 雇用統計・平均時給 前月比 (7月 0.3%、予想 0.3%)
21:30 (米) 8月 雇用統計・平均時給 前年同月比 (7月 3.2%、予想 3.1%)
25:30 (米) パウエルFRB議長、講演(チューリッヒ)

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