ドル円見通し 107円台序盤へ一段安、6月25日安値試し(7/19)

18日深夜にNY連銀総裁発言を早期大幅利下げ姿勢と受け止めてドルが全面安となり19日早朝には107.19円まで急落した。

ドル円見通し 107円台序盤へ一段安、6月25日安値試し(7/19)

【概況】

6月25日安値106.75円から7月10日高値108.98円まで上昇したところで戻り一巡となり、7月11日安値で107.85円へ急落した。12日午前へ108.60円までいったん戻したものの、7月15日は安値107.77円となり安値を更新、17日未明に108.37円まで再び戻すも戻り高値は切り下がりにとどまり、18日午後には107.61円まで安値を切り下げた。この段階では、7月3日安値107.53円割れには至っていなかったが、18日深夜にはNY連銀総裁発言を早期大幅利下げ姿勢と受け止めてドルが全面安となり19日早朝には107.19円まで急落した。NY連銀総裁講演への反応がやや過剰だったとしてその後に戻したが、米海軍の強襲揚陸艦がホルムズ海峡でイランの無人機を撃墜したとの報道もあって戻りは抑えられた。

米10年債利回りはフィラデルフィア連銀の景況指数が予想を大幅に上回った段階では上昇して2.08%近辺を付けていたが、NY連銀総裁発言から急低下して終盤は2.03%へ下げた。3か月物TB利回りは2.0384%で10年債利回りを上回る「長短金利逆転(逆イールド)」は39営業日連続となった。
NYダウは一時100ドル以上の下落だったが終盤は利下げ期待で持ち直して前日比3.12ドル高とプラス圏で終えた。

米労働省が発表した週間新規失業保険申請は季節調整済みで21万6000件となり前週比8000件増加、市場予想の21万5000件を上回った。失業保険受給者総数は168万6000人で前週比4.2万人減少し、市場予想の170万人を下回った。
フィラデルフィア連銀が発表した7月の製造業景況指数は21.8となり前月の0.3から大幅上昇し、市場予想の5.0を大幅に上回った。
米民間調査会社コンファレンス・ボードが発表した6月の景気先行指数は111.5で前月比0.3%低下、市場予想の0.1%上昇を下回った。5月は横ばい、4月は0.1%上昇だった。

【NY連銀総裁講演に過剰反応? 利下げ期待大きい】

米ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は18日のNY市内講演において、政策金利をこれ以上引き下げられなくなるゼロ金利制約(ZLB)の問題に対処するためには「より迅速に金融緩和に踏み切る必要がある」と述べた。同総裁は米国を含む多くの先進国では人口高齢化や生産性の伸び低下に伴う低成長によって中立金利が非常に低い水準にあり、各国中央銀行にとって問題になっているとし、ゼロ金利制約に陥らないためには経済が悪化する最初の兆候が見えたら迅速に政策金利を引き下げ、政策金利を長期に低く維持することで中期的な経済成長を促すことが重要だと述べた。

金融政策論に関する講演だったのだが、市場はこの発言が7月30−31日の次回FOMCで0.50%利下げされる期待を高めたと受け止め、米10年債利回りが低下、為替市場ではドル全面安となりドル円も7月3日安値を割り込んで107円台序盤へと急落した。講演後にNY連銀担当者は「ウィリアムズ総裁の講演は学術的なもの」とロイター通信に語ったと報道されたために急落一巡後は107.60円まで戻したが、19日午前は107.50円以上を維持できずに安値圏にとどまっている。

ドル円は7月10日夜の米連銀パウエル議長の下院議会証言から反落に転じた。6月25日から反騰したのはパウエル議長講演で利下げ時期に言及がなかったために早期大幅利下げ期待がトーンダウンしたことがきっかけだったが、この下院議会証言により早期利下げ期待が再燃していた。NY連銀総裁発言に対しては市場もやや過剰反応という印象があるが、早期利下げ、年内複数回利下げの可能性を市場はメインテーマとして動いており、利下げ期待を助長する発言や指標にはやや大きく反応し、利下げ期待を委縮させる材料に対する反応に勝る状況も見られる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、7月15日午前安値後に下げ渋りの小持ち合いとなり、16日夜に反騰したために小持ち合い終盤の16日午前安値をサイクルボトムとして強気サイクルに入っていたが、18日の下落で底割れしたために17日未明高値で直近のサイクルトップを付けて弱気サイクルに入った。今回の安値形成期は19日午前から23日午前にかけての間と想定されるので19日の日中、夜にかけてはまだ一段安しやすい時間帯と思われるが、107.75円を超える反騰の場合は直前安値をサイクルボトムとしていったん強気サイクルに入る可能性がある。その際は20日未明から24日朝にかけての間への上昇が想定されるが、戻り高値切り下がりパターンが継続するうちは戻り一巡から次の弱気サイクル入りへ向かう可能性ありと注意する。

60分足の一目均衡表では18日未明への反落で遅行スパンが悪化(実線を割り込む)、先行スパンからも転落した。その後も両スパン悪化が続いているので遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、強気転換は両スパンそろって好転するところからとする。

60分足の相対力指数は18日午後安値から19日朝安値への一段安に対して指数のボトムが切り上がり気味のため、50ポイント超えへ上昇の場合は強気逆行形成による上昇期入りが考えられる。ただし弱気逆行は一回で終わらずに二回連続する場合もあるので50ポイント以下での推移中はさらに一段安しかねないと注意する。

以上を踏まえ当面のポイントを示す。
(1)当初、7月19日朝安値107.19円を下値支持線、107.75円を上値抵抗線とする。
(2)107.75円以下での推移中は一段安警戒とし、19日朝安値割れからは6月25日安値106.75円試しへ向かうとみる。さらに底割れの場合は106円台序盤まで下値目途を引き下げる。106.35円以下は反発注意とするが、107.50円以下での推移中は週明けも安値を試しやすい状況が続くとみる。
(3)107.75円超えからは強気転換注意として18日夜高値108.01円試しとする。108円前後では戻り売りにつかまりやすいとみるが、高値更新からは17日未明高値108.37円手前へ戻す可能性が出てくると注意する。

【当面の主な予定】

7/19(金)
15:00 (独) 6月 生産者物価指数 前月比 (5月 -0.1%、予想 -0.1%)
17:00 (欧) 5月 経常収支・季調済 (4月 209億ユーロ)
17:00 (欧) 5月 経常収支・季調前 (4月 192億ユーロ)
23:00 (米) 7月 ミシガン大学消費者信頼感指数 速報値 (6月 98.2、予想 98.9)
24:05 (米) ブラード・セントルイス連銀総裁、CEBRA年次会合
29:30 (米) ローゼングレン・ボストン連銀総裁、黒田日銀総裁がCEBRAのパネル討論会参加

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