ドル円108円台半ばで方向感失う 好悪材料消化不良
12日午前の東京市場でドル円は108円台半ばで方向感無く推移。
昨日午前中の107円台後半への下落分をほぼ回復した形で東京時間12:00現在は108.35-40レベルで推移しています。
昨日の海外市場では、注目された6月の米国の消費者物価指数がコア部分を中心に予想比強めに出たことからドルに買い戻しの動きが強まりました。
これを受けて前日3割近くまで上昇していた7月0.5%利下げの確率は2割程度まで後退、米10年もの国債利回りは一時2.14%まで上昇した後東京時間にやや低下2.12%台で推移しています。
昨晩も上院で行われた議会証言で、パウエル議長は中立金利や自然失業率が従来の想定より低くなっているために、現状の金融政策がこれまで考えられていたほど緩和的でないとの見方を示しました。このことは前提条件が覆ったことにより、最近の雇用統計、CPIの改善にもかかわらず今月の利下げが正当化されるというロジックで、利下げのお膳立てを行ったように聞こえます。これについてNY連銀のウィリアムズ総裁がアジア、欧州等の景気減速の兆候からFRBも政策調整の準備が必要と述べたほか、ブレイナードFRB理事も経済の下方リスクや軟調なインフレは金融緩和の理由になると発言、パウエル議長を援護射撃しています。
一方で昨晩、リッチモンド連銀総裁やアトランタ連銀総裁は現状の雇用、物価等の側面から利下げに否定的な見解を表明。加えて長期金利の上昇にもかかわらずNYダウが史上最高値を更新するなど、利下げの妥当性に疑問を抱かせる動きも見られました。
これら相反する材料を為替市場は消化しきれておらず、為替市場はやや方向感を失った形となっています。
引き続き市場のメインシナリオは7月に予防的0.25%の利下げ「強行」でその可能性は高いと思われますが、パウエル議長のオフィシャルなスタンスは、政策判断はあくまでこれから月末までのデータ次第というもの。
本日のPPIや来週の小売売上高等、今後公表される米重要指標が、雇用統計やCPIのように改善の兆候を示し、株価が高値を更新し続けるようであれば、利下げ強行は中銀の独立性を疑わせる異様な行動と受け止められかねず、FRBの判断を難しくするでしょう。
いずれにせよドル円を含む為替市場の動きは、当面これまで以上に米経済指標に神経質に反応することとなりそうです。
ドル円日足
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