ドル円 好調な米経済指標に買い戻し優勢
16日の海外市場でドル円は上昇。昨晩は発表された新規失業保険申請者数、フィラデルフィア連銀製造業景況指数、住宅着工件数等の米経済指標が軒並み事前予想を上回る結果となり、また、一部企業の好決算に米株が上昇したことでリスク回避の動きがやや後退、海外時間序盤よりほぼ一方向でドルが買い戻される動きとなりました。ドル円は東京時間深夜過ぎに109.97の高値をつけましたが110円には到達せず、その後はやや戻して109.80台でアジア時間を迎えています。
ユーロドルも再び1.12割れ。イタリアの財政規律問題に関連し昨晩もサルビーニ副首相の「ルール無視」発言が伝わった他、英国のメイ首相が保守党議員委員会との会合で6月初旬のEU離脱関連法案採決の後、辞任時期を確認することで合意したと伝えられています。現在も可決の目途が立っていない離脱法案が議会で承認される見込みは低く、その場合メイ首相は6月上旬にも辞任を受け入れる見通しです。これを受けてボリス・ジョンソン前外相が昨日既に党首選への立候補を表明しています。
尚、昨晩EUはシティグループ、RBS、MUFG、JPモルガン、バークレイズの大手5行に対し為替取引でのカルテル行為により合計1,300億円を上回る制裁金を課すと発表しました。これらの大手行のトレーダーは2007年から2013年にかけブルームバーグのチャットルームを使用して顧客情報やトレード方針等の情報を交換、利害対立を避けるための取引調整を行いヨーロッパの経済と消費者を犠牲にしたと非難されています。他にUBSの本件への関与も明らかにされていますが、カルテル行為を当局に通報したことにより制裁金は全額免除されています。
ドル円は昨晩の上昇で4月下旬以来頭を抑えてきた5日移動平均線(109.66レベル)を切り返し、短期的には下値リスクがやや後退した形となっています。ただ、昨日も前日米国が中国の通信機器大手ファーウェイを禁輸措置対象リストに加えたことに対し、中国商務省は「必要なあらゆる措置をとる」と反発、スパイ容疑で拘束していた2名のカナダ人を正式に逮捕するなど、米中の対立が沈静化する気配は無く、また昨晩の高値が110円に到達しなかったことでドルの上値の重さも確認されたことから、必ずしもドルが反発を強める動きとはなっていません。リスクは引き続き円高方向にあると考えられますが、本日東京時間はドル円が買い戻しの動きを維持し110円にしっかり乗せて来ることができるかに注目、乗せた場合には日足の一目均衡表の下限110.32が次のレジスタンスとなります。
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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